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第30話 恋愛ごっこ
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「錯乱するというのかの……あれは辛かったのじゃ……」
シャランと首飾りの音がした。
擬人化の動物が人に成り立ての時、今までと違う感覚や環境に戸惑い、問題行動を起こす事がある。そんな話を生徒会長から聞いた。
「俺は結構酷い方だったけど……小池さんは大丈夫だった?」
「私は辛い事はなかったけど……アキヨシが止めてとか泣きそうって、よく言ってた。」
「いつの間にミミズク先輩いらっしゃってたんですか!?」
「引き継ぎなんだから、始めから居たよ。……林さんは小池さんしか見てないからでしょ?」
(それはそうですが……)
「ねえねえ、今日放課後ハズキんち行っていい?」
「ちょっと小池さん来すぎだから、どれだけうちの店にお金落としにくるの?流石に引くから。」
「小池さんって呼ばないで言ったじゃん。下の名前で呼んでよ。元カノみたいに!」
「ちょっと待ってください!!妖精さん、何だかおかしくないですか?」
「……林さん?」
可愛らしく首をかしげる妖精さんに絆されそうになりましたが、これは見過ごす訳には行きません!
「お二人の関係……何だか近くなってません?」
「小池さんが放課後毎日、うちの店に来てるからね。」
「友達以上恋人未満の関係……」
ゴフッ。心を落ち着かせようと飲んでいた紅茶が喉に引っ掛かりました……
「声しか聞こえぬ鈴虫さんとやらは、今もまだ成長期の真っ最中なのじゃな。」
と、笑みを扇子で隠した。
「鈴虫ではなく妖精さんです。それってどういう事なんです?」
「人の生活に適応するために、擬人化した者がごっこ遊びをするのはよくあることじゃ。ただの恋愛ごっこじゃろ。」
「私本気だよ?結婚が見えない恋愛はしない主義。ハズキはどうせ結婚と恋愛は別ものなんでしょ?やっぱり、私のこと遊びなんだ。」
「遊びじゃないし。俺も本気だから!」
「………いやいやいや!彼氏彼女みたいな雰囲気出さないでください!しかも妖精さん前より流暢に喋ってませんか?何かが変です!!」
(だから、キョトン顔でごまかすの止めてください!)
「お主らを見ていると、錯乱していた頃を思いだして微笑ましいの。我はもう人間化が落ちついたゆえに、婚約する事が決まったのじゃ。」
「いいな……婚約……」
「うむ。第7婦人じゃがな。高校生活が終れば祖国で生涯を全うする事になろうぞ。」
(もう情報が飽和状態でカオスです!)
見学が終わった後、私は廊下でため息をついた。そして、アキヨシさんとミトにメッセージを送った。兎に角、誰かに相談したいです。この違和感─
(擬人化生徒と通常生徒との区別化……確かに、理解が追い付かないところがあるのは確かです……)
取り敢えず、私は放課後ミトを誘った。フクロウカフェへ行った妖精さんの様子を見にいく為に。
「ミトは何で生徒会室に来なかったんです?会長と何かあったんだとは思いますが……」
「まさにその、奴の錯乱とやらに巻き込まれた事があるからだよ。」
ミトが中等部に編入する前。擬人化の方たちが人の生活に慣れる為に用意された専門学級にいた時の話。
「我は動物の時、一夫一妻主義じゃったのに、養父は一夫多妻なのじゃ。そして、我が人間化が進んだ頃に娶ってくれると言ってくれたんじゃ。」
(成る程……婚約相手は養父さんでしたか。)
「奴は、嬉しいのに頭が混乱するって言っていた。そして、妙な結論へと至った。」
「我も周りに見目麗しい侍女を集めようと思う。そうする事で、浮気をしているという罪悪感もなく、一夫多妻というのも理解出来るかもしれぬ。」
(ああ、何だか結末が見えて来ました……)
「ミトや……我の侍女にならぬか?」
「…………嫌だよ。」
「ミトのその短い髪と鍛えられた身体が好みなのじゃ。我の疑似伴侶として理想的なのじゃ。」
「そういう目で私を見るのはヤメロ。毛が逆立つだろ!疑似伴侶にされるとか……ふざけんな!」
「だが、我はあきらめぬ。」
「それで追いかけて来られる度、もの凄い音がするんだよ……ドスンドスンって。私メスとは喧嘩しない主義だからさ。逃げまくってたら……奴のせいで廊下の床がよく抜けて……落ちたアイツを引き上げるのも一苦労だった。重機いるし……」
ミトは思い出して、頭を抱えた。本人は強がりだから言わないだろうけど、少し怖かったみたいだ。
(面倒見が良いのも困りものですね……御愁傷様です。)
「ですが、今はもう人間化が終わって、その錯乱期間も終わったんですよね?」
「終わったは良いが……生徒会メンバーは、皆奴好みの女子生徒入れてたの見ただろ!?」
「確かに皆、整ったお顔立ちをされていましたね……ですが、私はただ能力的なものでスカウトされましたし。其ばかりではないのでは?」
「いや、奴は一夫多妻を理解しようとして、自分好みの綺麗どころを周りに置くという癖が定着したんだよ。」
「だから……その。林も気をつけろよな……」
「……ご心配なく?」
だけど私は甘いだろうか。定着したその問題行動は、まだ可愛いらしいものだと感じた。
会長は精神的倒錯期間が終わり、むやみやたらに身体を動かす事を止める事で、社会適応する事を選んだ。
(健康に悪そうですけどね……)
そして、小柄な見た目とギャップのある体重が危険だと、演説で注意喚起をした─
(大分丸くなられたと思いますけれど……)
「ふむ……それでは、ミトも今までとは違う環境に戸惑って、中等部の時グレてたんですか?」
「お前は……理解力がありすぎて、嫌いだよ……」
(図星でしたか……)
気まずい沈黙が流れ、ミミズク先輩のお店に到着した。
シャランと首飾りの音がした。
擬人化の動物が人に成り立ての時、今までと違う感覚や環境に戸惑い、問題行動を起こす事がある。そんな話を生徒会長から聞いた。
「俺は結構酷い方だったけど……小池さんは大丈夫だった?」
「私は辛い事はなかったけど……アキヨシが止めてとか泣きそうって、よく言ってた。」
「いつの間にミミズク先輩いらっしゃってたんですか!?」
「引き継ぎなんだから、始めから居たよ。……林さんは小池さんしか見てないからでしょ?」
(それはそうですが……)
「ねえねえ、今日放課後ハズキんち行っていい?」
「ちょっと小池さん来すぎだから、どれだけうちの店にお金落としにくるの?流石に引くから。」
「小池さんって呼ばないで言ったじゃん。下の名前で呼んでよ。元カノみたいに!」
「ちょっと待ってください!!妖精さん、何だかおかしくないですか?」
「……林さん?」
可愛らしく首をかしげる妖精さんに絆されそうになりましたが、これは見過ごす訳には行きません!
「お二人の関係……何だか近くなってません?」
「小池さんが放課後毎日、うちの店に来てるからね。」
「友達以上恋人未満の関係……」
ゴフッ。心を落ち着かせようと飲んでいた紅茶が喉に引っ掛かりました……
「声しか聞こえぬ鈴虫さんとやらは、今もまだ成長期の真っ最中なのじゃな。」
と、笑みを扇子で隠した。
「鈴虫ではなく妖精さんです。それってどういう事なんです?」
「人の生活に適応するために、擬人化した者がごっこ遊びをするのはよくあることじゃ。ただの恋愛ごっこじゃろ。」
「私本気だよ?結婚が見えない恋愛はしない主義。ハズキはどうせ結婚と恋愛は別ものなんでしょ?やっぱり、私のこと遊びなんだ。」
「遊びじゃないし。俺も本気だから!」
「………いやいやいや!彼氏彼女みたいな雰囲気出さないでください!しかも妖精さん前より流暢に喋ってませんか?何かが変です!!」
(だから、キョトン顔でごまかすの止めてください!)
「お主らを見ていると、錯乱していた頃を思いだして微笑ましいの。我はもう人間化が落ちついたゆえに、婚約する事が決まったのじゃ。」
「いいな……婚約……」
「うむ。第7婦人じゃがな。高校生活が終れば祖国で生涯を全うする事になろうぞ。」
(もう情報が飽和状態でカオスです!)
見学が終わった後、私は廊下でため息をついた。そして、アキヨシさんとミトにメッセージを送った。兎に角、誰かに相談したいです。この違和感─
(擬人化生徒と通常生徒との区別化……確かに、理解が追い付かないところがあるのは確かです……)
取り敢えず、私は放課後ミトを誘った。フクロウカフェへ行った妖精さんの様子を見にいく為に。
「ミトは何で生徒会室に来なかったんです?会長と何かあったんだとは思いますが……」
「まさにその、奴の錯乱とやらに巻き込まれた事があるからだよ。」
ミトが中等部に編入する前。擬人化の方たちが人の生活に慣れる為に用意された専門学級にいた時の話。
「我は動物の時、一夫一妻主義じゃったのに、養父は一夫多妻なのじゃ。そして、我が人間化が進んだ頃に娶ってくれると言ってくれたんじゃ。」
(成る程……婚約相手は養父さんでしたか。)
「奴は、嬉しいのに頭が混乱するって言っていた。そして、妙な結論へと至った。」
「我も周りに見目麗しい侍女を集めようと思う。そうする事で、浮気をしているという罪悪感もなく、一夫多妻というのも理解出来るかもしれぬ。」
(ああ、何だか結末が見えて来ました……)
「ミトや……我の侍女にならぬか?」
「…………嫌だよ。」
「ミトのその短い髪と鍛えられた身体が好みなのじゃ。我の疑似伴侶として理想的なのじゃ。」
「そういう目で私を見るのはヤメロ。毛が逆立つだろ!疑似伴侶にされるとか……ふざけんな!」
「だが、我はあきらめぬ。」
「それで追いかけて来られる度、もの凄い音がするんだよ……ドスンドスンって。私メスとは喧嘩しない主義だからさ。逃げまくってたら……奴のせいで廊下の床がよく抜けて……落ちたアイツを引き上げるのも一苦労だった。重機いるし……」
ミトは思い出して、頭を抱えた。本人は強がりだから言わないだろうけど、少し怖かったみたいだ。
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「ですが、今はもう人間化が終わって、その錯乱期間も終わったんですよね?」
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「……ご心配なく?」
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会長は精神的倒錯期間が終わり、むやみやたらに身体を動かす事を止める事で、社会適応する事を選んだ。
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