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最終話 いつまでも自由で
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「ルイ・クラルテ」は思ったより早く軌道に乗ったようだ。住居も全員入る事ができ、元タールの邸はそのまま病院の役割を果たした。
最後にはクラルテの住まいも整った。
「ルイはこっちに越してこないのかい?毎日丘から通いは大変じゃない?」
「え?」
「え、ってまた何か作ったの?見せてごらん」
「売り物じゃないわ。だからクラルテの査定は無用よ」
「…君が作り出したものはすべて見たいんだ」
「それはプライバシーの侵害と言うのよ、それに気持ち悪いし」
「うっ」
答えは魔法の絨毯だ。
『残念だったね、ぷぷ』
「むっ」
ルイはさっさと丘の上にある家に帰る事にする。
「も~クラルテは小瓶の事があるから監視が厳しくて嫌になっちゃうわ」
『…』
『お帰り、ルイ』
「ただいま、ああ、そろそろ旅に出たいな。水の粉とツチノコのおかげで資金も出来たし私がいなくても「ルイ・クラルテ」はやっていけそう」
『いいのう、わしも旅に行きたいゾイ』
「そうよね」
『そう、寂しくなるわね』
「モナルダは行かないの?」
『私はビアンカを守らないと』
「ビアンカも連れて行きましょうよ」
『私もいいの?』
ちょっと遠く離れた場所から会話を聞いていたビアンカが返事をした。
「私を食べなければいいわよ」
『モナルダ…』
ビアンカは上目遣いにモナルダを見る。
『わかったわよ。大人しくしてるのよ?』
『わかった』
「一言いった方がいいわよね。ロザージュやヨニエルに言って行こう」
ヨニエルはクラルテの元で働いている。
『クラルテには?』
「あの人は面倒ね…時々変な事言うし…」
『ああ、「君の漆黒の瞳が恋しい」だっけ?』
「そう、「灰色の姫君」とかね、シンデレラと呼ばせようかしら」
『?』
甘いセリフに最初の頃はドキリとしていたが、段々とコントのように思えてきてちょっと面倒になってきた。ルイは毎日その日の気分で髪の色や瞳の色を変えていたが、それがクラルテは気に入らないようで「灰色の姫君」「君の漆黒の瞳が恋しい」なる言葉が生まれたようだ。ルイはクラルテが好きだと言おうと自分では好きになれないのでもう元に戻す気にはなれない。
なので、けっこう鬱陶しい。
家の近くにモナルダが落とした尻尾部分の赤い羽根が落ちていた。キレイだから貰っていいかと聞くと「好きにすればいい、人間ってほんと変なものを欲しがるわよね」と、言っていた。赤い羽根がキレイだと思うからほしいと言ったのだが、モナルダは虹の橋の番人だった。この羽根自体にも価値があるのかもしれない。
昔読んだ書物の中に「転移」の魔術具を作るのに必要な素材に「伝説の虹のオウム」の羽根が必要だと記載あった事を思い出した。
これで「どこ〇もドア」が作れるのでないだろうかと思った。昔、第一王子に作ってほしいと言われたので、作ろうと努力はしたが完成はしなかった。時空移動は難しいのだ。
なるほどモナルダは昔から自分の羽根を狙われていたのだろう。
モナルダの羽根には風属性と火属性が混ざっているとても珍しい素材だとわかった。その羽根で時空を超える事が出来るかもしれない。
羽根には風属性と火属性が混ざっているので、後は土属性と水属性を組み合わせ魔石に封じ込める。羽根と魔石をひとつにする。羽根と魔石を真ん中から半分に切ったら出来上がり。それらを別々に所に置いておけば瞬時に羽根がある場所に移動できるというもの。実験も成功した。しかし全然「どこ〇もドア」じゃなかった。
まあ、旅の前にロザージュに家にでもこの羽根を飾らせて貰おう。何かの時はすぐに帰れる。
旅といっても、医者の所やアネモネの所だ。手紙のやり取りはしていたが顔も見たい。
早速ロザージュの所に出向き事情を話す。
「旅に出るの?」
「お世話になった知人に会いに行くだけよ。それよりロザージュの家に使っていない部屋ってある?」
「え?ゲストルームがあるけど」
「これをゲストルームの見えない所に飾らせて」
「まあ、キレイな羽根のオブジェね、これは?」
ルイは説明をした。なぜゲストルームなのかも、いきなりルイが現れれば彼氏といる所にもしかしたら居合わせるかもしれないと思ったからだった。最近、ロザージュはロロイカと仲がいい。
「そ、そんな事はないけど…そうね、ゲストルームの方がいいかもしれないわね」
「クラルテ様にもきちんと言ってね」
「ロザージュから言っといて」
「え?そんなのダメよ」
「一緒に来るとか言いそうだもん。よろしくね」
「え、ちょっと、、ずるい私も魔法の絨毯に乗りたい」
「今度ね~」
ルイはまた夜空に舞い上がった。
**おしまい**
ルイとクラルテが結婚する前のちょっとしたお話でした。
最終話までお付き合いして頂いた皆様、ありがとうございました(^^♪
取り合えず、ここで終了になります。
恋愛編を書くかもしれないし、このまま終わるかもしれません。
一旦は終了致します。
ありがとうございました('◇')ゞ
最後にはクラルテの住まいも整った。
「ルイはこっちに越してこないのかい?毎日丘から通いは大変じゃない?」
「え?」
「え、ってまた何か作ったの?見せてごらん」
「売り物じゃないわ。だからクラルテの査定は無用よ」
「…君が作り出したものはすべて見たいんだ」
「それはプライバシーの侵害と言うのよ、それに気持ち悪いし」
「うっ」
答えは魔法の絨毯だ。
『残念だったね、ぷぷ』
「むっ」
ルイはさっさと丘の上にある家に帰る事にする。
「も~クラルテは小瓶の事があるから監視が厳しくて嫌になっちゃうわ」
『…』
『お帰り、ルイ』
「ただいま、ああ、そろそろ旅に出たいな。水の粉とツチノコのおかげで資金も出来たし私がいなくても「ルイ・クラルテ」はやっていけそう」
『いいのう、わしも旅に行きたいゾイ』
「そうよね」
『そう、寂しくなるわね』
「モナルダは行かないの?」
『私はビアンカを守らないと』
「ビアンカも連れて行きましょうよ」
『私もいいの?』
ちょっと遠く離れた場所から会話を聞いていたビアンカが返事をした。
「私を食べなければいいわよ」
『モナルダ…』
ビアンカは上目遣いにモナルダを見る。
『わかったわよ。大人しくしてるのよ?』
『わかった』
「一言いった方がいいわよね。ロザージュやヨニエルに言って行こう」
ヨニエルはクラルテの元で働いている。
『クラルテには?』
「あの人は面倒ね…時々変な事言うし…」
『ああ、「君の漆黒の瞳が恋しい」だっけ?』
「そう、「灰色の姫君」とかね、シンデレラと呼ばせようかしら」
『?』
甘いセリフに最初の頃はドキリとしていたが、段々とコントのように思えてきてちょっと面倒になってきた。ルイは毎日その日の気分で髪の色や瞳の色を変えていたが、それがクラルテは気に入らないようで「灰色の姫君」「君の漆黒の瞳が恋しい」なる言葉が生まれたようだ。ルイはクラルテが好きだと言おうと自分では好きになれないのでもう元に戻す気にはなれない。
なので、けっこう鬱陶しい。
家の近くにモナルダが落とした尻尾部分の赤い羽根が落ちていた。キレイだから貰っていいかと聞くと「好きにすればいい、人間ってほんと変なものを欲しがるわよね」と、言っていた。赤い羽根がキレイだと思うからほしいと言ったのだが、モナルダは虹の橋の番人だった。この羽根自体にも価値があるのかもしれない。
昔読んだ書物の中に「転移」の魔術具を作るのに必要な素材に「伝説の虹のオウム」の羽根が必要だと記載あった事を思い出した。
これで「どこ〇もドア」が作れるのでないだろうかと思った。昔、第一王子に作ってほしいと言われたので、作ろうと努力はしたが完成はしなかった。時空移動は難しいのだ。
なるほどモナルダは昔から自分の羽根を狙われていたのだろう。
モナルダの羽根には風属性と火属性が混ざっているとても珍しい素材だとわかった。その羽根で時空を超える事が出来るかもしれない。
羽根には風属性と火属性が混ざっているので、後は土属性と水属性を組み合わせ魔石に封じ込める。羽根と魔石をひとつにする。羽根と魔石を真ん中から半分に切ったら出来上がり。それらを別々に所に置いておけば瞬時に羽根がある場所に移動できるというもの。実験も成功した。しかし全然「どこ〇もドア」じゃなかった。
まあ、旅の前にロザージュに家にでもこの羽根を飾らせて貰おう。何かの時はすぐに帰れる。
旅といっても、医者の所やアネモネの所だ。手紙のやり取りはしていたが顔も見たい。
早速ロザージュの所に出向き事情を話す。
「旅に出るの?」
「お世話になった知人に会いに行くだけよ。それよりロザージュの家に使っていない部屋ってある?」
「え?ゲストルームがあるけど」
「これをゲストルームの見えない所に飾らせて」
「まあ、キレイな羽根のオブジェね、これは?」
ルイは説明をした。なぜゲストルームなのかも、いきなりルイが現れれば彼氏といる所にもしかしたら居合わせるかもしれないと思ったからだった。最近、ロザージュはロロイカと仲がいい。
「そ、そんな事はないけど…そうね、ゲストルームの方がいいかもしれないわね」
「クラルテ様にもきちんと言ってね」
「ロザージュから言っといて」
「え?そんなのダメよ」
「一緒に来るとか言いそうだもん。よろしくね」
「え、ちょっと、、ずるい私も魔法の絨毯に乗りたい」
「今度ね~」
ルイはまた夜空に舞い上がった。
**おしまい**
ルイとクラルテが結婚する前のちょっとしたお話でした。
最終話までお付き合いして頂いた皆様、ありがとうございました(^^♪
取り合えず、ここで終了になります。
恋愛編を書くかもしれないし、このまま終わるかもしれません。
一旦は終了致します。
ありがとうございました('◇')ゞ
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ありがとうございます(^^♪
クラルテは一途になってしまいました(*_*;
一応報われる予定ではありますね(*´ω`)
ありがとうございます(^.^)
書きたかったのですが、ちょっと疲れてしまいました。
書き溜めてまた投稿出来るように頑張ります
その時はまた読んで頂けたら嬉しいです(*^▽^*)