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第3章
王様の住まい
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城に到着したリリスは待合室のような場所でマナと合流した。
「マナ…すごい豪華なドレスね、とても似合ってるわ」
「ありがとう、リリス。私はリリスみたいに素材がいいわけではないからドレスで勝負よ」
「勝負ってなによ。なにと戦っているの?」
そこへハズも合流した。2人に会って安心したのか、ほっとした顔をしている。
「やっぱり、お城に入るのは緊張しちゃうね。今日はマナもリリスも普段と違って華やかだね。とてもキレイだよ」
ハズはにこりと笑い、さりげなく2人を褒める。やはりドレスアップした女性を褒めるのはこの国のマナーのようで普段言われ慣れない2人は顔を見合わせて照れている。
3人が揃い城の中を執事のような人に案内された。随分と歩かされた。移動するたびに案内人が変わる。陛下のプライベートの住まいだそうでメイドでも数人のみしか教えられない秘密の通路なのだという。広い通路から通され案内される場所は晩餐会でも開けそうな豪華な食堂かと思われたが、だんだんと質素になっていく。
最終的に1人の男性に案内された。バルだった。なにしてんだ?とお互いに思っている。この短期間で最後の通路を教えられるとはずいぶんと信頼されているのだなと思う。
バルはここ数日忙しかったのかリリス家の夕食には来ていなかった。そのため今回の夕食会の事も話せていなかった。来なかった理由はこの件だったのかもしれない。
通路もだんだんと狭くなり最終的に木製の小さな扉の前に案内された。その扉をくぐるとシルクの白いクロスを掛けたテーブルに男性3人が立って出迎えてくれた。
もちろん1人はセリアだ。セリアは友人3人に向かい歓迎する。
「リリス、マナ、すごくキレイだね。みんな今日は来てくれてありがとう」
一般人の家と変わらぬ質素な造りの部屋にテーブル以外目立った家具も見当たらない。もちろん1つ1つの家具は極上級の物に違いないのだろう。
そして、セリアの後ろから出迎えてくれたのは、紛れもなく現国王マクシミリアンその人であった。
「よく来てくれたね。優秀な若者たち。さっ入り口は寒いだろう。奥にきて温まりなさい」
奥には大きな暖炉が暖かな火を灯していた。
ジュリエッタが一目惚れをしてまったく相手にされなかったあのイケメン王だ。そして、母を無視した男。どれどれ。
渋く低いがよく通る声に背が高く背筋がよい、王の威厳というより仕事が出来そうな人当たりのいい執事のようだ。しかしながら、落ち着いていて気高い。豪華な住まいに豪華な装いをしているのだろうと思っていたが豪華な家具などは無く、身なりもさっぱりとしたものだった。
なるほどいい男だ。ジュリエッタが一目惚れするのもわかる。
ジュリエッタを最初に見たときの印象といえば、黄金に輝く壮大なオーラ、見る者すべて虜にするほどの凄まじさがあった。いうなればメデューサだ。見たものすべてみんな固まり石になる。
このイケオジ王は、そんなオーラは一切なし、静かなオーラだ。自分から放つオーラではなく俯瞰で人を見下ろし、すべてを包み込み逃がさないような感じ。
ジュリエッタが動なら、このイケオジ王は静だろう
下級とはいえ貴族なのでリリスはリエからカーテシーを習うもあまりやりたくない。特に今は王様の自宅にご招待されているとはいえ同級生の家に来ているに過ぎない、と思っているが両親が良識ない人と思われるのはいやだった。しかたなくカーテシーでもしとけと思ってドレスを持ち上げようとした。
「あ、いや、かしこまる必要はないよ。君たちは息子の友人だ。楽にしてほしい」
「恐れ入ります」
あっそ、じゃあしない
「初めまして、セリアの兄でマクシミソロモンという。ソロモンと呼んでくれ」
ソロモン!?なんか聞いたことある。なんだっけソロモンの秘宝?映画のタイトル?いずれ、ソロモン王…
それぞれ席につく。ハズがマナを、セリアがリリスをエスコートする。バルはなぜか王様の後ろにいる。
なんか秘書?執事?公爵ってこんなことするのが仕事なの?
「ああ、彼はジョニルバール公爵だ。私の近くに常にいるわけではないが今日は特別にいてもらっている。かまわないかな?」
この状況でいやだと言える人間などいるのか
「もちろん構いませんわ」
マナが必死に声を出す。
ハズは頷くだけで精一杯だ。リリスもにっこりと頷く。
「よかった。では食事にしよう」
次々に料理が運ばれてくる。宮廷料理なんてどんなすごい料理が出てくるのかと思っていたら普通の健康によさそうなちょっと豪華な感じの家庭料理だった。王様一家はどうやら質素なご環境でお過ごしのようだ。
「父上、ずいぶんと最近はこのジョニルバール公爵をお気に入りですね。プライベートの通路までおしえるなんてよっぽどの事では?」
セリアが前菜をつまみながら言う。
「バルは真っ直ぐな正直過ぎる男だよ。裏切るわけがない」
なぜかリリスを見ながら言う。みんなが視線をリリスに向けるがリリスは耳では会話を聞いていたが目は料理に向いていた為、王様の視線には気が付かずみんなの視線にも気が付かなかった。
リリスは前世から育ちがいいわけではないので出てきた料理をゆっくり食べられない。早食いなのだ。バルって呼ばれているんだな。信用されているな、よかったね。と思うだけだった。
「マナ…すごい豪華なドレスね、とても似合ってるわ」
「ありがとう、リリス。私はリリスみたいに素材がいいわけではないからドレスで勝負よ」
「勝負ってなによ。なにと戦っているの?」
そこへハズも合流した。2人に会って安心したのか、ほっとした顔をしている。
「やっぱり、お城に入るのは緊張しちゃうね。今日はマナもリリスも普段と違って華やかだね。とてもキレイだよ」
ハズはにこりと笑い、さりげなく2人を褒める。やはりドレスアップした女性を褒めるのはこの国のマナーのようで普段言われ慣れない2人は顔を見合わせて照れている。
3人が揃い城の中を執事のような人に案内された。随分と歩かされた。移動するたびに案内人が変わる。陛下のプライベートの住まいだそうでメイドでも数人のみしか教えられない秘密の通路なのだという。広い通路から通され案内される場所は晩餐会でも開けそうな豪華な食堂かと思われたが、だんだんと質素になっていく。
最終的に1人の男性に案内された。バルだった。なにしてんだ?とお互いに思っている。この短期間で最後の通路を教えられるとはずいぶんと信頼されているのだなと思う。
バルはここ数日忙しかったのかリリス家の夕食には来ていなかった。そのため今回の夕食会の事も話せていなかった。来なかった理由はこの件だったのかもしれない。
通路もだんだんと狭くなり最終的に木製の小さな扉の前に案内された。その扉をくぐるとシルクの白いクロスを掛けたテーブルに男性3人が立って出迎えてくれた。
もちろん1人はセリアだ。セリアは友人3人に向かい歓迎する。
「リリス、マナ、すごくキレイだね。みんな今日は来てくれてありがとう」
一般人の家と変わらぬ質素な造りの部屋にテーブル以外目立った家具も見当たらない。もちろん1つ1つの家具は極上級の物に違いないのだろう。
そして、セリアの後ろから出迎えてくれたのは、紛れもなく現国王マクシミリアンその人であった。
「よく来てくれたね。優秀な若者たち。さっ入り口は寒いだろう。奥にきて温まりなさい」
奥には大きな暖炉が暖かな火を灯していた。
ジュリエッタが一目惚れをしてまったく相手にされなかったあのイケメン王だ。そして、母を無視した男。どれどれ。
渋く低いがよく通る声に背が高く背筋がよい、王の威厳というより仕事が出来そうな人当たりのいい執事のようだ。しかしながら、落ち着いていて気高い。豪華な住まいに豪華な装いをしているのだろうと思っていたが豪華な家具などは無く、身なりもさっぱりとしたものだった。
なるほどいい男だ。ジュリエッタが一目惚れするのもわかる。
ジュリエッタを最初に見たときの印象といえば、黄金に輝く壮大なオーラ、見る者すべて虜にするほどの凄まじさがあった。いうなればメデューサだ。見たものすべてみんな固まり石になる。
このイケオジ王は、そんなオーラは一切なし、静かなオーラだ。自分から放つオーラではなく俯瞰で人を見下ろし、すべてを包み込み逃がさないような感じ。
ジュリエッタが動なら、このイケオジ王は静だろう
下級とはいえ貴族なのでリリスはリエからカーテシーを習うもあまりやりたくない。特に今は王様の自宅にご招待されているとはいえ同級生の家に来ているに過ぎない、と思っているが両親が良識ない人と思われるのはいやだった。しかたなくカーテシーでもしとけと思ってドレスを持ち上げようとした。
「あ、いや、かしこまる必要はないよ。君たちは息子の友人だ。楽にしてほしい」
「恐れ入ります」
あっそ、じゃあしない
「初めまして、セリアの兄でマクシミソロモンという。ソロモンと呼んでくれ」
ソロモン!?なんか聞いたことある。なんだっけソロモンの秘宝?映画のタイトル?いずれ、ソロモン王…
それぞれ席につく。ハズがマナを、セリアがリリスをエスコートする。バルはなぜか王様の後ろにいる。
なんか秘書?執事?公爵ってこんなことするのが仕事なの?
「ああ、彼はジョニルバール公爵だ。私の近くに常にいるわけではないが今日は特別にいてもらっている。かまわないかな?」
この状況でいやだと言える人間などいるのか
「もちろん構いませんわ」
マナが必死に声を出す。
ハズは頷くだけで精一杯だ。リリスもにっこりと頷く。
「よかった。では食事にしよう」
次々に料理が運ばれてくる。宮廷料理なんてどんなすごい料理が出てくるのかと思っていたら普通の健康によさそうなちょっと豪華な感じの家庭料理だった。王様一家はどうやら質素なご環境でお過ごしのようだ。
「父上、ずいぶんと最近はこのジョニルバール公爵をお気に入りですね。プライベートの通路までおしえるなんてよっぽどの事では?」
セリアが前菜をつまみながら言う。
「バルは真っ直ぐな正直過ぎる男だよ。裏切るわけがない」
なぜかリリスを見ながら言う。みんなが視線をリリスに向けるがリリスは耳では会話を聞いていたが目は料理に向いていた為、王様の視線には気が付かずみんなの視線にも気が付かなかった。
リリスは前世から育ちがいいわけではないので出てきた料理をゆっくり食べられない。早食いなのだ。バルって呼ばれているんだな。信用されているな、よかったね。と思うだけだった。
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