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第3章
マスオさん
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バルはディルイに公爵を託した後、ロイス家の邸を後にした。邸は親から引き継がれているものばかりで自身のものはほとんどない。衣服や装飾品のみ移動させ引っ越しは完了した。
「荷物はこれだけなのね。持っていきたいものとかないの?」
「ありがとう、リリス。邸はロイス家のものだ、家具もね。衣服をリリスの時空収納に入れて貰えて助かったよ。しかし本当にリリスは規格外だな」
どうせ、旅に出るのだ時空収納に入れておけばいつでも取り出せる。
「まだまだ、入るわよ」
「バル様、こちらの部屋をご用意しましたわ。リリスの部屋はお向かいですわよ、ふふ」
バルはリエの邸へと引っ越してきた。
「ありがとう、リエ殿。あと…もう様は必要ない。俺は一般人になったのだから」
「わかりましたわ、ではバルとこれから呼ばせて頂きますわね。家族ですもの丁寧な言い回しもおかしいですわね」
「では…バル。これから家族としてリリスの夫としてよろしくね。私の事もリエと、キースの事もキースと呼ぶように…」
「わ、わかった…リエ」
なんだか、ギクシャクしている。どちらが結婚するのかわからない。バルはお婿にきた感じね。マスオさん状態だわね。
毎日、朝起きると夫となる人が朝からウロウロしている。なんだか変な感じ、かといってまだ、夫婦ではないし…
バルは朝食を済ませると城に向かう。まだディルイの引継ぎやセリアの手伝いをしている。バルは貴族を廃しているので、平民だ。本来なら城に平民が上がる事など合ってはならない。しかし、泉の件はバルにしか分からない。バルは民間でセリアに雇われている形にしたようだ。バルが旅に立ってしまうのが、不安なのかセリアは「救世主」は誰なのかと今でもしつこく聞いて来るらしい。リリスだとは微塵も思わないようだ。
そして、夕食を共にし、泉に毎日行き、別の寝室にて別れるのだ。そんな毎日だが、恋人たちは就寝前にテラスや談話室でふたりっきりで話をするのが楽しくてしょうがない。今日あった出来事や旅に必要なアイテムをリストアップしたりとするなかで、自然と手が触れ合い、髪が触れ、息がかかる。そして、見つめ合い何度もキスをする。
愛するふたりは我慢ができない。
「リリス、済まない。これ以上リリスとふたりでいると俺はなにをするかわからない。婚姻の儀が終わるまで俺はディルイの所に間借りさせてもらうよ」
「え?なんで?」
「なんでって、お、俺は男だから…ゆ、湯上がりのリリスとか見るとその…」
リリスは真っ赤になっているバルに向き合い、バルの腰に手を回す
「もう、婚約しているのだし…バルはまた婚約を解消するの?」
「リリスと婚約解消なんかするわけない」
「じゃあ、いいじゃない」
「な、なにがいいんだ!」
「バル、私に全部言わせるの?」
リリスは上目遣いでバルを魅了する。バルにしてみれば、すでに魅了などされなくても魅了されている。ふたりは熱い抱擁を交わし、長いキスをする。ふたりはそのまま朝まで一緒に過ごした。
「バル、リリス。婚約しているとはいえ、ん、ん、朝から同じ部屋から出てくるなんて、ちょっと…んん、ど、どうかしら?」
リエは少し、顔を赤らめながらふたりに諭す。朝食に降りて来ないふたりにリエは心配をして部屋まで迎えにいったのだ。部屋からふたりして見つめ合い腰に手を回しながら出てきた所を目撃してしまったのだ。キースからは、だからやめておけと止めたのにと言われている。
「ふふ、リエだって結婚前から俺の部屋に泊まっていただろう。向かいの部屋を用意しといてそれはないんじゃないのか?」
キースは真っ赤なバルと、朝食をもぐもぐ食べているリリスに笑顔で答える。
「キース!今はそれを言わないでちょーだい!わ、私はリリスの母親としてあるべき行動としてその…」
「大丈夫よ、バルは婚約解消なんて絶対にしないって言ったもの。この私に誓ったもの。私を裏切ったらどうなるかなんてバルなら分かっているはずよ、ね。バル?」
「あ、…う、裏切るなんてしない。今回の事はその…」
「バル、いいんだよ。愛するふたりに扉なんて邪魔なものさ。今日から同じ寝室を使うといいよ。ね、リエ?」
「ありがとう、お父さん。これからずっと一緒に居られるね、バル」
「あ、ああ」
バルはますます真っ赤である。
「もう、キースはリリスに甘いわよぉ」
「リリスはリエの娘だよ?親の言うことなんか聞くわけないだろう?」
「う、…そ、それはそうだけど…」
リエは根負けしてしまい、親公認になりました。
愛するふたりに壁も扉も邪魔である。今では寝室も一緒だ。フライング気味だが、すでに婚約しているし、無理やりではあったが親公認なので問題ない。初めての朝は流石に少々照れ臭かったが、リリスは今が一番幸せだ。もう旅なんかしなくてもいいかもなんて思ったりしたが、リエやキースはリリスを捜して仕事をして、疲労して人生遊んで来なかった。親孝行になるのならそれでもいいかなとも思う。
「荷物はこれだけなのね。持っていきたいものとかないの?」
「ありがとう、リリス。邸はロイス家のものだ、家具もね。衣服をリリスの時空収納に入れて貰えて助かったよ。しかし本当にリリスは規格外だな」
どうせ、旅に出るのだ時空収納に入れておけばいつでも取り出せる。
「まだまだ、入るわよ」
「バル様、こちらの部屋をご用意しましたわ。リリスの部屋はお向かいですわよ、ふふ」
バルはリエの邸へと引っ越してきた。
「ありがとう、リエ殿。あと…もう様は必要ない。俺は一般人になったのだから」
「わかりましたわ、ではバルとこれから呼ばせて頂きますわね。家族ですもの丁寧な言い回しもおかしいですわね」
「では…バル。これから家族としてリリスの夫としてよろしくね。私の事もリエと、キースの事もキースと呼ぶように…」
「わ、わかった…リエ」
なんだか、ギクシャクしている。どちらが結婚するのかわからない。バルはお婿にきた感じね。マスオさん状態だわね。
毎日、朝起きると夫となる人が朝からウロウロしている。なんだか変な感じ、かといってまだ、夫婦ではないし…
バルは朝食を済ませると城に向かう。まだディルイの引継ぎやセリアの手伝いをしている。バルは貴族を廃しているので、平民だ。本来なら城に平民が上がる事など合ってはならない。しかし、泉の件はバルにしか分からない。バルは民間でセリアに雇われている形にしたようだ。バルが旅に立ってしまうのが、不安なのかセリアは「救世主」は誰なのかと今でもしつこく聞いて来るらしい。リリスだとは微塵も思わないようだ。
そして、夕食を共にし、泉に毎日行き、別の寝室にて別れるのだ。そんな毎日だが、恋人たちは就寝前にテラスや談話室でふたりっきりで話をするのが楽しくてしょうがない。今日あった出来事や旅に必要なアイテムをリストアップしたりとするなかで、自然と手が触れ合い、髪が触れ、息がかかる。そして、見つめ合い何度もキスをする。
愛するふたりは我慢ができない。
「リリス、済まない。これ以上リリスとふたりでいると俺はなにをするかわからない。婚姻の儀が終わるまで俺はディルイの所に間借りさせてもらうよ」
「え?なんで?」
「なんでって、お、俺は男だから…ゆ、湯上がりのリリスとか見るとその…」
リリスは真っ赤になっているバルに向き合い、バルの腰に手を回す
「もう、婚約しているのだし…バルはまた婚約を解消するの?」
「リリスと婚約解消なんかするわけない」
「じゃあ、いいじゃない」
「な、なにがいいんだ!」
「バル、私に全部言わせるの?」
リリスは上目遣いでバルを魅了する。バルにしてみれば、すでに魅了などされなくても魅了されている。ふたりは熱い抱擁を交わし、長いキスをする。ふたりはそのまま朝まで一緒に過ごした。
「バル、リリス。婚約しているとはいえ、ん、ん、朝から同じ部屋から出てくるなんて、ちょっと…んん、ど、どうかしら?」
リエは少し、顔を赤らめながらふたりに諭す。朝食に降りて来ないふたりにリエは心配をして部屋まで迎えにいったのだ。部屋からふたりして見つめ合い腰に手を回しながら出てきた所を目撃してしまったのだ。キースからは、だからやめておけと止めたのにと言われている。
「ふふ、リエだって結婚前から俺の部屋に泊まっていただろう。向かいの部屋を用意しといてそれはないんじゃないのか?」
キースは真っ赤なバルと、朝食をもぐもぐ食べているリリスに笑顔で答える。
「キース!今はそれを言わないでちょーだい!わ、私はリリスの母親としてあるべき行動としてその…」
「大丈夫よ、バルは婚約解消なんて絶対にしないって言ったもの。この私に誓ったもの。私を裏切ったらどうなるかなんてバルなら分かっているはずよ、ね。バル?」
「あ、…う、裏切るなんてしない。今回の事はその…」
「バル、いいんだよ。愛するふたりに扉なんて邪魔なものさ。今日から同じ寝室を使うといいよ。ね、リエ?」
「ありがとう、お父さん。これからずっと一緒に居られるね、バル」
「あ、ああ」
バルはますます真っ赤である。
「もう、キースはリリスに甘いわよぉ」
「リリスはリエの娘だよ?親の言うことなんか聞くわけないだろう?」
「う、…そ、それはそうだけど…」
リエは根負けしてしまい、親公認になりました。
愛するふたりに壁も扉も邪魔である。今では寝室も一緒だ。フライング気味だが、すでに婚約しているし、無理やりではあったが親公認なので問題ない。初めての朝は流石に少々照れ臭かったが、リリスは今が一番幸せだ。もう旅なんかしなくてもいいかもなんて思ったりしたが、リエやキースはリリスを捜して仕事をして、疲労して人生遊んで来なかった。親孝行になるのならそれでもいいかなとも思う。
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