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401号室
第二話
家に帰ると夫がリビングでくつろいでいるところだった。
「もう帰ってきてたんだ。ご飯ちゃんと食べた?」
午後八時過ぎ。
ケーキを食べた後にショッピングやドライブをして、お腹が空いたのでトキちゃんと晩御飯も食べてきた。
夫に前もって、帰るのが早いなら晩御飯済ませて帰ってきてねと連絡を入れておいたが、私の方が帰るのが早いと思っていた。夫は大体午後九時を過ぎてから帰ってくるから。
昨日のことを気にして早めに帰ってきてくれたんだろうか?
「スーパーでお弁当買ってきて食べたけど、物足りなかった」
テレビを見ながらいう夫。
「じゃあ、何か作ろうか?」
上着を脱ぎながらそういった。
昨日のことは触れないように、いつも通りに。夫もきっとそう思ってるのがなぜか伝わってくる。
こうして私たちはまたこの問題を先送りにするんだ。
「我慢できなくなったらカップ麺でも自分で作るよ。さっきお風呂出たとこだから、
あったかいうちに入った方がいいよ」
「わかった」
夫にそう返事をして手を洗った後、着替えを準備する為に寝室に向かった。
寝室に入り電気をつけて、上着をハンガーにかけ下着を取り出す。
そのまま風呂場に向かえばいいのに、ベッドに腰を下ろして息を長く吐いた。
夫との少しのやり取りでなんだか疲れて、お風呂に入る気力がない。
私はスマートフォンを手に取り、SHを開いて登録だけ済ませておこうと入力を開始した。
せっかくだしどんな人が登録しているのか見るくらいはいいよね。でも、夫がたたなくなる前だったら登録もしようと思わなかったのかなと思う。
たたなくなって自信をなくしてしまったのか、夫は少し変わってしまった。それまで私たちはこんなに長く一緒にいるのに、付き合った頃と変わらず、いやそれ以上に仲が良くてなんの問題も抱えていなかった。
たまに喧嘩もするしこんな風に気まずくもなるけど、一緒にゲームをして笑ったり、年甲斐もなくふざけ合ったり、基本的に楽しく暮らしていたのに。
夫と出会ったのは二十歳を過ぎた頃だった。
二十歳になってもまだ誰とも付き合ったことがない私をみかねて、トキちゃんとは違う友人が紹介してくれた。
夫の第一印象は年上かな? だった。
同い年とは聞いていたけれど、落ち着いた雰囲気と気遣いある行動が大人っぽく見せていた。
趣味が一緒だったわけではないけれど、食の好みが似ていたり、苦手な物(人混みや絶叫マシン)が一緒だったので、ストレスなく一緒にいることができて、いつの間にかそれが当たり前になって付き合っていた。
私も夫も大学には進学せずに働いていたので、早くから二人でお金を貯めだして、交際二年になる日に入籍して一緒に暮らしだした。
夫とは青春を共にはしなかったけれど、輝かしい二十代を一緒に過ごしてずっと昔から知り合いだった気がしている。
「もう帰ってきてたんだ。ご飯ちゃんと食べた?」
午後八時過ぎ。
ケーキを食べた後にショッピングやドライブをして、お腹が空いたのでトキちゃんと晩御飯も食べてきた。
夫に前もって、帰るのが早いなら晩御飯済ませて帰ってきてねと連絡を入れておいたが、私の方が帰るのが早いと思っていた。夫は大体午後九時を過ぎてから帰ってくるから。
昨日のことを気にして早めに帰ってきてくれたんだろうか?
「スーパーでお弁当買ってきて食べたけど、物足りなかった」
テレビを見ながらいう夫。
「じゃあ、何か作ろうか?」
上着を脱ぎながらそういった。
昨日のことは触れないように、いつも通りに。夫もきっとそう思ってるのがなぜか伝わってくる。
こうして私たちはまたこの問題を先送りにするんだ。
「我慢できなくなったらカップ麺でも自分で作るよ。さっきお風呂出たとこだから、
あったかいうちに入った方がいいよ」
「わかった」
夫にそう返事をして手を洗った後、着替えを準備する為に寝室に向かった。
寝室に入り電気をつけて、上着をハンガーにかけ下着を取り出す。
そのまま風呂場に向かえばいいのに、ベッドに腰を下ろして息を長く吐いた。
夫との少しのやり取りでなんだか疲れて、お風呂に入る気力がない。
私はスマートフォンを手に取り、SHを開いて登録だけ済ませておこうと入力を開始した。
せっかくだしどんな人が登録しているのか見るくらいはいいよね。でも、夫がたたなくなる前だったら登録もしようと思わなかったのかなと思う。
たたなくなって自信をなくしてしまったのか、夫は少し変わってしまった。それまで私たちはこんなに長く一緒にいるのに、付き合った頃と変わらず、いやそれ以上に仲が良くてなんの問題も抱えていなかった。
たまに喧嘩もするしこんな風に気まずくもなるけど、一緒にゲームをして笑ったり、年甲斐もなくふざけ合ったり、基本的に楽しく暮らしていたのに。
夫と出会ったのは二十歳を過ぎた頃だった。
二十歳になってもまだ誰とも付き合ったことがない私をみかねて、トキちゃんとは違う友人が紹介してくれた。
夫の第一印象は年上かな? だった。
同い年とは聞いていたけれど、落ち着いた雰囲気と気遣いある行動が大人っぽく見せていた。
趣味が一緒だったわけではないけれど、食の好みが似ていたり、苦手な物(人混みや絶叫マシン)が一緒だったので、ストレスなく一緒にいることができて、いつの間にかそれが当たり前になって付き合っていた。
私も夫も大学には進学せずに働いていたので、早くから二人でお金を貯めだして、交際二年になる日に入籍して一緒に暮らしだした。
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