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第10話

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 真琴が女になったあの日から一か月程たった。
 何も変わらない真琴と、無防備なうなじや細い腰にムラッとしてしまうようになった俺。
 理由はわかっている。女であった時の姿が頭をかすめるからだ。ただそれだけ。そう思おうとして、男である真琴をどこか意識している自分を見ないようにしていた。
「今度の土曜また家にこないか? カレー作るけど、食べる奴いねぇから」
 その誘いにのって、今真琴の家の前にはいるが、きっかけさえあれば襲ってしまうんじゃないかと自分の理性に不安があった。
 俺よりも荒い言葉遣いで、男らしいといえばらしいが、真琴は小柄で細い。
 そういえば、小さい頃から見た目でなよなとしてるとからかわれたり、男らしくないといわれることに酷く怒っていたっけ。
 今思えば、舐められないようにするために、そういう強い言葉遣いをしていたのかもしれない。一緒に大きくなったようなものなのに、もっと早く気づいてやればよかったと思う。
 これからはもっと気にかけてやろう。俺はそう思いながら玄関チャイムを鳴らした。
 ガチャ。ドアを開けた真琴はまた女の姿になっていた。
「え!?」
 驚く俺を見つめる真琴はぶっきらぼうに口を開く。
「早く入れよ」
 その言葉に大人しく従い中に入る。
「後、カレーの前に大事な話しがある」
 リビングの方に向かう前にそういわれた。
 話しって何だろうか? リビングテーブルの椅子に座り、お茶の準備をする真琴を待つ。
 一体何をいわれるのか想像がつかない。
「お待たせ」
 その言葉とともに目の前に置かれたカップからは、美味しそうなコーヒーの香りがたっている。
 向かいの席に真琴が座り、カップを持って一口すする。そして、口を閉じた。
 どうすればいいのかわからない沈黙に、俺もとりあえずコーヒーをすする。
「俺、ずっと竜樹のことが好きだったんだ。女がいいなら、俺、ずっとこの姿のままでもいい」
 思いがけない告白に言葉が出ない。
「俺と……いや私と付き合ってください」
 男らしかった親友の告白に処理が全然追いつかない。元々女だったなら即答していただろう。しかし、男と付き合うということには戸惑いを感じてしまう。
 俺は真琴にずっと女でいて欲しいとは思っていなかった。やっぱりそれは本人の姿ではないと思うからだ。
 真琴には真琴らしくいて欲しい。振って気まづくなるくらいなら、付き合って自分の気持ちを確かめたい。
「いいよ、付き合おう。だが、真琴に女でいて欲しいとは思っていないからな。俺は多分真琴自身が好きだから」
 その言葉に真琴は涙を流しだした。
「おい、真琴……」
 立ち上がって近づくとそっぽを向かれる。
「見んなよ。絶対振られると思ってたから」
 震える声でいうその背中を抱きしめた。すっぽりとおさまるその柔らかく小さな体に、欲情してしまう。
「なぁ、背中に当たってんだけど、それたつのはやっぱ女だからか?」
 そういって振り返った真琴はとにかくかわいかった。
「いやまぁ、それもあるけど。あれから男に戻った真琴にもムラムラはしてた。まだ戸惑ってはいるけど、真琴にすごく惹かれてる」
 正直に告白すると顔を赤く染める真琴。
 この前女の体の愛し方を知ったとこで、男の愛し方なんかわからないが、好きならば、真琴とならばなんとかなるような気がした。
「じゃあ、男に戻れるようにこれからやりますか」
 さっきまで涙を流してはしおらしかった真琴は、俺の服に手をかけて強引に脱がしにかかる。
「あっ、ちょっ、待てよ」
「無理。俺早く竜樹と愛し合いてぇもん。この体じゃなく、元の姿で。俺のそのまんまでも好きになってくれるって確かめてぇもん。男のまま告白すりゃよかった」
 そういって動きを止めた真琴を抱きしめる。
「わかったよ。俺頑張るから、男に戻ったらまた告白してくれ。返事は変わらないからさ」
 顔を上げた真琴の頬にはまた涙が伝っている。そのかわいらしい顔に俺は優しくキスをした。

 その後、真琴が男に戻るまで精を出し尽くし、男に戻った真琴と抱き合ったものの肝心なところは無反応で、やっぱり女がいいんだと俺の気持ちを疑われたのは情けない話しだった。
 次の休みにはと、俺はオナニーを我慢して真琴に挑んだ。
 まぁ、無事に俺のモノは役目をはたしてくれたわけで、真琴の不安も取り除けて、俺たちは特別な仲になった。
 その詳しい話はジャンルが変わるのでまた今度。
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