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真理恵が帰ってきたのは七時過ぎだった。
真広が子供を預かることになったと聞かされた時は心底驚いたが、それでも律儀にケーキを三つ買ってきた。
それにしても子供とは。そんなものとは縁のない人生だと思っていた真理恵は表面上はいつも通り落ち着いて見えたが、内心混乱していた。
叔父の横暴さに辟易としながらも三日とは言え、うちで子供が暮らせるのか不安だった。
真理恵は玄関の前で胸に手を当て、息を吐いた。そして小さく笑顔を作る。それは仕事の時に浮かべる類いの笑顔だった。
「ただいま」
真理恵が玄関で靴を脱いだ時、小さな長靴がバラバラに倒れているのを見つけた。
こういうことが許せない真理恵は長靴を揃えて並べ直した。
真理恵が居間に入るとホッとした真広と目が合った。真理恵はそれに呆れ、窓際で外を眺める子供を見つめた。
小白は家の中でも野球帽をかぶったままだ。真理恵はそれを注意しようとしたが、よその子に厳しくすれば帰った時に色々と言われそうだと思い、やめておいた。
「えっと、遠路はるばる大変でしたね」
小白は振り返るとその瞳に真理恵が映った。真理恵はなんだか自分がひどく老けたような錯覚に陥る。それが半分事実であることに気付くと眉をひそめた。
「お名前は?」
「コハク」
「そう。コハク君ね。ケーキは好き?」
「まあまあ」
「あら。じゃあなにが好きなの?」
「魚。ねこだから」
「それは健康的でいいわね」
そう言ってから真理恵は真広を見た。たしかにさっきねこと言った気がしたからだ。
真広はなんとも複雑そうな顔で自信がなさそうに答える。
「その、なんだ。ねこになりたいらしい」
「……そう。変わった夢ですね。でもお魚が好きなのはいいことです」
真理恵は真広よりはすんなりとコハクを受け入れていた。
真理恵の職場には子供のいる若い女性が多い。その子達が子供が変なことを言ったとかわけのわからないことをしたというのをよく聞いていたからだ。その子達と仲が良いわけではないが、昼休みに休憩室で食事と取っていると聞こえてきた。
大変そうだなと思いつつ、羨ましさもあったその子供が真理恵の目の前にいる。いたらいたらでどう扱っていいか分からず、真理恵は幼い頃に自分が親戚の家に行った時と同様、とりあえず笑いかけていた。
「夕飯にしましょうか。お魚はありましたっけ?」
「あるにはあるけど、鯖が二切れだけだ。お肉なら冷凍していた分があるんだけど。お肉でもいいかな?」
真広は小白に尋ねた。小白はこくんと頷く。
「肉も好き。ねこだから」
「よかった」
真広は安心するが真理恵は眉をひそめた。
「お野菜は?」
「きらい」
「でもねこは草を食べますよ」
「…………知らん」
小白は真理恵から目を逸らす。真理恵はなにか言いたそうだったが、真広が間に入った。
「まあまあ。ここにいる三日くらいいじゃないか。家に帰ったら親が食べさせるよ」
「家で食べてるならここでも食べさせないと怒られるでしょう。私達も食べるんですから。あなたも出されたものは食べなさい」
小白はまたそっぽを向いて「好かん」とぼやいた。その態度に真理恵は眉根を寄せる。
鈴原家の食事は二人が交代で作っていた。夜は真広。朝は真理恵が担当している。
だが今日は二人でキッチンに立った。野菜の皮を剥きながら真理恵は真広に尋ねる。
「なんなんですかあの子は?」
「まあ、知らない家に一人で来たんだ。無愛想にもなるさ」
「それにしても可愛げがない子ですね」
「お前の小さい頃によく似ているよ」
「そんなことないでしょう?」
真理恵はそう言うが、小さい頃はよく大人を睨んでいた。警戒感が強いというよりは大人というものがなんなのかよく分かっていなかった。そういったものを学ばなかったのだ。
「部屋はどうしようか?」
「母さんの部屋しかないでしょう。敷き布団は洗濯しましたよね?」
「ああ。掛け布団も干してある。枕は……どうだったかな? なんにせよ掃除しておいてよかった」
「そうですか? あの部屋に誰かがいるのはあまり……」
真理恵はそこまで言って黙った。だが真広は真理恵の言いたいことが分かった。なんて言っていいのかは分からない。だがやはり違和感はあるし、色々と思い出す。
あの部屋に人の気配があるだけでこの家に妙な緊張感が漂うのだ。閉塞感にも似た、あの感覚が家を包み込むように思えた。
「ああ……。まあ、だけど二、三日だよ。それにあの子は子供で、しっかりしてる」
「……そうですね。でも家の中で帽子は脱いでもらいましょう」
真広は冗談めいて言った。
「母さんに似てきたな」
「それは言わないでください」
真理恵はうんざりしていた。だが二人の母はそういったことに一々と厳しかった。
ベッドの上であれこれと指図する。そのわりに心は弱く、ちょっとしたことで塞ぎ込んだ。病気だから仕方がないと思っていた二人だが、内心その不条理さに嫌気が差していた。
しかしそれも家族だから耐えてこられた。というよりも家族だから逃げられなかった。赤の他人なら二人とももっと無責任になれただろう。
夕飯は酢豚だった。タマネギやにんじんを見て小白は眉をひそめる。
「野菜は好かん」
「好かなくても食べなさい。酢豚にしたし、大分おいしいですよ」
真利奈はピシャリとそう言った。実際味付けは普段より濃くしておいた。
小白は眉をひそめたままにんじんを箸で掴み、そして前歯の先端でほんの少しだけ囓り取った。難しい顔でこれは食べられるかゆっくりと吟味し、そして飲み込む。それを野菜の分だけ繰り返し、報告した。
「にんじんとピーマンは食べれる。でもタマネギはいらん」
真理恵はやれやれと溜息をついた。
「まあ、それくらいはいいでしょう。ほら、いらないならこっちにください」
「全部とって。残さずに」
小白は自分の皿にタマネギが残ってないか監視していた。そんな二人を見ながら真広はなんだか楽しくなりながらも黙って食事を続けていた。
白米と味噌汁。そしてタマネギ以外の酢豚を平らげた小白は口の周りを汚して満足そうだった。
だがお楽しみはこれからだ。買ってきたケーキを見せると小白の目が輝いた。
この辺りはまだまだ子供だなと二人は思った。
ケーキを食べながら小白は言った。
「ケーキは二回目。これなら何個でも食べられる」
「二回目?」と真理恵は不思議がった。「誕生日とかに食べなかったの?」
「ない」
真広と真理恵は顔を見合わせた。二人でさえ誕生日にはケーキを食べてきた。スーパーの見切り品だが、それでも食べた。
なにかイヤな予感がした二人だが、それでも喜ぶ小白を見て安心していた。
真広は自分のケーキを差し出した。
「じゃあ、これも食べたらいい」
「いいの?」
「ああ。大人になると中華のあとにケーキは食べられなくなるんだ」
「じゃあ代わりに食べてあげる」
小白はケーキを受け取ると真理恵を見た。真理恵は笑ってフォークでケーキを食べた。
「私は食べますよ。まだそんな歳だとは思ってませんから」
「……そっか」
小白は残念そうだったが、それでも気を取り直してケーキを食べた。
その様子がおかしくて真理恵は忍び笑う。
先に食べ終わった真広は食器を持って立ち上がった。
「お風呂の準備はできてるから食べ終わったら入ったらいい。着替えは?」
「ある」と小白は口の周りをクリームで汚しながら言った。
「そう。お風呂は廊下の奥だ。古いけどまあ、悪くはない」
「うん。じゃあ入る」
小白は頷き、真広は流し台で皿を洗った。
真理恵はフォークについたクリームを舐める小白に言った。
「家にいる時は帽子を脱ぎなさい。食事中にかぶってて怒られないんですか?」
「怒られない。かぶってろって言われるから」
「おじさんが? あの人も常識がないですね」
真理恵が呆れていると食べ終わった小白が立ち上がった。
「入ってくる」
「ご馳走様は?」
「ごちそうさま」
小白はリュックを持ってドタドタとお風呂に向かっていった。
真理恵はマイペースで慌ただしい小白に嘆息しながら残ったケーキを食べた。そこに真広が紅茶を淹れて戻ってくる。
「元気だな」
「元気すぎます。まあ、いいことなのかもしれませんけど」
二人で紅茶を飲んでいるとこの数分で随分歳を取った気がした。
同時に世の親達はすごいと思った。たった数時間子供と一緒にいるだけでこれだけ疲れるのに、それを育て、相手をし続けないといけないなんて。
自分達には無理だ。二人は珍しく意見が一致していた。
だがこの疲れは母の介護の時とは違い、前向きなものでもあった。だから二人ともある程度満足はしている。
良い経験になった。そんな感想を二人が抱いた時だった。
「ぎゃああああぁぁッ!」
小白の叫びが家中に響いた。
二人は目を丸くして固まり、そして慌てて風呂場に向かった。
「なんだ? どうした?」
「なにがあったんです?」
風呂場のドアを開けた二人は唖然とした。そこには涙目を浮かべる裸の小白がいた。
「水が……。いきなり……。シャワーで……」
この家のシャワーは中々お湯が出てこないのは確かだが、二人がこれでもかと驚いたのには別の理由があった。
小白は女の子だった。
長い髪がしっとりと濡れている。
それはまだいい。
問題は小白の耳が横ではなく、上に付いていたことだ。
それも人ではなく、猫のような三角の耳が。
その耳を見て真広は口をポカンと開け、真理恵はその場でへたり込んだ。
大変なことになった。
二人は同時にそう思った。
真広が子供を預かることになったと聞かされた時は心底驚いたが、それでも律儀にケーキを三つ買ってきた。
それにしても子供とは。そんなものとは縁のない人生だと思っていた真理恵は表面上はいつも通り落ち着いて見えたが、内心混乱していた。
叔父の横暴さに辟易としながらも三日とは言え、うちで子供が暮らせるのか不安だった。
真理恵は玄関の前で胸に手を当て、息を吐いた。そして小さく笑顔を作る。それは仕事の時に浮かべる類いの笑顔だった。
「ただいま」
真理恵が玄関で靴を脱いだ時、小さな長靴がバラバラに倒れているのを見つけた。
こういうことが許せない真理恵は長靴を揃えて並べ直した。
真理恵が居間に入るとホッとした真広と目が合った。真理恵はそれに呆れ、窓際で外を眺める子供を見つめた。
小白は家の中でも野球帽をかぶったままだ。真理恵はそれを注意しようとしたが、よその子に厳しくすれば帰った時に色々と言われそうだと思い、やめておいた。
「えっと、遠路はるばる大変でしたね」
小白は振り返るとその瞳に真理恵が映った。真理恵はなんだか自分がひどく老けたような錯覚に陥る。それが半分事実であることに気付くと眉をひそめた。
「お名前は?」
「コハク」
「そう。コハク君ね。ケーキは好き?」
「まあまあ」
「あら。じゃあなにが好きなの?」
「魚。ねこだから」
「それは健康的でいいわね」
そう言ってから真理恵は真広を見た。たしかにさっきねこと言った気がしたからだ。
真広はなんとも複雑そうな顔で自信がなさそうに答える。
「その、なんだ。ねこになりたいらしい」
「……そう。変わった夢ですね。でもお魚が好きなのはいいことです」
真理恵は真広よりはすんなりとコハクを受け入れていた。
真理恵の職場には子供のいる若い女性が多い。その子達が子供が変なことを言ったとかわけのわからないことをしたというのをよく聞いていたからだ。その子達と仲が良いわけではないが、昼休みに休憩室で食事と取っていると聞こえてきた。
大変そうだなと思いつつ、羨ましさもあったその子供が真理恵の目の前にいる。いたらいたらでどう扱っていいか分からず、真理恵は幼い頃に自分が親戚の家に行った時と同様、とりあえず笑いかけていた。
「夕飯にしましょうか。お魚はありましたっけ?」
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真広は小白に尋ねた。小白はこくんと頷く。
「肉も好き。ねこだから」
「よかった」
真広は安心するが真理恵は眉をひそめた。
「お野菜は?」
「きらい」
「でもねこは草を食べますよ」
「…………知らん」
小白は真理恵から目を逸らす。真理恵はなにか言いたそうだったが、真広が間に入った。
「まあまあ。ここにいる三日くらいいじゃないか。家に帰ったら親が食べさせるよ」
「家で食べてるならここでも食べさせないと怒られるでしょう。私達も食べるんですから。あなたも出されたものは食べなさい」
小白はまたそっぽを向いて「好かん」とぼやいた。その態度に真理恵は眉根を寄せる。
鈴原家の食事は二人が交代で作っていた。夜は真広。朝は真理恵が担当している。
だが今日は二人でキッチンに立った。野菜の皮を剥きながら真理恵は真広に尋ねる。
「なんなんですかあの子は?」
「まあ、知らない家に一人で来たんだ。無愛想にもなるさ」
「それにしても可愛げがない子ですね」
「お前の小さい頃によく似ているよ」
「そんなことないでしょう?」
真理恵はそう言うが、小さい頃はよく大人を睨んでいた。警戒感が強いというよりは大人というものがなんなのかよく分かっていなかった。そういったものを学ばなかったのだ。
「部屋はどうしようか?」
「母さんの部屋しかないでしょう。敷き布団は洗濯しましたよね?」
「ああ。掛け布団も干してある。枕は……どうだったかな? なんにせよ掃除しておいてよかった」
「そうですか? あの部屋に誰かがいるのはあまり……」
真理恵はそこまで言って黙った。だが真広は真理恵の言いたいことが分かった。なんて言っていいのかは分からない。だがやはり違和感はあるし、色々と思い出す。
あの部屋に人の気配があるだけでこの家に妙な緊張感が漂うのだ。閉塞感にも似た、あの感覚が家を包み込むように思えた。
「ああ……。まあ、だけど二、三日だよ。それにあの子は子供で、しっかりしてる」
「……そうですね。でも家の中で帽子は脱いでもらいましょう」
真広は冗談めいて言った。
「母さんに似てきたな」
「それは言わないでください」
真理恵はうんざりしていた。だが二人の母はそういったことに一々と厳しかった。
ベッドの上であれこれと指図する。そのわりに心は弱く、ちょっとしたことで塞ぎ込んだ。病気だから仕方がないと思っていた二人だが、内心その不条理さに嫌気が差していた。
しかしそれも家族だから耐えてこられた。というよりも家族だから逃げられなかった。赤の他人なら二人とももっと無責任になれただろう。
夕飯は酢豚だった。タマネギやにんじんを見て小白は眉をひそめる。
「野菜は好かん」
「好かなくても食べなさい。酢豚にしたし、大分おいしいですよ」
真利奈はピシャリとそう言った。実際味付けは普段より濃くしておいた。
小白は眉をひそめたままにんじんを箸で掴み、そして前歯の先端でほんの少しだけ囓り取った。難しい顔でこれは食べられるかゆっくりと吟味し、そして飲み込む。それを野菜の分だけ繰り返し、報告した。
「にんじんとピーマンは食べれる。でもタマネギはいらん」
真理恵はやれやれと溜息をついた。
「まあ、それくらいはいいでしょう。ほら、いらないならこっちにください」
「全部とって。残さずに」
小白は自分の皿にタマネギが残ってないか監視していた。そんな二人を見ながら真広はなんだか楽しくなりながらも黙って食事を続けていた。
白米と味噌汁。そしてタマネギ以外の酢豚を平らげた小白は口の周りを汚して満足そうだった。
だがお楽しみはこれからだ。買ってきたケーキを見せると小白の目が輝いた。
この辺りはまだまだ子供だなと二人は思った。
ケーキを食べながら小白は言った。
「ケーキは二回目。これなら何個でも食べられる」
「二回目?」と真理恵は不思議がった。「誕生日とかに食べなかったの?」
「ない」
真広と真理恵は顔を見合わせた。二人でさえ誕生日にはケーキを食べてきた。スーパーの見切り品だが、それでも食べた。
なにかイヤな予感がした二人だが、それでも喜ぶ小白を見て安心していた。
真広は自分のケーキを差し出した。
「じゃあ、これも食べたらいい」
「いいの?」
「ああ。大人になると中華のあとにケーキは食べられなくなるんだ」
「じゃあ代わりに食べてあげる」
小白はケーキを受け取ると真理恵を見た。真理恵は笑ってフォークでケーキを食べた。
「私は食べますよ。まだそんな歳だとは思ってませんから」
「……そっか」
小白は残念そうだったが、それでも気を取り直してケーキを食べた。
その様子がおかしくて真理恵は忍び笑う。
先に食べ終わった真広は食器を持って立ち上がった。
「お風呂の準備はできてるから食べ終わったら入ったらいい。着替えは?」
「ある」と小白は口の周りをクリームで汚しながら言った。
「そう。お風呂は廊下の奥だ。古いけどまあ、悪くはない」
「うん。じゃあ入る」
小白は頷き、真広は流し台で皿を洗った。
真理恵はフォークについたクリームを舐める小白に言った。
「家にいる時は帽子を脱ぎなさい。食事中にかぶってて怒られないんですか?」
「怒られない。かぶってろって言われるから」
「おじさんが? あの人も常識がないですね」
真理恵が呆れていると食べ終わった小白が立ち上がった。
「入ってくる」
「ご馳走様は?」
「ごちそうさま」
小白はリュックを持ってドタドタとお風呂に向かっていった。
真理恵はマイペースで慌ただしい小白に嘆息しながら残ったケーキを食べた。そこに真広が紅茶を淹れて戻ってくる。
「元気だな」
「元気すぎます。まあ、いいことなのかもしれませんけど」
二人で紅茶を飲んでいるとこの数分で随分歳を取った気がした。
同時に世の親達はすごいと思った。たった数時間子供と一緒にいるだけでこれだけ疲れるのに、それを育て、相手をし続けないといけないなんて。
自分達には無理だ。二人は珍しく意見が一致していた。
だがこの疲れは母の介護の時とは違い、前向きなものでもあった。だから二人ともある程度満足はしている。
良い経験になった。そんな感想を二人が抱いた時だった。
「ぎゃああああぁぁッ!」
小白の叫びが家中に響いた。
二人は目を丸くして固まり、そして慌てて風呂場に向かった。
「なんだ? どうした?」
「なにがあったんです?」
風呂場のドアを開けた二人は唖然とした。そこには涙目を浮かべる裸の小白がいた。
「水が……。いきなり……。シャワーで……」
この家のシャワーは中々お湯が出てこないのは確かだが、二人がこれでもかと驚いたのには別の理由があった。
小白は女の子だった。
長い髪がしっとりと濡れている。
それはまだいい。
問題は小白の耳が横ではなく、上に付いていたことだ。
それも人ではなく、猫のような三角の耳が。
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