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〇107 叶うはずのない恋に溺れる少女 恋日可恋の物語
しおりを挟む私は先生が好き。
私が通っている中学校の、先生が。
先生はいつでも優しくて、気遣いに満ち溢れていた。
地味で目立たない。名前だけ存在感のある私の事も、気にかけてくれた。
恋に落ちるのに、そう時間はかからなかった。
最初は見てるだけ良かった。
先生と一言二言お喋りするだけで幸せだった。
でも、だんだんそれじゃあ満足できなくなった。
先生と一緒になりたい。
いつまでも一緒にいたい。
自然とそう思うようになった。
ある日、先生が私を頼ってくれた。
それが嬉しかった。
外出先で偶然先生と出会った時、先生は万引きを疑われて、店員に詰め寄られていた。
だから私は先生が捕まってしまわないように、って。
私が先生にいたずらをした事にしたのだ。
店員さんには怒られてしまったけれど、先生がかばってくれたから嬉しい。
翌日から、先生がよく話しかけてくれるようになった。
もっと嬉しい。
数日後、先生は学校のルールを破った。
校内でタバコを吸うのは禁止って決められているのに、校舎裏でタバコを吸っているのを見かけてしまった。
でも、私は先生の味方だから黙ってた。
学校の先生って大変だもんね。
先生みためがかっこいいから、気がない女子生徒に言い寄られていつも迷惑しているし。
それなのに、他の生徒が先生がいるその場所に行こうとしていたから、先生に「人が近づいてきますよ」って知らせてあげたのだ。
すると、先生は「また助けられたな」って頭をなでて褒めてくれた。
とても嬉しい。
先生は次の日、私にプレゼントをしてくれた。
おもちゃの指輪だけど、これってそういう事なのかな?
好きな人からもらったプレゼント、一生大切にしなくちゃ。
その頃から、休日に先生とデートする事が増えた。
嬉しい。嬉しい。嬉しい。
今だったら、死んでもいいかもしれない。
そう思っていたら罰が当たったのかも。
先生が人をひいてしまった。
大変。
先生を守らなくちゃ。
私が先生を守るんだ。
私だけが先生を守れるんだ。
だから、やらなくちゃ。
私は、すぐに先生から車の鍵をもらった。
はい、私は人の車を勝手に運転した悪い子です。その車で人を引きました。
私はこれで先生に会えなくなるけど、それでいいの。
先生にはたくさんの幸せをもらったから。
でもちょっぴり不安。
先生に会えない時間が続くのは我慢できなくなりそう。
私、我慢できる子かな。大丈夫かな。
「ねぇ、あなた。そういえば最近、あなたの周りをうろちょろしていたストーカーみたいなの、見ないわね」
「ん? ああ、捕まったからな」
「えっ? どういう事? ……ふーん。なるほど。うまくやったじゃない」
「馬鹿な奴だよな。体よく追い払われたってこと知らないで。でも便利な奴だったからいなくなったのは少しおしいな」
「まったく利用されてるとも知らないで、本当に馬鹿な、きゃぁぁぁ!」
「どうした。今、窓の外に血まみれの女の子が」
「何っ!」
我慢できなかったよ。
えへへ、先生?
先生に会いたかったから、がんばって出てきちゃった
それより、さっきの話本当じゃないですよね。
その女の人につきまとわれて、怖いから話を合わせていただけですよね。
もう大丈夫です。
今度も私が先生を助けてあげますから。
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