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〇113 こんな彼氏とは付きあいたくない!
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花園梨花は、中学一年生。
四月に中学校に入学して、新しい学校での生活を満喫していた最中だった。
その学校では、気になる幼なじみでの少年、茅ヶ崎とーわと一緒の学校に通う事ができて、嬉しかった。
けれど、そのとーわが最近梨花を避けているのが気になった。
我慢ならなくなった梨花は、どういう事か問い詰ようと、学校の屋上にとーわを呼び出した。
そしたら、顔を真っ赤にしたとーわから「お前の事が好きすぎてまともに顔を見られなくなったんだ」と、言われ「梨花! 好きだ! いや、愛してる! 俺とつきあってくれ!」こんな風に告白されてしまった。
「ふぇっ!?」
呆然としている間にまくしたてられる。
「ずっと前からお前と付き合いたいと思ってたんだ」
とか。
「だから、これからはなるべく一緒にいたい」
とか。
「でも、人前で付き合うのは恥ずかしいから、誰も見てないところでイチャイチャしような」
なんて、ヘタレ発言とか。
「あと、手を繋いだり、話したりするのも駄目な」
なんて、とんでも発言も。
とーわはあちこちに視線をむける。
周辺の建物から、または屋上へに入り口から、設置されてる監視カメラから、人の視線が注がれていないかチェックしてそうだった。
そわそわしながら、誰かに見られていないか確認しているその姿に、告白された嬉しさが全て吹っ飛んでいった。
梨花は、拳を握りしめて、相手の腹にグーパンチした。
「とーわの、とーわのばかぁぁぁぁっ!」
「ぐはっ!」
梨花は大股でその場から歩き去った。
それから一応二人は付き合う事になったのだが。
「あっ、人が来た」
本当に人前ではいちゃいちゃしなかった。
「とーわは何で、そんなに人目を気にするの?」
「だって、面白半分にはやしたてれられたら嫌だろ」
「それは分かるけど」
「それにやっぱり恥ずかしいし」
「そこは何とかしてよ」
とーわは、かなりのへたれ男子だった。
「あっ、また人が。梨花、離れて!」
「むーっ!」
「怒るなよ~」
で、人が離れた途端べたべたしてくる。
「なあ、梨花、キスしていい?」
「やだ」
「何でだよ~」
「私の方こそ、何でだよ~だよ! さっきのあれがあってよくできるね、とーわ!」
バチーン
「いってー!」
あんなに好きだったのに、恋愛ではとたんにへたれてくるとーわの態度に、梨花の恋心は氷点下へと失墜だった。
そして極めつけには。
下校中に一緒に帰っていると、とーわがぱっと距離をあけた。
「はっ、向こうから人が歩いてくる!」
「あれって、とーわのお母さんだよね。いつかわ報告しなくちゃいけないんだから、別に隠さなくてもいいんじゃないの?」
「いや、だめだ。出来る限りギリギリまで秘密にしておこう。母さん噂好きだし、話したら近所で噂されるだろうし」
「え~」
それは、買い物帰りのとーわの母だった。
幼い頃からとーわと付き合いがあるので、梨花は家族の顏もしっかりと覚えていた。
そんなとーわの母がこっちに気づいて声をかけてくる。
「あわ~、梨花ちゃん。こんにちわ。とーわと一緒に下校? 相変わらず仲良いわね~」
「ばっ、そんなんじゃねーし。梨花はただの幼なじみだっての」
「またまた、照れちゃって~。小さい頃は梨花ちゃんをお嫁さんにするんだって言ってたのに~」
「そんなの子供の頃の話だろ! そんな恥ずかしい話よしてくれよ」
「まったくもう、意地っ張りなんだから。夕飯の支度があるから、じゃあ先に帰るわね。梨花ちゃん、うちの息子をよろしくね~。ごゆっくり」
とーわのお母さんがニヤニヤ笑いで去っていった後、トーワが口をこぼす。
「ったく、うちの母さん。いつもああなんだよな。困っちゃうよな」
けど、私はとーわとは別の部分が気になっていた。
とーわはさきほど何てこたえたんだろう。
確か。
本人を前にして、結構ひどい事言われた気がする。
「とーわ」
「ん?」
「へ~、そんなんじゃないんだ。恥ずかしい話なんだ。私と付き合ってる事って」
「ばっ、ちがっ!」
「違わなくないでしょ。もうっ、とーわのばかっ、知らない、別れてやるんだからっ!」
「まっ、待てよ!」
私は走り去りながら、とーわに罵詈雑言をなげつけた。
「そんなんじゃ、一生彼女できないんだからねっ! つきあってあげないんだからねっ!」
一組のカップルが破局するかいなかの局面だというのに、そんなときでも「ばかっ! そんな大声で言ったら他の人にきこえるだろ!」とーわはとーわだった。
こんな彼氏とはつきあいたくない。
四月に中学校に入学して、新しい学校での生活を満喫していた最中だった。
その学校では、気になる幼なじみでの少年、茅ヶ崎とーわと一緒の学校に通う事ができて、嬉しかった。
けれど、そのとーわが最近梨花を避けているのが気になった。
我慢ならなくなった梨花は、どういう事か問い詰ようと、学校の屋上にとーわを呼び出した。
そしたら、顔を真っ赤にしたとーわから「お前の事が好きすぎてまともに顔を見られなくなったんだ」と、言われ「梨花! 好きだ! いや、愛してる! 俺とつきあってくれ!」こんな風に告白されてしまった。
「ふぇっ!?」
呆然としている間にまくしたてられる。
「ずっと前からお前と付き合いたいと思ってたんだ」
とか。
「だから、これからはなるべく一緒にいたい」
とか。
「でも、人前で付き合うのは恥ずかしいから、誰も見てないところでイチャイチャしような」
なんて、ヘタレ発言とか。
「あと、手を繋いだり、話したりするのも駄目な」
なんて、とんでも発言も。
とーわはあちこちに視線をむける。
周辺の建物から、または屋上へに入り口から、設置されてる監視カメラから、人の視線が注がれていないかチェックしてそうだった。
そわそわしながら、誰かに見られていないか確認しているその姿に、告白された嬉しさが全て吹っ飛んでいった。
梨花は、拳を握りしめて、相手の腹にグーパンチした。
「とーわの、とーわのばかぁぁぁぁっ!」
「ぐはっ!」
梨花は大股でその場から歩き去った。
それから一応二人は付き合う事になったのだが。
「あっ、人が来た」
本当に人前ではいちゃいちゃしなかった。
「とーわは何で、そんなに人目を気にするの?」
「だって、面白半分にはやしたてれられたら嫌だろ」
「それは分かるけど」
「それにやっぱり恥ずかしいし」
「そこは何とかしてよ」
とーわは、かなりのへたれ男子だった。
「あっ、また人が。梨花、離れて!」
「むーっ!」
「怒るなよ~」
で、人が離れた途端べたべたしてくる。
「なあ、梨花、キスしていい?」
「やだ」
「何でだよ~」
「私の方こそ、何でだよ~だよ! さっきのあれがあってよくできるね、とーわ!」
バチーン
「いってー!」
あんなに好きだったのに、恋愛ではとたんにへたれてくるとーわの態度に、梨花の恋心は氷点下へと失墜だった。
そして極めつけには。
下校中に一緒に帰っていると、とーわがぱっと距離をあけた。
「はっ、向こうから人が歩いてくる!」
「あれって、とーわのお母さんだよね。いつかわ報告しなくちゃいけないんだから、別に隠さなくてもいいんじゃないの?」
「いや、だめだ。出来る限りギリギリまで秘密にしておこう。母さん噂好きだし、話したら近所で噂されるだろうし」
「え~」
それは、買い物帰りのとーわの母だった。
幼い頃からとーわと付き合いがあるので、梨花は家族の顏もしっかりと覚えていた。
そんなとーわの母がこっちに気づいて声をかけてくる。
「あわ~、梨花ちゃん。こんにちわ。とーわと一緒に下校? 相変わらず仲良いわね~」
「ばっ、そんなんじゃねーし。梨花はただの幼なじみだっての」
「またまた、照れちゃって~。小さい頃は梨花ちゃんをお嫁さんにするんだって言ってたのに~」
「そんなの子供の頃の話だろ! そんな恥ずかしい話よしてくれよ」
「まったくもう、意地っ張りなんだから。夕飯の支度があるから、じゃあ先に帰るわね。梨花ちゃん、うちの息子をよろしくね~。ごゆっくり」
とーわのお母さんがニヤニヤ笑いで去っていった後、トーワが口をこぼす。
「ったく、うちの母さん。いつもああなんだよな。困っちゃうよな」
けど、私はとーわとは別の部分が気になっていた。
とーわはさきほど何てこたえたんだろう。
確か。
本人を前にして、結構ひどい事言われた気がする。
「とーわ」
「ん?」
「へ~、そんなんじゃないんだ。恥ずかしい話なんだ。私と付き合ってる事って」
「ばっ、ちがっ!」
「違わなくないでしょ。もうっ、とーわのばかっ、知らない、別れてやるんだからっ!」
「まっ、待てよ!」
私は走り去りながら、とーわに罵詈雑言をなげつけた。
「そんなんじゃ、一生彼女できないんだからねっ! つきあってあげないんだからねっ!」
一組のカップルが破局するかいなかの局面だというのに、そんなときでも「ばかっ! そんな大声で言ったら他の人にきこえるだろ!」とーわはとーわだった。
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