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〇08 スカイ・ウェイバー
しおりを挟む様々な科学技術が発達した千年後の未来。
西暦3000年の世界にて。
整備士として小型飛空艇の整備を行っている少年ーーソラ。
空は、レース用小型飛行機ウェイバーのパイロットになりたいと思っていた。
それは幼い頃に家族で見たレース大会が理由だった。
華麗に舞い、速さを競うウェイバー。そのウェイバーレースに惹かれた空は、いつか自分もと思うようになった。
「いつかレースに出て一番になれたらな。ウェイバーはおんぼろだけど」
レース出場に自作のウェイバーを作るものの、クオリティは低く、優勝など夢のまた夢だった。
まわりの者達は、ソラの夢を笑った。
けれど幼馴染で、同じ整備士のジュンだけは笑わずに、その夢を応援してくれていた。
「諦めるなよ。いつかきっと夢がかなう日は来るさ」
ソラは、幼なじみのジュンと共に、毎日自作のウェイバーを作って、レースの練習をしていた。
一位の表彰台に立つ事をめざして、忙しい仕事の合間に速さを追求する日々だ。
レースの情報は毎週チェックし、レースコースの攻略なども同時に考えていた。
そんなある日、精霊が出現した。
科学の発達に伴って、様々なエネルギーがあわさった未知のエネルギーがあちこちに貯まるようになった。
それが形を成し、精霊という生物になる事がたまにあった。
その時も、未知のエネルギーが集合して、一人の精霊が誕生したのだった。
生まれたのはソラ達と同じ年頃の女の子の精霊だ。
レースの練習をしていた際に、ソラは精霊が生まれる瞬間を目撃していた。
「初めて精霊が生まれる瞬間を見た」
「俺もだ。光がぱあってなって神秘的な光景だな」
精霊が生まれたら、しかりべき場所に届け出を出して、然るべき施設に保護させなければならない。
精霊は、羽があったり角が生えていたり、人間とは体のつくりが少々ことなる。
そのため、違法業者につかまって、お金持ちに売り飛ばされる事があった。
その可能性を危惧したソラ達は、精霊の女の子に声をかけようとした。
けれど、精霊の出現を目撃したのは、ソラ達だけではなかった。
偶然のその空域を通っていた違法業者もだった。
彼等は生まれたばかりの精霊を掴まえようとしていた。
「警備隊を呼んだけど、このまま何もしなかったらあの子が捕まっちゃう」
「俺達で何とかしてあの子を守ろう」
後にミコナと名付けられるその精霊は、違法業者たちにおいかけらえて困っていた。
背中に生えている透き通るような青い羽を駆使して逃げているが、捕まるのは時間の問題に思えた。
ソラ達は自作のウェイバーを駆使して、ミコナを助け、どうにか逃げのびる。
「煙幕装置を積んでいて良かったな」
「大会じゃ違法改造だけど、お遊びも役に立つ日が来るもんだな」
精霊の女の子をほごしたソラ達は、ミコナの友人になった。
知り合ったミコナを加えて三人チームを作ったになったソラは、レース出場条件の最低人数をクリアした事に喜ぶ。
「私、二人の夢を応援するよ。何ができるか分からないけど、協力させて」
さっそくソラ達は、予選に向けての練習を始めるのだが……。
ここの所、練習場の空域の治安が在れていた。
違法改造ウェイバーを乗り回すパイロットが増えて来たのだった。
レースが近い事も影響して、審査基準をクリアするために、腕前をあげようと追い込みをかけているのだ。
違法改造ウェイバーは出場できないが、腕を鍛えるのにはうってつけだった。
そんな事に頭を悩ませていたらしい空域監理局は、ソラ達に協力を要請してくる。
「君達は昔からこの辺りで仕事をしていたらしいからな。違法改造ウェイバーを見かけたら通報してくれ」
「俺達でよければ力になります」
仕事や練習に励みつつも、多くの人たちが困っていると聞いて放っておくことができずに、ソラ達は空域監理局に協力する事になった。
けれど、違法改造ウェイバーを乗りこなす者達は、違法業者と手を組んでソラ達に襲いかかろうとした。
「通報された逆恨みにこんな事するなんて」
「あんな奴等、意地でもショーには参加させられないぜ」
ソラ達は彼等を一斉に捕まえる作戦を立てた。
自作の遅いウェイバーで相手を釣り、逃げ回っているところを、証拠として警備隊に目撃させ、一斉に検挙させる作戦だ。
いかに遅く走らせながら、相手に捕まらないように逃げるかが、ポイントだった。
そこで、精霊のミコナの力を借りる事にした。
精霊のミコナは風を操る事ができる。
そのため、空気抵抗を減らしたり、猛烈な風を吹きよせて、相手を妨害する事ができた。
作戦の始まりの日。
ソラ達は、三人で協力して違法改造ウェイバー乗りや、違法業者の前に現れた。
操縦技術を駆使しして逃げまわり、ミコナの助力によって、相手の妨害を行ったりした。
そうして、いるうちに警備隊が到着。
証拠を押さえらえた者達は、一斉に捕まったのだ。
数日後。
その働きが表彰されて、認められる事になった。
ソラ達は、長年出たかったウェイバーレースに参加する事ができるようになったのだった。
「二人のおかげで夢だったレースに出られるようになったんだ。ありがとうな」
「礼なんて要らねぇよ。そいつは優勝するまでとっておくんだな」
「ソラとジュンの力になれてよかったな」
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