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透けてるブランディシュカ

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〇09 セブンゲート・オンライン プレイヤー消失事件

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 そこは、仮想の世界で冒険する事ができるゲーム。

 子供や若者に、絶大な人気を誇るゲームだった。

 そのゲームの名前は、

「セブンゲート・オンライン」

 という。

 その世界では、火・水・木・土・氷・雷・光の七つの国が用意されていた。

 火の国。フレア。
 水の国。アクア。
 木の国。ウッド。
 土の国。アース。
 氷の国。アイス。
 雷の国。ボルト。
 光の国。ライト。

 それぞれの国では、それぞれの属性の魔法が栄えていた。

 初めてその仮想世界に降り立つものは、使いたい魔法を考えて、国を選ぶのが普通だった。






 そんな人気の世界「セブンゲート・オンライン」に降り立ったのは、一人の少年・樹田託斗(プレイヤーネーム:タクト)と、その友人・芦原依(プレイヤーネーム:ヨルン)だった。

 タクトは友人の名前を借りて、キャラを作成していた。
 中学校の後輩の、頼りない男の子からだ。

 その男の子は、吹奏楽部の練習で忙しいため、当分自分がやっているゲームができない、と言う事で、そのゲームを貸したのだった。

 タクトが選んだのは、土の国アースだった。

 アースは広々とした国土が特徴の国だ。

 タクトは国を見回しながら、はしゃぐ。

 共にその世界にやってきた友人へは、ゲームのお誘いの声をかけていた。

『なあなあ、よりりん! 面白いゲーム見つけた! 今からやってみねぇ?』

 その相手は、ヨルン。
 タクトの友人で、一足早くゲームを手にいれていたが、テスト勉強などで今まで自重していたのだった。

 ヨルンが選んだのは雷の国、ボルトで、雷の魔法が得意だった。

『誰がよりりんだ。お前は勉強しろよ! 赤点だろ!』

 日常的につっこみを入れる役割であるヨルンは、慣れた様子で辺りを見回す。
 他の仮想世界で遊んだことがあるからだ。

 たいしてタクトは、これが初めての仮想世界だった。

 タクトは、はしゃぎながら、学校の事を忘れた様子で走り回る。

「ちゃんと後で勉強するって。気分転換にちょっとだけ! いいだろ?」
「どうせ毎回後で、俺に泣きついてくるくせに。はぁ。もうやだ、こいつの友達やめたい」

 タクトは親友の雰囲気を醸し出していたが、ヨルンは嘆いていた。
 温度差のあるコンビだった。

 彼らは、話題沸騰中のオンラインゲーム「セブンゲート・オンライン」を始めたばかり。

 なので。

 装備がととのっていない、魔法の使い方も分からない。

 状態だった。

 そんな二人だったため。

 どこかで発生したクエストに偶然巻き込まれてしまう。

「「「モオオオオーーーー!!」」」

「ヨルン、なあ。あっちかた大量の牛が走ってくるけど、どうすればいい? 眺めてればいい?」
「んなわけあるか。逃げるんだよ馬鹿野郎!」

 そのあと、タクトが土の壁をつくって逃走時間を確保し、ヨルンが牛を感電させて、逃げ延びた。





 それから少し経った頃。

 そのゲームに慣れた二人だが、彼らはゲーム世界に閉じ込められてしまう。

「えっ、これって事故で閉じ込められてるんじゃねぇの?」
「当たり前だろ、この馬鹿。二時間も三時間も音沙汰ナシで閉じ込められてたまるか」

 タクトを始めたプレイヤーたちは、数時間後、突如仮想世界で聞こえてきたアナウンスの内容を考えて驚く。

 自称管理者から、「ゲームで死亡したら、精神も死ぬ」と言われてしまったからだ。

 それを証明するように各地で死亡したプレイヤーが、再ログインする事なく消失。

 各プライヤーたちに保存されているフレンドリストからも、消失したプレイヤー達の名前が消えていった。

 そんな中、事態を重く見たトッププレイヤー達が立ち上がり、「セブンゲート・オンライン」からの脱出方法を探る事になった。

 そんな中のタクトは。

「えっと、なんか大変な事になってるみたいだな。むしゃむしゃ」
「危機感持てよぉお前」

 ご飯を食べながらのコメント。

 仮想世界でも空腹は感じるらしかった。

 まったく動じる事のないタクトにヨルンは脱力していた。

「お前のそういうとこ、助かるけどさぁ。頭使う事は全部俺にしわ寄せがくるんだぞ」
「どんまい!」
「反省しろ馬鹿たれ流し!」






 デスゲームが始まってから数日。

 初心者プレイヤーであるタクト達は、他のプレイヤー達の足元にも及ばない。

 今までレベル上げよりも、楽しむ事を重視してプレイしていたからだ。

 だから、うかつな場面でモンスターと戦闘になると死ぬ可能性があった。

 そのため、彼等は彼等で日々を生き抜く事を目標に掲げた。

 だからタクト達は、プレイヤーであふれて、宿に泊まる事も出来ない現在の街から離れて、比較的人口密度の低い町・かつモンスターのレベルが低い場所へ向かう。

「えーと、地図地図。あ、おもろい木みっけ。なあよりりん」
「真面目に地図よめよ! あと近くにいるNPCに話しかけるな。それクエスト発生してるから!」

 二人の旅路は小さかったが前途多難な気配にあふれていた。

 たまにクエストを起こしては寄り道を繰り返す二人が、目的地へたどり着いたのは予定より三日後の事だった。

「川わたるやつのクエスト面白かったよな!」
「もうやだ! こいつ見捨てたい!」

 タクトの土魔法で畑を耕すクエストをこなすながら、食料品を得つつも、生活の基盤をきずいていった。

 アースのプレイヤーは、農作物の収穫品に付加価値が付くのが良い所だった。

 クエストなどでモンスターを倒す時は、攻撃力が高くて麻痺の特性があるヨルンの雷魔法が役に立った。





 そんな調子でゲーム内を生き抜いていく二人は、仮想世界内に起きた変化をその目で直に目撃した。

 当面の目標は、生き抜くために情報収集をしながら・装備やアイテムの調達、それから安全確保しながらのレベル上げ。

 しかし、それだけにかまっていられる場面ではなくなった。

 二人の前に外の世界からやってきた、レスキューという組織が接触したのだ。

「我々レスキューは、この世界からプレイヤー達を助けるために、組織されたものです。どうか協力していただけませんか?」
「いいぜ。で、なにすればいいんだ?」
「かるっ、軽い! もっとよく考えて言葉使えって。そいつが嘘ついてない保障はないんだぞ!」

 外からきた組織レスキュー。
 仮想世界の状況を打開するためには頼もしい存在だが、任意の場所に出現できなかった彼らは、バラバラにフィールドに出てしまったらしい。

 レスキューのリーダーが言うには、まだ付近に仲間がいるはずという。

 そのためタクトたちは、彼らの仲間を探す事になった。

「困った時はお互い様っていうしな。助け合おうぜ」
「はぁ、仕方ないな。この世界全体にかかわる事だし。協力するしかない」
「うむ、かたじけない」

 レスキューのリーダーはウェルス。

 真面目な秘書風の見た目をした少女だった。

 ウェルスの手によってタクトたちは、外の人間達も自分達の救出に動いてくれている事を知る。

 しかし、なぜこのような事故が起こったのかは明らかにされていないようだった。

「外でも原因分かってないのかー」
「はぁ、先は長そうだな」






 時間をかけて、レスキューのメンバーを探し出したタクト達は、彼等とトッププレイヤー達を会わせる事になった。

 初心者・駆け出しの二人がトッププレイヤーと対面するのは、それが初だった。

 待ち合わせの場所へ緊張した面持ちで向かう。

 レスキューたちもそわそわした様子だった。

「よりりん、トップと顔をあわせるなんて、緊張しねぇの?」
「してるに決まってるだろ。どこ見ていってるんだよ」
「だっていつも通りだし。俺は緊張してるけど?」
「緊張してるっていう顔じゃないお前が言うな」

 しかし緊張しているのは内心だけだったので、会話をすれば気の抜けたやり取りにしかならなかった。

 たどり着いたのは水の国アクアの拠点、悠久都市・ザイナに到着。

 拠点の建物は水の国に似合いの美しい紺碧色をしていた。

 その拠点で待っていたのは、いくつかのギルドのトッププレイヤーだが。

 中でも目を引く存在がいた。

 知る人ぞ知る高レベル女性プレイヤー・キャンディ。

 彼女は異様に目立っていた。

 引き合わされたレスキューメンバー達が「あれで大丈夫だろうか」とざわめくくらいには。

「よく来たわね! アタイに何か用かい。この女王キャンディ様に!」

 声は二人よりかなり高い場所から響く。

 それはキャンディの身長が高いからではない。

「なあヨルン、この女の人あれだよな」
「しっ、目を合わせるな。椅子にされている男性プレイヤーなんていない。いない物として扱っておけ」

 人間でできた椅子に腰かけていたからだった。

 彼女は時折、自らの椅子に鞭をうっていく。

 打たれた方は抗議するでもなく恍惚とした表情でうめき声をあげた。

「特殊プレイってやつかな? ドエスとドエム?」
「だから何もいうなって、あと目も合わせるな。……大丈夫なのか、この人達」

 そんな一幕があったが、無事につなぎを付ける事はできた。

 しばらく二人は、各国を歩き回って、レスキューの残りのメンバーを探すことにした。





 その最中には色々あった。

 タクトが熊のモンスターにおいかけられたり。

「お前が鮭横取りするからだろうが!」

 タクトが川の主を釣り上げて、食べられそうになったり。

「あの鮭がまさかクエストモンスターだったなんてなぁ。よりりんどした? そんな頭かかえて」

 タクトが旅人NPCに騙されて、アイテムをごっそり奪われたり。

「この馬鹿! ここ敵モンスターのレベル高いんだぞ! どうやって回復アイテムなしで歩けって言うんだよ」

 色々あった。

 そこで助けたレスキューのメンバーの者達に心配されるくらいだった。

「あなたたち、よくそんな調子で今までこの世界で生きてこれたですね」
「です。あきれますです」





 そんな風に苦労しながらも、二人は順調?に仮想世界の状況に貢献していった。

 レスキューのメンバーがほどほど集まった頃。

 二人は次の騒動に巻き込まれる事になる。

 それはとある事件。

 死亡してもいないのに、各地で突然プレイヤー達が消失する事件が相次いでいた。

「なあ、よりりん。なんか今日は町が騒がしいな」
「本当だ。何かあったみたいだな」

 町の雰囲気の理由を証明するように、新聞を持ったプレイヤーが走り回っていた。

 タクトたちはそのプレイヤーから新聞を買って、そこに書かれている内容を知った。

「号外! 号外! 火の国新聞! またプレイヤーが消失したみたいだよ!」

 真夏のような気候で、気温の高いフレアの国でもそれは同じ。

 立ち寄った二人は、その情報を耳にした。

「プレイヤーが消える。死んだわけじゃなくてか。これは皆驚くだろうな」
「透明になったとかじゃなくて?」
「馬鹿な事言ってないで、真面目に考えろよ」

 その時は、半信半疑だった彼等だが、疑いようもない出来事が起こる。

「とりあえず武器屋に、武器もらいにいくか」
「あー、そういえば手入れ頼んでたなー」





「ごめんください」
「よっ、武器もらいにきたぜー久しぶり」

 なじみの武器屋を訪れたタクトたち。

 それを出迎えたのは店主である少女だ。

 名前はシェリカ。

 彼女は、何かの溶接でもしていたのか、顔を覆うバイザーをして出てきた。

「あら、貴方達。久しぶりね」
「何やってたんだ?」
「なんか、よーせつっぽい恰好してんな」
「その通りよ。武器以外でもご近所付き合いがあるから、生活道具の修理をしてるの」
「なるほど」
「忙しそうだなー」

 シェリカの武器屋は武器を扱うが、生活用品の修理なども行っている。

 このゲームでは、存在する品物ほとんどに耐久値が設定されているため、こまめに修理しないと壊れてしまうのだ。

「とりあえず、もう少しできりのいい所になるからそれまでまってて」
「分かった」
「商品ながめて待ってようぜー」

 しかし、シェリカが工房に戻る前に、その姿がかき消えた。

 世話になっている鍛冶師の少女・シェリカが目の前で消えたのだ。

「今の、みたか」
「えっ手品とか? シェリカが消えちまった」

 それを見たタクト達は、放ってはおけないと思って、その謎の解明に挑むことになった。






 ウェルス達と協力して事に当たろうと思って二人は、彼等の元を訪ねる。

 そこで調査した情報を教えてもらった。

 その結果、プレイヤー達は、別の世界に移動してしまっただけである事が分かった。

 ただし、レイヤーが違うような状態らしい。

「えーと? ひょっとして馬鹿が前に言ってた「透明になった」って事なのか」
「まじか、ちょっと前の俺の頭さえてるな!」
「たまたまに決まってるだろ、お前の頭が良くてたまるか!」
「ひどくね?」

 ウェルスはその現象を詳しく説明するために、そのアイテムを取り出した。

 それは誰もが知っているアイテムだったが、今となっては誰も使う事のないアイテムだった。

 このセブンゲート・オンラインは、デスゲームと化している。

 閉鎖空間となった事によって、セブンゲート・オンラインでは使えなくなっているアイテムがワープアイテムだ。

「これがあると、ゲームの攻略が簡単に進みそうだからな。デスゲームをしかけた人間にとっては都合が悪いんだろう」
「そうなのか? 俺だったら早くクリアしたくてたまんねーから。じゃんじゃんアイテムつかってほしいけど」

 ワープアイテムは、登録した場所へ瞬時に移動できる便利なアイテムだが、今は誰も使う事ができない。

 しかし、それでもアイテムを持ち続けていると、誤作動を起こし、プレイヤーをどこかへと移動させようとしてしまうらしい。

 ウェルスが持っていたアイテムが、発光しはじめて、爆発寸前の様に点滅する。

 それをウェルスが遠くへ投げると、ワープアイテムが爆散して、その辺りの空間がバグっぽくなった。

 だいたい、ワープアイテムを所持してから三日、72時間程たった頃にそれが起きるという。

 それで、ワープアイテムの誤作動にまきこまれたプレイヤーがその場から消失したように見えてしまったのだ。

「ふむふむなるほどな」
「おい馬鹿、ちゃんと今の説明で分かったのか? 本当に?」
「実はさっぱりだ」
「やっぱりな」





 いまいちぴんと来ない、という顔をするタクトに、ウェルスは今度は図を書いて説明してくれた。

 丁寧な人だった。

「すみませんうちの馬鹿が馬鹿で」
「バカバカいうなよな。馬鹿って言う奴が馬鹿なんだぞ」
「うっさい黙れ馬鹿たれ」
「そういえば、馬鹿垂れって言う奴は馬鹿たれになるのかな?」

 そんな二人にかけあいに動じずにウェルスが図を作った。

 それは、二つの円。

 一つの円の中には通常世界という文字。
 もう一つの円の中には管理世界という文字が書かれていた。

「セブンゲート・オンライン」の世界には、一般のプレイヤー達が行動する、通常世界と、管理者たちが手をかける管理世界がある。

 アイテムの誤作動で消失してしまったプレイヤー達は、その管理世界へ移動してしまったらしい。

 とりあえず、タクト達はその調査結果を、トッププレイヤーの一人であるキャンディに報告する事にした。

「ふむふむ。なるほどね! アタイの出番ってわけね!」

 キャンディは相変わらず、人間を椅子にしていた。

 水の魔法を使って、映像通信を行い、知り合いから他のプレイヤー達に注意喚起するよう促していた。

 普段はあれだが、きちんと仕事を行っていた。

 最初は面食らっていたヨルンも、今はなれたもので、椅子についてはもはや滑らかにスルー。

 その反面スルーできなかったタクトはしげしげと興味深そうに眺めていた。

「なあなあ、よりりん(ひそひそ)あれって、楽しいのかな」
「やってみたいとか言うなよ」
「いわねーよ。好きな子ならともかく。(ひそひそ)でも気になっちゃうだろ」
「好きな奴だったらいいのかよ。普通ドン引くだろ。そんな女の子いても、彼女にすんなよ。どういう目でお前らを見ればいいのかわかんないだろ」

 視線の先で、キャンディが椅子に体重を思い切りかけて、椅子から苦悶の声がもれている。

「とりあえず、こっちでもやれることをさがしておくわ。さあ人間椅子、アタイをはこびなさい!」
「はっ!」

 話が終わった後、椅子が苦し気に、しかし楽し気に動いて移動していくのを見送る二人だった。






 それから数日後。

 タクト達はウェルスから情報をもらった。

 協力者として、例の事件を解決するために、手助けする事になった。

 それで、外の世界の者達から介入してもらって、管理世界へ移動する事になったのだった。

 救出方法は、管理世界に移動してしまったプレイヤ―に反転用のワープアイテムを渡す事。

 管理世界で同じアイテムを使う事によって、元の仮想世界へ押し戻す事ができるらしかった。

 だから、

「そう言う事なら、協力するしかない」
「素直に助けたいっていえよー。よりりんは照れ屋さんだなー」

 知り合いが消失するところを見たタクト達も、全面的に協力する事にしたのだ。

 購入したばかりの時間に余裕のあるワープアイテムを持って、72時間まぢかのワープアイテムを爆発させる。





「灰色だな」
「仮想世界をモノクロにした感じなのかー」

 二人がやってきた管理世界。
 そこはモノクロの世界だった。
 色身のない管理世界をうろつく。

 タクト達はあちこちでプレイヤーがいないか探し始めた。

 すると、その最中にさっそくプレイヤー達を発見。

 タクト達はアドバイスを送っていく。

「助かりましたです」
「ですー。ありがとです」
「お前らもここにたのかよ!」
「久しぶりだな」

 その最中、彼らの行動を邪魔するように高レベルモンスターがでてきた。

 初めて驚異的な命の危険にさらされるタクト達だが、力を合わせてこれを撃破した。

 土魔法の移動阻害と、雷魔法の妨害をたたきこんで、その隙に攻撃をくらわす。

「俺達コンビが力を合わせればざっとこんなもんだよな」
「調子になるなよ」
「そこは照れて、そうだなっていう所だろ!」

「タクトさんとヨルンさんはあいかわらずです」
「ですね」

 そして、シェリカとも合流。

「わざわざ探しにきてくれたのね。ありがとう」
「まあ、俺達の武器あずけたままだしね」
「よりりん照れてるー」
「うっさい」

 そして、反転アイテムを使用して、元の仮想世界へ。

 無事に元の世界に戻った彼らは、シェリカや他のプレイヤーの復帰を確認して一安心した。





 その後、転移アイテムの危険性がよくよく広まるようになった。
 すでに持っているプレイヤー達からもあつめて、事故が起きないように管理される事になった。

 迷宮の宝箱やクエストなどで得たアイテムなどもあるため、迷宮攻略の途中やクエストの途中で安全に処分しなければならないのは手間がかかったが。

 そんなこんなで、タクト達はそこそこ知名度があがった、普通プレイヤーだった。

「普通なのに知名度が上がるってなかなかねーよな。でも助けた奴等からたまにメシおごってもらえるのは助かる」
「やったことにたいしての報酬が低くないか? みんな大変なのはわかるけどさ。この世界にとじこめた奴がいたら絶対文句いって殴りつけてやる」

 根本的な仮想世界脱出には役に立っていないが、トッププレイヤ―達から一目置かれるようになった彼らは、それからも各地で起こる不思議な現象の調査を任される事になった。

 時にトラブルに巻き込まれたりしながらも、彼等は「セブンゲート・オンライン」の世界から脱出できる時がくるまで、頑張ろうと誓い合った。



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