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〇15 青、青、青

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 とある画家の美術展にいった。

 その画家は変わり者で、青い絵しか描かない。

 実際に、見た絵は全部青色のものだけだった。

 海や川、湖、雨。

 青いものばかりをモチーフにしているから、色が青ばかりになるのは当然だ。

 でも、飽きはしない。

 力強い青、優しい青、透明感のある青。

 同じ青でも、まったく表現の仕方が違うからだ。

 個性的で、ほかの画家にはない魅力を感じる。

 こんな絵を描いた画家はいったいどんな、人だったのだろう。





 俺は画家だ。

 けど青しか使わないと決めている。

 単純に青が好きだという理由もあるが。

「わたし、あなたが描く青い色の絵がすきなの」

 惚れた女がむかし、そう言ったことがあったからだ。

 遠くの地に引っ越してしまったが、青の画家として有名になれば、彼女に気づいてもらえるかもしれない。

 そう思ってるんだ。

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