二周目悪役令嬢は、一味違う。 ~ヤンデレ乙女ゲームの世界でヒロインの代わりに攻略対象を導くよう、神様に言われました~

透けてるブランディシュカ

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第一章 ウルベス・ジディアラーツ

第12話 アイリーンの花園

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 アイリーンの花園 花畑

 よく晴れた空の下。
 青々とした草の茂る草原。
 そして見まわせば、周囲には綺麗な花が咲き誇る花畑。

 その場所は、凛とした性格の花の女神アイリーンが気に入った花畑……という触れ込みで話が広まっている場所であり、貴族の遠出場所の候補によくあがる場所でもあった。
 実際に訪れて見回してみれば、色とりどりの花が無数に咲き乱れて広がっていて、多くの者達が足を伸ばしたくなるのも納得できる。

 ウルべス様と約束を交わしてから一週間後。

 見晴らしの良い高台に私達二人は立っている。
 私達はその中でも特に、人のいない穴場にやって来ていた。

「まあ、素晴らしい眺めですわね、ウルべス様」
「ああ」

 周囲には、使用人のトール以外の人影はない。そのため現状は、貸し切り状態だった。

 屋敷からここへは馬車で来たが、今はそれも離れた所にある。
 付き合いの長い使用人の目を気にしなければ、婚約者である彼と二人きり……ともいえなくはない状況だ。

 遠出する場所の候補地にトールからいくつか情報を聞いていて、人目に付かない絶好の場所があると教えられていたの。だが、正直言ってこんなに素敵な場所だとは思わなかった。

 目の前の光景をみて、一週目の時と同様に、二週目の私も改めてそう思った。
 この花畑なら、きっと何度訪れても見飽きる事はないだろう。

 私は周囲へと巡らせていた視線を止め、ウルベス様を見つめて提案する。

「ちょっとお散歩してみましょう。ウルべス様は自然の花々や虫などについてお詳しいのですわよね。良かったら、聞かせていただけませんか」
「婚約者殿が望むのならば」

 それから私達は二人で並んで、足元にさいている花や、目の前をよこぎった昆虫の話などに耳を傾けた。

 途中で珍しい石ころなどを拾ったり、手頃な大きさになっている花のつぼみを見つけたりも。後は、どんな花が咲くのか想像してみたり、脱皮した虫の抜けがらを見つけて本体を探してみたりもした。そんな事をしながらのんびりと周囲を歩き、二人の時間を楽しんだ。

「私の婚約者殿はおかしな人だな。君くらいの歳の少女ならば、もっと他の話題を出すだろうに」
「例えばお化粧とか、綺麗なお洋服、小物やお菓子とかかしら? もちろんそういった物も好きですわよ。でも……せっかくこんな素敵な場所にいるのに、すぐ目の前にあるものに目を向けないなんてもったいないではありませんか」

 ここに無い物についての話をするよりは、今ここでしかできない話をした方が効率的だし、より楽しめるだろう。
 と、そう私が言えば、ウルべス様は珍しく笑みを浮かべて同意してくれた。

「ふ、確かにその遠りだな」

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