異世界に召喚されたが『聖王』じゃなくて『性王』(風俗王)だったので、下品だと追放された。仕方がないのでチート風俗魔法で風俗国家を再建します

横島イクオ

文字の大きさ
22 / 129

第22話 フロアメイド志願者(イラストあり)

しおりを挟む

 客間に入ってきたのは、裁縫工房で出会った少女、レイナだった。

「れ、レイナ!? どうしてここに!?」

 俺は驚きの声をあげる。

 そして改めて彼女の姿に釘付けになった。

 艶やかでかつ美しい金髪と、生きた宝石の様な瞳は、昼間に出会ったころと変わらずに美しい。

 特にクラシカルなロングのメイド服を着たその姿は、全身が光を放つかのように、輝いて見えた。

「どうしても、セイオウ様にお礼を申し上げたくて、来ました」

「お礼?」

「はい。裁縫工房を守っていただき、ありがとうございます」

 頭を下げるレイナ。ポニーテールにまとめられた髪が、ぴょんと跳ねる。

 あの素行の悪い兵士達から工房を守った件か。

「当然のことをしたまでだ」

「でも、気絶されるまで、無理されていました」

「まだレベルが低いからな。レベルを上げてしまえば、どうってことない。魔法もたくさん使えるようになる」

 俺の言葉にレイナはうつむき、しばらく何やら考え込んでしまう。

「・・・経営再建を約束していただいた事も、ありがとうございます」

「そちらはまだ何も始まっていないけどな」

「ううん、そんなことないです」

 レイナは小さく首を振る。

「セイオウ様が来られてから、みんなの顔つきが変わりました。驚くほど元気になって、明るくなって・・・こんな幸せな事は初めてで、いてもたってもいられない気分です」

 俺が裁縫工房の再建を約束したことがよほど嬉しかったのだろう。
 
 加えて期限を設けたことも、一因のはずだ。人間は期限が設けられれば、つらい作業も頑張れる生き物だからだ。見通しがないのが一番つらい。

「当然のことをしたまでだ」

 現場の士気をあげるのはトップの役割の一つだ。別に褒められるべきことではない。

「あの・・・」

 レイナは再び言いにくそうに、言葉を詰まらせる。

「何だ?」

「セイオウ様は資金を得るために自身のお身体を、〝質〟に入れたというのは本当ですか?」

 アブドルの担保の事か。おそらくエリス姫がしゃべったのだろう。

「本当だ」

「どうしてそんなことを?」

「トップがリスクを負うのは、当然のことだからだ」

 成り行きとはいえ、ウソではない。昭和の高度成長時代の経営者は、家財産を担保に銀行から金を借りていた。トップがリスクを取るからこそ、部下はついてくるのだ。

「・・・みんな、セイオウ様の事をほめたたえています。やっといい人がいらっしゃったって。それが、なんだか自分の事以上に、嬉しくて・・・」

 頬を赤らめながら、微笑むレイナ。そのしぐさも、可愛らしい。

「気が早いな。まだ現場に改革案も指示していないのに」

 とはいえ、現場の士気が高まったことは、よい事だ。

「あの、どうしてそこまでしてくれるんですか?」

 上目づかいで尋ねるレイナ。それもまた、引き込まれるような美しさを保っていた。

「君が欲しかったからだ」

 またセイオウのスキルが発動したのだろうか、俺の口はそんな恥ずかしい言葉をさらりと吐く。本当に、レイナの事となると、どうかしてしまっているらしい。

 とはいえそれもまた、疑いない俺の本音だった。

「うう・・・」

 赤らめていた顔をさらに真っ赤にする。目は恥ずかしさで涙目だ。

「ど、どうして、あたしなんですか? 他にもかわいい子はいっぱいいるのに」

 確かに美しい娘は他にもいる。でも、輝いて見えたのはレイナだけだ。

 どうしてだろうか? 

 自分でもよくわからなかったため、正直に答えることにする。

「みんなのために、必死で声をあげる君が、とてもキラキラ輝いて見えた。鼓動が高まり、胸から暖かいものが全身に広がった。後は、よく覚えていない」

 レイナは顔を真っ赤にしながら、息をのむ。

 俺の言葉に何かを確信したかのように、思えた。

「あの、あたしをフロアメイドにしてください。セイオウ様のお側においてください」

 そして意を決したように、口を開いた。

「レイナが俺のモノになるのは、改革が成功してからの約束のはずだ」

 そうだ、レイナは判断をする立場という約束のはずだ。

「みんなと一緒にこの国をよくする協力をしたいんです。判断するだけなんて、嫌なんです。あたしにできる一番の事は、側でお仕えする事のはずです。あたしだったら、すぐにレベルが上がって、魔法もたくさん使えるようになるんですよね?」

 確かにレイナが側にいてくれるなら、これ以上の事はない。

「・・・どうして、そこまでしてくれるんだ?」

 乙女の操は、命と同じくらい大切なもののはずだ。
 
 俺の言葉に、レイナは顔を真っ赤にしながらもこちらをまっすぐに見つめながら、しっかりとした口調で答えた。

「志願者がいない場合、お金で娼館のコ達に依頼すると、エリス姫から聞きました。それを知った時、とても嫌な気になりました」

 それは、〝嫉妬〟してくれているという事か。

「そして、その時気づいたんです」

 レイナは強い瞳で俺を見つめる。

「あたしにとっても、セイオウ様はずっとキラキラ輝いて見えました。胸がドキドキして、あったかい気持ちでいっぱいで・・・今もです」

 なんてことだ。

 俺の一目惚れの片思いではなかったのだ。

 両者の一目惚れという奇跡。

 それはセイオウのスキルがなしたわざだろうか? 

 それとも優秀な子孫を残したいという遺伝子の導きであろうか?

 いや、そのどちれでもないと信じたい。

 それはきっと、〝運命〟と呼ばれるものなのだと。

「裁縫工房で言った言葉を、もう一度、言ってください」

 レイナは一歩近づく。その整った小さな顔で、俺を見上げながら懇願する。

 俺は小さく息を整えると、裁縫工場での言葉を再び発した。

「──君が好きだ。俺のものになってくれ」

 今度は無意識のうちに発した言葉ではない。一字一句、俺の心の中で温めてた、俺自身の言葉。

 レイナはその言葉の一字一句を、瞳を涙でいっぱいにしながら、期待に胸を膨らませた様な表情で、噛みしめるように聞き入っている。

 まるで自分の心の奥にある宝石箱に、大切に、しまい込んでいるかのように。

 そして大きく息を吸って、答えてくれた。

「はい」

 気恥ずかしすぎて俺の目を見ることができなくなったのだろうか。そのまま抱き着くように俺の胸に顔をうずめてくる。

 レイナの柔らかな頬が、艶やかな髪が俺の身体に触れる。それだけで、全身に電流の様な快楽が走る。

「好きだレイナ」

「うう」

 俺の言葉にも答えらえれず、レイナは目じりに涙を浮かばながら目を閉じている。俺は背中に手をまわして抱きしめると、レイナは無言でハグする力を強めて返してくれた。

 胸の中から暖かい感情がこみあげてきて、周りを満たす。それは世界が輝いて見えるほどの、幸福感だった。

 この娘となら、どんな苦難も乗り越えられる。むしろ苦難さえも愛おしく思える。

 〝セイオウ〟としての職務とはいえ、今夜からレイナとレベルアップのための行為を行うのだ。よく知らない娼館の娘との、義務的なそれとは違う、最高に幸福な時間が約束されていた。

(ん?)

 ちょっと待て。俺は大切なことを、失念していた。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

勇者召喚の余り物ですが、メイド型アンドロイド軍団で冒険者始めます

水江タカシ
ファンタジー
28歳独身、一般事務の会社員である俺は、勇者召喚に巻き込まれて異世界へと転移した。 勇者、聖女、剣聖―― 華やかな肩書きを持つ者たちがもてはやされる中、俺に与えられたのは聞いたこともないスキルだった。 【戦術構築サポートAI】 【アンドロイド工廠】 【兵器保管庫】 【兵站生成モジュール】 【拠点構築システム】 【個体強化カスタマイズ】 王は落胆し、貴族は嘲笑い、俺は“役立たず”として王都から追放される。 だが―― この世界には存在しないはずの“機械兵器”を、俺は召喚できた。 最初に召喚したのは、クールな軍人タイプのメイド型戦闘アンドロイド。 識別番号で呼ばれる彼女に、俺は名前を与えた。 「今日からお前はレイナだ」 これは、勇者ではない男が、 メイド型アンドロイド軍団と共に冒険者として成り上がっていく物語。 屋敷を手に入れ、土地を拠点化し、戦力を増強しながら、 趣味全開で異世界を生きていく。 魔王とはいずれ戦うことになるだろう。 だが今は―― まずは冒険者登録からだ。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~

荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
 ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。  それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。 「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」 『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。  しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。  家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。  メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。  努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。 『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』 ※別サイトにも掲載しています。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

優の異世界ごはん日記

風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。 ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。 未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。 彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。 モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

処理中です...