異世界に召喚されたが『聖王』じゃなくて『性王』(風俗王)だったので、下品だと追放された。仕方がないのでチート風俗魔法で風俗国家を再建します

横島イクオ

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フウマの里と人狩り

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 娼館の娘達にたっぷりと搾り取られて、俺はふらふらになりながら屋敷に戻ってきた。

「おかえりなさい、旦那様」

 レイナが嬉しそうに迎えてくれる。なんとなくだが、親衛隊基地の会議からレイナはより明るくなった気がする。

 反面、ミアは何やら考え込んでいる時間が多くなった。食事の時も、何かを思い詰めた様な表情をしていた。

 事実、夕食が終わりレイナと一緒に皿洗いが終わったタイミングで、深刻な表情でミアは話しかけてきた。

「お時間をよろしいですか? 主様、レイナさん」

「ああ、大丈夫だ」

「どうしたの、ミアちゃん?」

「はい。お話があります」

 大切な話があるようだ。俺はソファーにきちんと座りなおして、ミアの言葉を待った。

「今日は、大切な会議に参加させていただき、ありがとうございました。私を信用してくださり、嬉しかったです」

 ペコリと頭を下げるミア。

「ミアは大切な仲間だ。俺もレイナも、エリス姫もそう思って信頼している。だから誰もミアの出席を咎めなかったんだ」

 正確に言うと、俺がミアを信頼しているので、姫達は出席を許可した、が正しいのだが、それは黙っておく。実際、〝玄人の目〟を使わずとも、ミアが誠実な性格をしていることは理解できた。

「あたしはミアちゃんを信頼しているよ、実の妹みたいにね」

 レイナにミアは微笑み、ミアも微笑み返す。この二人は最初から本当に仲が良い。

「ありがとうございます、本当にうれしいです。私も、お二人に本当の事を打ち明ける決心がつきました」

 そして、ミアの表情は再び固くなる。辛い話の様だった。

「お二人ともご存じだと思いますが、私の里はフウマと言いまして、代々アサシンの一族でした。猫人族は気まぐれと言われますが、私の一族はそんなことはなく、代々エルディア王家に仕え、裏方業に徹しておりました」

「エルディア王国?」

「ゼレス王国の前身となる国です。1年前、エルディアの血統が途絶えたため、王弟のゼレス1世が即位し、ゼレス朝を開いたのです」

(ゼレス王、俺を召喚した男だな。あいつ、偉そうにしていたが、本来は王弟だったのか)

「母はその役割から、エルディア王国やゼレス国王の裏事情まで知りえる立場にいたとされています。そのためゼレス国王が即位した後、旧国王派であった母は苦しい立場となってしまいました」

(王朝が交代したのは、そんな最近のことだったのか。俺の召喚と、関係があるのだろうか?)

 そこまで考えて、ふとレイナの瞳に気づいた。その美しい瞳を見開き、すさまじい気迫でミアの話を聞き入っていた。あんな表情をする女だったか?

「決定的だったのが、エルディア王国の正当なる後継者であった姫君の失踪事件でした。護衛の任務についていた母はその責任を問われ、王都より追放。我が一族も里から出ることがほぼなくなりました。

 しかしある時、ゼレス国王は姫の失踪は母の裏切りによるものであると断定し、里に兵を差し向けたのです。国王直轄であったフウマ族は他に政界とのパイプを持たなかったため、その汚名を着せられたまま・・・うっ・・・」

 つらい過去にミアの言葉が詰まる。俺は肩を抱いて、「大丈夫だ。無理するな」と励ます。

「母はそれでも戦うことを拒否しました。恩のある王国と戦うことはできないと。でも私は、すぐ襲撃の目的が分かりました。彼らの目的は、女ばかりの我が一族を奴隷として売り飛ばす事だったのです」

「私は必死で子供たちを逃がしました。けれど、抵抗しなかった母は捕らえられ、私もつかまってしまいました。私は裏切りの猫人族の族長の娘として、特別奴隷商人のスレイに売却されました」

 そこからは知っている。王族や族長の子女は、特別奴隷商人に売られるのだ。

「──ミアちゃん、ミアちゃんはあたしと同じだよ。よく頑張ったね。スレイさん怖いもんね、不安だったよね?」

 いつのまにかレイナはミアを抱きしめていた。そして体を震わせて熱い涙を流している。

「レイナさん・・・」

 ミアもつられて瞳が緩む。涙を必死でこらえている様だった。

「最後に一つ、主様。どうしてもお伝えしなければいけないことがあります」

「なんだ、言ってみてくれ」

「フウマの里を襲撃したゼレス王国の司令官は、ゲジン将軍です」

「ゲジン・・・現在の駐屯兵団の司令官か」

 驚きはない。むしろ俺の中ではすべてがつながった。ゲジンはフウマの里の女達を売り払ったように、フリージア王国を破産させ、国民を売り払うつもりなのだろう。それならロドリを使って裁縫工房を崩壊させようとしたことも、理解できる。

(交渉は、難しそうだな)

 マイヤ事務官によると、ゲジン将軍は話せばわかる男という事だが、こちらを欺くための欺瞞なのだろう。間違いなく奴隷商人と結託しているはずだ。逆にあいつを抑えれば、捕まったミアの里の女達も見つけられるかもしれない。

「ミア、一つだけ、聞きたいことがある」

「なんでしょう、主様」

「フウマの里の、何とか逃げられた女達を秘密裏に集めることはできるか?」

「・・・できます。みんな優秀なアサシンですから、族長の娘の私がここにいることを聞きつけて、遠からず集まってくるはずです」

 優秀なアサシンの女達か。こちらとしても何としても手駒に加えたかった。俺は懐からまとまった金額を取り出し、ミアに手渡す。

「この金で、彼女たちを密かに匿ってくれ。そしてミア、君が彼女たちのリーダーとなるんだ」

「私がですか?」

「母親がいない以上、族長の娘の君が彼女たちを率いるんだ。それが族長の娘に生まれた、君の責務だ」

「・・・はい、わかりました」

 はっきりとこちらを見据えながら、うなづくミア。その美しい瞳にはもう涙はなく、力強い眼差しで俺を見つめていた。
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