異世界に召喚されたが『聖王』じゃなくて『性王』(風俗王)だったので、下品だと追放された。仕方がないのでチート風俗魔法で風俗国家を再建します

横島イクオ

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猫人部隊編成

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 話があるというミアに連れられて、俺は城下の外れにある店に来ていた。ちなみにレイナは用事があると先にエリス姫の元に向かっていた。

「こちらにお入りください」

 異国の料理屋だろうか、慣れない香料の匂いが鼻孔をくすぐる。薄暗い店だが、何人かの男達が雑談をしながら酒を飲んでいるようだ。俺という見慣れぬ客を観察している様子だったが、すぐに飽きたのかまた雑談に戻っていた。

「ミア、本当にここでいいのか?」

 てっきりミアの仲間が見つかったのかと思ったが、そうではないらしい。何のためにミアはわざわざ、俺をこんな店によこしたのだろう。

「ここでいいです。主様」
 
 ミアの言葉と共に、重厚な音と共にドアの閉じられる。

「むっ!?」

 俺は驚きのあまり、思わず声をあげてしまった。カウンターの向こうの店長とコックが、頭の被り物を取ったのだ。髪からのぞくのは、ミアと同じ猫耳。

 さらに給仕の娘達が、頭の被り物をとる。こちらもかわいらしい猫耳がのぞいていた。それだけではない、談笑しながら酒を飲んでいた客の男達も、顔につけていた特殊メイクの様な皮を脱ぎ捨てていた。中から出てきたのは小柄な猫人の娘達。

 人数にして20人はいるであろうか? この店の店員も客も全員、フウマ族の猫人の女達だったのだ。

「・・・驚いたな、全員、アサシンの女だったか」

「はい。皆、変装は得意ですから」

 ミアが代表して答える。

「この店は、他の客は来ないのか?」

「はい。値段が高めなのと、ゼレス王国では嫌われる香料を用いているので、人が来ることは稀です」

 あえて不人気のレストランをつくり、アジトにしたのか。日本にもある、客がほとんど入っていないインドカレー屋も、外国のスパイのアジトだったりするのだろうか?

 女達はみな若く小柄だ。ミアが言うには猫人族は細身で小柄で、成長も老化も遅いという。全員無言で、俺を見つめている。

 フウマの里に対する侵攻と、一方的な略奪。そんな悲惨な過去の憂いを含む静かな瞳、だが恨みを必死に隠しながら、未来を見据えるかのような強い意思を感じる。念のため〝玄人の目〟で確認したが、裏切りそうな者はいなかった。

「──里の話は聞いた。俺はミアを、君たちを信じる」

「!?」

「ううっ・・・」

 俺のたったそれだけの言葉で、女達が息をのむのが分かった。静かに涙を流している女達さえいた。今までよほど悔しかったのだろう。

「君たちを雇いたい。その代わり、君たちの生活は保障する」

「一つよろしいですか、セイオウ様」

「何だ?」

 女の一人が俺に直接質問してくる。

「フウマの里の奪還に、協力していただけるのでしょうか?」

 当然、予想された質問だった。

「・・・今の段階では、ゼレス王国と事を構えることはできない。俺ができるのは、君たちの生活の保障だけだ」

 嘘はつけないので、正直に答える。里の奪還は約束できない。生活の保障が、俺ができる精一杯だった。

「もしゼレス王国と戦争になった場合、フリージアが勝利した暁にはフウマの里を我々に返還していただけますか?」

 これも予想できた質問だった。事前にエリス姫に了解を取り、フウマの里を奪還した際には彼女たちに返還するという約束は取り付けていた。

「約束はする。だがあくまで、戦争になった場合の話だ」

 俺の言葉にフウマの猫人の女達は互いに目を合わせ、次々と無言で首を縦に振った。

「了解いたしました」

「逆に聞きたい。ゼレス王国と戦争になる可能性は、高いと思うか?」

「ほぼ間違いないと思います。ゲジン将軍は奴隷商人と結託しているため、フリージアでフウマの里で行ったのと同じことをするでしょう。既にフリージアには奴隷商人たちが紛れ込んでいます」

 質問をしてきた女が代表して答える。

「その時期は?」

「フリージアが滞納している駐屯費を支払い終わった後、が一番危険です」

 太らせてから喰う算段か。ふむ、俺と同意見だ。やはりアサシンだけあって、情報収集も分析能力も高い様だ。

(・・・戦争はほぼ不可避。なら手駒は多い方がいい)

「ミアをリーダーとして、俺直属の部隊を編成してもらう」

「みなさん、族長ニアの長子である私が、みなのリーダーとして全員を指揮します。異論ある者は名乗り出てください」

 ミアがハッキリとした口調で告げる。その凛々しい横顔からは、以前の不安げな少女の面影はなかった。

「異論ありません!」

「わかりました、ミア様」

 次々と賛同の意を述べる女達。

「他にフウマの猫人の女達を集めることはできるか?」

「はい。既に毎日のように集まってきています」

「わかった。原則全員雇用する。資金は出す、秘密裏で集めてくれ」

「了解いたしました、主様」

 ミアが代表して答える。

「諸君らはエリス姫ではなく、俺直属の部隊となる」

 姫ではなく俺直属の部隊とする。そうすればゼレス王国にバレても俺の独断だとフリージアは言い訳できる。もちろん、俺の首は飛ぶだろうが。

 女達の目の色が変わる。俺も命を懸けた一蓮托生なのだという覚悟を、その場の全員が理解してくれたようだ。

「主様。貴方に忠誠の宣誓をいたしたく思います」

 ミアが恭しく告げる。表情から察するに、大切な儀式なのだろう。

「わかった」

「──我らフウマの剣を捧げます。我らの命は貴方と共に」

 ミアの声が響く。決して大きな声ではないが、凛とした美しい声だった。

「「貴方と共に!!」」

 ミアに続き、女達が剣の鞘を抱き上げ、俺に忠誠を誓う。

 おそらく戦争は不可避だろう、もう戻ることはできないはずだ。

 そう思いながらも、彼女たちに剣を捧げられたからだろうか、心はすっきりしていて心地よく、後悔の念は全くなかった。
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