異世界に召喚されたが『聖王』じゃなくて『性王』(風俗王)だったので、下品だと追放された。仕方がないのでチート風俗魔法で風俗国家を再建します

横島イクオ

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民兵と騎士団と破壊活動と戦術

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「まずロウメイは、フリージア軍の民兵隊の司令官に就任してほしい」

「女性の、それも民兵で構成された部隊ですな」

「俺の世界には〝羊が率いるライオンの群れより、ライオンが率いた羊の群れの方が強い〟という格言がある。彼女たちの指揮官になってくれ」

 それは軍事の天才ナポレオン・ボナパルトの言葉だった。

「さすがに二か月では実戦は困難ですが?」

「城壁の上から矢を打ち、槍で敵を叩き落す防御訓練を重点的に行ってくれればいい。基本的にフリージアの防御用の部隊だ」

 今も昔も守勢には兵の士気は問題になりにくいという。自分の身を守るため、必死で戦うからだ。

「一つだけ条件があります。ワシと同じ年齢の、退役した者の中から使えそうなものを十人ほど将校として雇ってもよろしいか?」

「ああ、老いた者であれば問題ない。髭を生やしてくれればなおいい」

「承知いたしました!」

 表向きは女と老人ばかりの民兵になる。敵を油断させるにはちょうどいい。

「ランウは工事会社を設立し、その長となってくれ。そして解雇された近衛騎士団と将校を社員として密かにフリージアに集めてほしい。集めた後は、城壁の修繕の仕事をフリージアから正規のルートで依頼する。城の片隅に場所を確保するので、そこに武器を集め、秘密で訓練を行って欲しい」

「了解です! しかし全員が全員、姫に忠誠を誓うとは限りません。間者も紛れ込むか可能性があります」

「それは俺が対応する。俺の魔法の一つに、相手の忠誠度を見ることができる能力がある。集団面接を行い、スパイは見つけ出す」

「そんな能力をお持ちなのですか!?」

「旦那様、すごい」

 レイナやミアを含むその場の全員が息をのむ。〝玄人の目〟については、誰にも言っていなかった能力だったからだ。まさか元は風俗嬢やスタッフの忠誠度を測る能力だとは、思わないだろう。

「敵の、士気の弱い部隊を見抜くことも可能なので?」

「範囲内なら可能だ。範囲は50メートル程度だが、もっと伸ばせるはずだ」

「すごい、それは達人の指揮官にしかできない事です」

 さすがはランウ。この能力の軍事的価値を見抜いていたか。俺も実戦では敵の弱点を探るために、この能力を利用するつもりだったのだ。

「ハニバルは、危険だがゼレス王国の王都に戻り、情報活動を頼む」

「はっ!」

「ミア、フウマのアサシンの女達をハニバルの下につけることはできるか?」

「はい、元情報部に所属していた者達がおります。彼女たちにとっては元上司にあたりますから、大丈夫です」

「フウマの部下をつけてくださるのですか。それはありがたいです」

「三人に渡したいものがある。レイナ、あれを頼む」

「はい、旦那様」

 レイナは机の上に、赤いリボンを三つに切ったものを並べる。認識疎外の魔法がかかっているリボンだ。それを三つに切ってもらっていたのだ。三つまでなら切っても魔法の効果はあるという。

「三人の身分を隠すため、このリボンを体のどこかに身につけてほしい」 

「姫が身につけていたリボンを使わせていただけるとは、なんと光栄な事だろうか」

「潜入捜査の生存率が上がります。感謝いたします」

 ランウとハニバルはリボンを受け取る。

「姫様はどうなされるのじゃ?」

「レイナは屋敷からは極力出ないようにする」

 可哀そうだが、しばらく軟禁状態にするしかない。

「では、ワシは要りません。姫様がお使いください」

「いいのか?」

「問題ないですじゃ、この髭のおかげで誰もワシとはわからないでしょうし、わかったところで背中の曲がったおいぼれですから、誰も警戒しないでしょう。それよりも姫様の方が大切です」

「わかった、ありがとうロウメイ。確かに今のお髭じゃ、誰かわからないよね。前は髭も頭もツルツルだったもん」

 嬉しそうに語るレイナ。昔は髪も髭も無かったのか。それはわからないだろうな。

「ハニバルには、情報収集のほかに、更に困難な任務を頼みたい」

「何なりとお申し付けください」

「俺の後でゼレス国王が召喚しようとしている者、第二の異世界からの来訪者についてだ。ゼレス王国は、もうひとつ召喚枠を持っているはずだな?」

 ゼレス王国が俺をあっさり追放したのは、予備の召喚枠を確保しているからのはずだ。

「はい。エルディアとフリージアの二つの召喚枠を持っております」

 俺の後釜については、全く情報がないため、ずっと気になっていたのだ。

「第二の来訪者が召喚されたという情報は?」

「まだありません。儀式の準備には、それなりに時間がかかるはずです」

「はっきり言う。第二の召喚者がゼレス王国側についた場合、勝てる保証は無い」

 何しろそいつは俺と同等の魔法を使うはずだ。いや、〝風俗魔法〟などというふざけた魔法ではなく、正規の魔法を使ってくるはずだ。この戦力差でそんなものまで加われば、勝ち目はゼロに等しくなる。

「きわめて難しい任務だが、第二の召喚者が現れないように、破壊工作を頼みたい」

「・・・それは困難ですね」

 さすがのハニバルも、険しい顔をして考え込んでいる。

「無理なら召還を遅らせるだけでいい」

「・・・一つお願いがあります。エリス姫に助力を願うことは可能ですか?」

「姫にか?」

「はい。フリージアの娘は皆美しいため、多くの者が各国の後宮にメイドや女官として仕えております。彼女たちの何名かは依然としてエリス姫に忠誠を使っており、裏で協力しているという噂を聞いた事があります」

 なるほど、ありうる話だ。クリスもエリス姫に忠誠を誓うゼレス王国の女官だったしな。しかしあの姫、そんな情報網を持っていたのか。

「わかった、明日、三人ともエリス姫に謁見してもらう。その際に、申し出てみよう」
 
「はい、ありがとうございます」

「最後にランウ、君の騎馬隊はフリージアの〝リリィ・カタフラクト〟で統一してくれ」

 俺の言葉に、ランウの顔が曇る。

「あの女用の乗馬道具でですか?」

「ああ、君ならリリィ・カタフラクトの有効性はわかるはずだが?」

「確かに乗馬は楽そうですが、騎士のプライドにかかわります。それはご容赦ください。さすがにユリの花の名を冠した道具を使うのは、騎士団のプライドが許しません。部下も嫌がるでしょう」

「だが〝リリィ〟という名前を付けたのは、レイネシア姫だ」

「姫様が!?」

「そうだよ、あたしだよ。ユリの刺繍も、裁縫工房のみんなが一生懸命つくったんだよ。それでもランウは使うのは嫌?」

 レイナはランウの巨体を下から覗き込むように、可愛らしく尋ねる。瞳をうるわせ、不安げな表情をつくる。

「いえ、滅相もない。光栄です。他の国の男どもに笑われようとも、みな喜んで使うでしょう、反対する奴は、ぶん殴ってでも使わせます!」

「やったあ!」

 嬉しそうにほほ笑むレイナ。

「ふふっ、目的のために、レイネシア姫さえも使う。相手の弱点を突き、自身の意のままに動かす。それも立派な〝戦術〟でございますぞ」

「やはりセイオウ様は稀有な軍才の持ち主で間違いないようです」

 ロウメイとハニバルが俺をほめたたえる。

(・・・そうか、これも戦術で、軍才なのか。こういうのを、敵に強いるのだな・・・)

 俺は初めて何かを掴んだような気がする。

「ふう、敵に回すとおっかねえ方ですな、こりゃ」

 ランウの物言いが面白かったので、俺やレイナを含むその場の全員が爆笑する。気持ちのいい男達だった。

(そうだ、彼らとなら、きっと勝てる。勝ってみせる)

 そんな決意を、新たにした。
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