異世界に召喚されたが『聖王』じゃなくて『性王』(風俗王)だったので、下品だと追放された。仕方がないのでチート風俗魔法で風俗国家を再建します

横島イクオ

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開戦(下)一部完結

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 騎兵部隊に護衛されたレイネシア姫が、俺達がいるバルコニーにあがる。そして自身の姿を、フリージアの国民の前にさらす。

「わたくしの名は、レイネシア・フォン・エルディア。エルディア王国第一王女です」

 はっきりとしたよく通る声で、レイナは自身の素性を明かす。堂々としたその姿は、誰が見ても大国の姫君の姿だった。

「レイネシア姫!?」

「生きていたのか」

「えっ、レイナちゃん!?」

 その姿に人々が息をのむ。

「我がエルディア王国の王位は、我が父である前王が弟、ゼレスによって簒奪されました。そして彼はわたくしを亡き者にしようと計らいました。そのためわたくしは今までエリスティア姫に保護され、匿われていたのです」

(全てを明らかにする気か)
 
 レイネシア姫がフリージアにいることを公にすれば、ゼレスとの停戦や講和は不可能になる。レイナもまた、覚悟を決めているようだった。

「フリージアとエルディアは、前王の下では、友好関係にありました。しかしゼレスは、フリージアの人々に圧政をしき、骨の髄まで搾り取るつもりなのです」

 レイナは呼吸を整え、群衆をまっすぐに見つめながら言葉を続ける。

「わたくしは、エルディア王国第一王女レイネシアの名において、フリージアの人々と共に、ゼレスと戦うことを宣言いたします」

 レイネシア姫が開戦の宣言をすると、フリージアの群衆から歓声が沸き起こる。共に戦う強力な同胞の出現に、感極まり歓喜の声をあげた。

「レイネシアの名のもとに、これよりセイオウ様をエルディア元帥に任じ、軍の一切の指揮権を委ねます」

「エルディア軍は、セイオウ様にその剣を捧げることを、誓います!」

 雷鳴の様に轟くランウの声と共に、エルディア軍の将兵が一斉に剣を掲げ、敬礼する。コンマ一秒のずれもないほどの、整然とした敬礼。それは民兵とは比較にならない厳しい訓練を経た正規軍のものだった。

 俺はチラリと、傍らにいるミアを見つめる。

「私の剣は、とうに主様に捧げられています」

 無言で見つめ返してくれるミアの瞳は、そう告げていた。

(・・・ふう、エリス姫もレイナも、開戦を決意していたのか)

 俺は敗北した場合に備えて逃げ道を残しておく算段だったが、エリス姫もレイナも、自らの退路を断ったうえで徹底抗戦する気だったのだ。

「1割です」

 俺の心を読んだように、エリス姫が微笑みかけてくる。

「セイオウ様の勝算が1割でもあれば、開戦する決意でした。そして皆でセイオウ様を盛り立て、勝算を2割3割と高めていこう、きっとできると。そして最悪の場合でも、最後の一人になるまでセイオウ様を信じて誇り高く戦おう、そう皆で話し合い決めておりました」 

(なるほど、俺が勝率は5割と言って驚いていたのは、勝率が予想以上に高かったからか)

 エリス姫は5割と聞いてすぐ、動員をかけていた事になる。完全にはめられてしまった。

(しかしエリス姫にはめられるのはいつもの事だし、マイヤ事務官やカノン隊長はともかく、身内であるレイナにも手回し済とはな)

 俺はレイナを見つめる。俺の視線に気づいたレイナは、俺だけに見えるように、チラッと可愛らしい舌を出して微笑む。「ごめんなさい、旦那様」と言っているように思えた。

(ふん、後で腰が抜けるまでベッドでヒンヒン言わせてやる。俺に隠し事をした罰だ)

 まあいい。わざと退路を断って、民心を一つにする。それも一つの優れた戦略だった。

「セイオウ様、いえ、元帥閣下。お言葉をお願いいたします」

 エリス姫に促されるままに、俺はバルコニーの先端に立つ。先端からは、広場の隅々まで見渡すことができた。

 ルシアが、ライカ達娼館の女達の姿が見える。
 ジェリー技師長に、ラン達裁縫工房のお針子達の姿も見える。
 従者たちが担ぐ輿に乗った、アブドルとイリスの姿も見える。

 もはや退路は必要ない。なら可能な限り大言を吐いて、士気を限界まで鼓舞するべきだ。今まで生きてきた中で一番の、大口をたたいてやる。

「俺こそ、異世界より召喚されし〝セイオウ〟である。俺は異世界の知識と技術の全てと、そして〝セイオウ〟の魔法の全てを用い、

 ──如何なる手段をもってしても、必ず勝利をつかみ取ることを約束しよう!」

 〝勝利〟という言葉に、人々の目が光がともったのが、ハッキリとわかった。
 過酷な搾取を受け続けてきた女ばかりの国が、ついに俺という指導者を得て立ち上がったのだ。
 俺の姿はきっと、彼女達の目にはキラキラと光り輝いているのだろう。俺が最初に見たレイナのように。

 レイナは大切な宝石を見るような瞳で、俺を見つめていた。
 ミアは決意を秘めた瞳で、俺を見上げている。
 ユリスは不思議なおとぎ話を聞いている様な表情をしている。
 そしてエリス姫は、俺の姿を見て、満足そうに微笑んでいた。

「敵はフリージアの圧政者にして、エルディアの簒奪者であるゼレス! 全ては勝利のために!」

「「勝利のために!!」」

 俺の雄叫びに、フリージアの官吏達と親衛隊が、民兵達とエルディアの将兵達が、そしてフリージアの群衆たちが、喝采で応じる。
 天を衝きあげるかのような鬨の声。エリス姫もレイナも、ミアもユリスも、各々が、か細く可憐な気を吐いて、声を重ねる。

 断言できる。
 この戦争がどんな結果で終わろうとも、この瞬間のこの記憶は、フリージアとエルディアの人々の歴史に永遠に刻み込まれる。彼ら彼女らが、もっとも幸福で輝いていた瞬間であると。

 賽は投げられた。
 あとはあらゆる力を振り絞って、この戦争を勝ち抜くだけだ。
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