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病の治療薬1
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柔らかな日差しと鳥たちのさえずりにルースレアはゆっくりと目を覚ました。視界に映る窓は少し開いていて、爽やかな風がふんわりと頬を撫でる。
「……おはよう、ルースレア」
ふと頭上から優しい声が降り注ぐ。ゆっくりとそちらに視線を移すとシアンが穏やかな笑みを浮かべてこちらを見ていた。
『おはよう、ございます』
ゆっくりと唇を動かす。言葉を読み取ったのかシアンが左右で別の色を宿す美しい瞳をすっと細めた。
ゆっくりと伸ばされた指先がルースレアの頬にかかっていた髪を払う。
「よく、眠れた?」
こくりと頷いた。それから甘えるように頬に触れている彼の指先に擦り寄る。ぴくりと僅かに震えた指先は少し困ったように頭に移動して優しく撫でた。
「もっと……一緒に眠りたいけど、もうそろそろ起きないとね」
シアンは昨日の結婚式を境にネイアスから領主を譲られたため、朝からやることが沢山あるのだろう。そして、新たに屋敷の管理を任されるルースレアもそれは同じだ。
「……今日は部屋に朝食を運ぶように言ってあるよ。僕は自室に一旦戻るからルースレアはゆっくり準備してね」
そう言ってシアンは一度ルースレアに口づけを落とすと、夫婦の寝室の隣にある自室へと行ってしまった。
残された彼女は顔を赤くしながら、そっと唇に触れる。起きてからずっとドキドキとうるさいくらい心臓が脈を打っていた。
「ルースレア様。ミューラとフラン、メイリーでございます」
部屋の外から声をかけられて、ルースレアは慌ててサイドテーブルの上にあったベルをチリンと鳴らし入室を許可する。
部屋に入ってきた三人は一斉に礼をして挨拶を述べた。
「さっそく身支度をしましょう。フランは私の手伝いを、メイリーは朝食の準備をお願いします」
「ええ、分かりましたわ」
「は、はい!」
どうやら元々の侍女であったミューラが統括する立場になったらしい。フランとメイリーは指示通りに動き始める。ルースレアは身支度を整えてもらい、シアンの部屋に向う。朝食は彼の部屋で食べるらしい。
部屋に入ると書類を処理していたらしい夫と目が合う。
「……うん、今日もかわいいね」
褒め言葉にルースレアの尻尾が嬉しげに揺れる。ミューラたちもいるので少し恥ずかしくなって、じわじわと頬が熱を持つ。
「さあ、朝食を食べよう」
ミューラに引いてもらった椅子に腰掛け、ちらりと前を見る。シアンも席に着き用意された朝食を口に運んでいる。大好きな人と共に朝を迎え、こうして食事をしているのがなんだか信じられなくて思わずぼーと見つめてしまった。
「……そんなに、見つめられると……恥ずかしいな」
ゆらりとシアンの三毛の尻尾が揺れた。照れた様子で瞳をそらす彼に、ぎゅっと胸が苦しくなる。かわいい、と思わず唇を動かしそうになったのを必死にごまかした。
「しっかり食べないとだめだよ」
そう言ったシアンが少し考える素振りを見せたあと、すっとルースレアを見る。どこかいたずらめいた表情に首を傾げた。
「……僕が食べさせてあげようか……? あーん、って」
スープをすくったスプーンをこちらに見せながら、シアンが口を開けてそう告げた。尖った彼の犬歯を見ながら、しばし呆然としたルースレアはミューラの小さな咳払いにはっとして首をブンブンと横に振る。クスクスと笑う彼にちょっとむっとした表情を浮かべながら、朝食を口に運ぶ。
どうやらからかわれたようだ。
「残念」
シアンは差し出したスープを自身の口に運んだ。それから和やかに朝食を終える。
これから忙しくなるから頑張らないと、とルースレアが気持ちを新たにしていると彼が近くに来て手を取った。
「ごめんね、ちょっと先に一緒に来てほしいところがあるんだ。二人で行くからミューラ達はここの片付けをお願い」
「かしこまりました」
手を繋がれてルースレアは首を傾げならついていく。どこにいくのだろうかと疑問に思いつつも歩いていると、屋敷の外へと出てそのまま美しい庭を抜ける。その先には小さな温室があり、どうやらそこが目的地だったらしくシアンが扉を開き中へ入る。
「……ファル」
「ん? シアン様じゃないですか。おはようございます」
外とは違い湿気と室温でむわっとした温室内の奥。大きなテーブルに向かっていた白衣の男がシアンの呼びかえに振り返った。
真っ白な美しい髪は乱雑に後ろで一つに結ばれている。シュッとした耳と尻尾を見るに猫族のようだ。澄んだ青色の瞳がシアンからルースレアへと移る。
「あれ? もしかして奥様?」
少しずれた丸い眼鏡を直しながら男が首を傾げた。
「……おはよう、ルースレア」
ふと頭上から優しい声が降り注ぐ。ゆっくりとそちらに視線を移すとシアンが穏やかな笑みを浮かべてこちらを見ていた。
『おはよう、ございます』
ゆっくりと唇を動かす。言葉を読み取ったのかシアンが左右で別の色を宿す美しい瞳をすっと細めた。
ゆっくりと伸ばされた指先がルースレアの頬にかかっていた髪を払う。
「よく、眠れた?」
こくりと頷いた。それから甘えるように頬に触れている彼の指先に擦り寄る。ぴくりと僅かに震えた指先は少し困ったように頭に移動して優しく撫でた。
「もっと……一緒に眠りたいけど、もうそろそろ起きないとね」
シアンは昨日の結婚式を境にネイアスから領主を譲られたため、朝からやることが沢山あるのだろう。そして、新たに屋敷の管理を任されるルースレアもそれは同じだ。
「……今日は部屋に朝食を運ぶように言ってあるよ。僕は自室に一旦戻るからルースレアはゆっくり準備してね」
そう言ってシアンは一度ルースレアに口づけを落とすと、夫婦の寝室の隣にある自室へと行ってしまった。
残された彼女は顔を赤くしながら、そっと唇に触れる。起きてからずっとドキドキとうるさいくらい心臓が脈を打っていた。
「ルースレア様。ミューラとフラン、メイリーでございます」
部屋の外から声をかけられて、ルースレアは慌ててサイドテーブルの上にあったベルをチリンと鳴らし入室を許可する。
部屋に入ってきた三人は一斉に礼をして挨拶を述べた。
「さっそく身支度をしましょう。フランは私の手伝いを、メイリーは朝食の準備をお願いします」
「ええ、分かりましたわ」
「は、はい!」
どうやら元々の侍女であったミューラが統括する立場になったらしい。フランとメイリーは指示通りに動き始める。ルースレアは身支度を整えてもらい、シアンの部屋に向う。朝食は彼の部屋で食べるらしい。
部屋に入ると書類を処理していたらしい夫と目が合う。
「……うん、今日もかわいいね」
褒め言葉にルースレアの尻尾が嬉しげに揺れる。ミューラたちもいるので少し恥ずかしくなって、じわじわと頬が熱を持つ。
「さあ、朝食を食べよう」
ミューラに引いてもらった椅子に腰掛け、ちらりと前を見る。シアンも席に着き用意された朝食を口に運んでいる。大好きな人と共に朝を迎え、こうして食事をしているのがなんだか信じられなくて思わずぼーと見つめてしまった。
「……そんなに、見つめられると……恥ずかしいな」
ゆらりとシアンの三毛の尻尾が揺れた。照れた様子で瞳をそらす彼に、ぎゅっと胸が苦しくなる。かわいい、と思わず唇を動かしそうになったのを必死にごまかした。
「しっかり食べないとだめだよ」
そう言ったシアンが少し考える素振りを見せたあと、すっとルースレアを見る。どこかいたずらめいた表情に首を傾げた。
「……僕が食べさせてあげようか……? あーん、って」
スープをすくったスプーンをこちらに見せながら、シアンが口を開けてそう告げた。尖った彼の犬歯を見ながら、しばし呆然としたルースレアはミューラの小さな咳払いにはっとして首をブンブンと横に振る。クスクスと笑う彼にちょっとむっとした表情を浮かべながら、朝食を口に運ぶ。
どうやらからかわれたようだ。
「残念」
シアンは差し出したスープを自身の口に運んだ。それから和やかに朝食を終える。
これから忙しくなるから頑張らないと、とルースレアが気持ちを新たにしていると彼が近くに来て手を取った。
「ごめんね、ちょっと先に一緒に来てほしいところがあるんだ。二人で行くからミューラ達はここの片付けをお願い」
「かしこまりました」
手を繋がれてルースレアは首を傾げならついていく。どこにいくのだろうかと疑問に思いつつも歩いていると、屋敷の外へと出てそのまま美しい庭を抜ける。その先には小さな温室があり、どうやらそこが目的地だったらしくシアンが扉を開き中へ入る。
「……ファル」
「ん? シアン様じゃないですか。おはようございます」
外とは違い湿気と室温でむわっとした温室内の奥。大きなテーブルに向かっていた白衣の男がシアンの呼びかえに振り返った。
真っ白な美しい髪は乱雑に後ろで一つに結ばれている。シュッとした耳と尻尾を見るに猫族のようだ。澄んだ青色の瞳がシアンからルースレアへと移る。
「あれ? もしかして奥様?」
少しずれた丸い眼鏡を直しながら男が首を傾げた。
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