夏の花、香る。

ねこじた

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夏の花、香る。

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 花奈は、三人ぶんのコーヒーを淹れるのだが、夏と由香もそんな様子を眺めては、一旦、開店準備の手を止めた。
 カフェの開店は、まだ先なので、平日の仕事終わりや、日曜などは朝早く、夏と由香も手伝っていた。    
 花奈の宣言。私、今の仕事やめてね、カフェをやろうと思うの。
 高校生の頃、三人の夢は、カフェやろうよ。であった。
 夏の家に集まると、百円ショップで買ってきた、ペーパードリップの道具で、とりあえず、飲んだっけ。
 あの香なら、この先も、忘れないのだ。
 夏は、なんか、悩んでる。
「うん、これ、美味しい?」
 結論、たっぷり入った、ミルクなんとか?あれを、混ぜちゃうか。となった。
 今も、夏のアパートに泊まれば、あのプラスチックの奴で飲める。
「私、あの時で、止まってるもん」
 夏は、いつも、真剣に言うわけだ。
 いつの間にか、みんな、就職なんかもしてた。
 だから、なのか。
 私、今の仕事やめてね、カフェをやろうと思うの。
 あれが、忘れられない。
 ま、仕事もあるので、夏なんかは、日曜の午前中なら、手伝うわ。そんな感じで、張り切ってた。
 由香は、配属先の都合でなのだが、転勤となってた。
 結局のとこ。それらしく、そっち側を選んでた。
 花奈と夏は、たしか、パンケーキも作ったよね。なんて話してる。
「あれ、どうなの、出しちゃうか」
 夏は、そんなことも言う。
「店、つぶす気なの。それに、あれ、どう再現すんのよ」
 花奈が呆れた。
 昔、どんな店にするとか、そんな話をしてた。マグカップを、もう、買ったりして。
 それが、三つ、並んでた。
 由香は、そんなのを、ぼんやりと聞いてた。
 スキルアップになればと、社内のチームマネージャーの試験も受けた。
 合格しての、配属だった。
 少しでも、自分の為になれば、給料だって増えるし。
 それが、やりたいこと、だったか。
 それに、気づくが。
 かと言って、なのだ。
 花奈と夏も、なんとなく、そんな由香に気づいてた。
「由香、この花、どっち?」
 夏は、なんかのパンフレットを開いて、由香に見せてる。
「だって、どっちも、よくない?」
 由香も、それに、合わせる。
「ま、両方とも、いっとく?」
 夏は、経営者でもないが、そんなことを言った。
「ね、てゆうか、名前、なんにするのよ」
 由香は、あまり聞いてもないので、ちょっと、疑問に思った。
「あ、まだ聞いてないわ」
 夏は、パンフレットを閉じると、すぐに賛同もする。
 花奈は、奥の段ボールから、木製プレートを出すのだ。
 カフェ花夏香
 夏と由香は、気がついた。
「ねえ、なんて読むわけ、かかか、なの?」
 夏は、案外、真顔なんで。
「はななつか!」
 花奈、キレる。
 由香は、昔みたい。そんな気がした。
 夏は、さすがに、
「それ、由香、笑い過ぎかも」





 




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