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第2章【勝負への葛藤】
第19話【偽る者の末路】
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「・・・鈴木さん」
別れ際、俺は鈴木さんに声を掛ける。
鈴木さんもその声に足を止め、此方に振り返る。
なんと声を掛けるべきか悩むかよりも先に俺は心の中で思っている事を叫ぶ事をしていた。
「鈴木さんは立派に戦ったんです!
誰がなんと言おうと鈴木さんは自分に誇れる試合をしたと思います!」
鈴木さんは少し驚いたような表情をしたが、少しは気持ちが落ち着いたのか、柔らかい笑みを浮かべる。
正直に叫んだのは良かったかも知れない。
「ありがとうございます、多田野さん」
「本当の事ですから胸を張って下さい!」
「そうですね。誰がなんと言おうと今回の試合は自分でもベストが尽くせました。
多田野さんの言う通り、胸を張れる試合だったでしょう」
鈴木さんはそう自分に言い聞かせると俺に頭を下げた。
「気付かせて頂いて、ありがとうございます。
自分も多田野さんからは色々と教わる事が多いみたいですね」
「えっ!そんな!俺は大した事なんてしてませんよ!」
「いえ。多田野さんはいつも、こんな自分を信じてくれています。だから、自分は自暴自棄にならずに済んでいるんですから」
そう言われて俺は頭を描いて、そっぽを向く。
鈴木さんは本当にいい人だな。
こんな俺の言葉を受け止めてくれるのだから。
「鈴木さん、人が良すぎますよ」
「そんな事はありませんよ。自分も人間です。
マスコミに囲まれた時、痛くもない腹を探られて流石に不快でしたし、なによりもボクサーとしての誇りを汚されて憤っていましたから。
会長の時もそうですが、やはり、信じてくれる人がいるだけ、心が救われます」
「鈴木さんを信じるのは当然ですよ。俺、前にも言いましたよ。
例え、俺だけになっても、鈴木さんのファンであり続けるって・・・」
なんだか段々、告白っぽくなって来た。流石にこれ以上は恥ずかしい。
俺はこんなにもこの人に憧れを抱いているのだなとつくづく思う。
そんな俺に鈴木さんは笑うと深々と頭を下げた。
「本当にありがとうございます、多田野さん。
今の自分があるのも多田野さんと出会えたからこそです」
「ちょっーー頭を上げてください。
俺だって、あの日に助けて貰ったからこそ、今がある訳ですし・・・」
俺達は互いに笑い合ってから「それでは」と改めて別れる。
俺は明るく笑う鈴木さんを見送ると少し胸の支えが取れた気がした。
そうして、俺は嬉々として家に帰る。
家に帰ると母さんに「何か良い事でもあったの?」と聞かれ、俺は事の経緯を母さんに話した。
この思いを誰かと共有したい。
そんな思いで・・・。
それから数日後、俺は坂崎選手が自殺した事を新聞で知るとなる。
見付かった遺書には信頼していたオーナーに裏切られた事、鈴木さんへの敬意と謝罪などが記されていた。
あの試合の後も坂崎選手のオーナーは坂田さんの脅されたからだの、これも八百長の一環だのと言い放って謝罪の一つもしなかった。
そんなオーナーに坂崎選手は自分を騙す事が出来ず、自殺という方法を取ってしまったのだ。
そこでようやく、坂崎選手のオーナーがあの試合の八百長発言が偽りだった事を認める。
八百長だと言い張った理由は流行り病後の注目の一戦と云う事で後々に悪影響が出るーー自身のジムに不利益が生じると思ったからなんだとか。
結局、坂崎選手のオーナーは自分の選手を信じられず、最悪の結末となってしまったのだろう。
坂崎選手のオーナーには色々と思う事はあったが、坂崎選手自体が悪い訳ではない。
この結末は本当に胸が痛くなる。
これが人を信じられるかどうかの違いなのだろう。
自殺した坂崎選手の葬儀は家族葬で行われるらしく、死に追い詰めたオーナーに裁判を起こすそうであるらしい。
なんとも後味の悪い結果となったが、身の潔白が証明された鈴木さんは良くも悪くも今回の一件で有名となったのだった。
そして、その結果が報告されるようになってから鈴木さんは笑う事をしなくなってしまう。
別れ際、俺は鈴木さんに声を掛ける。
鈴木さんもその声に足を止め、此方に振り返る。
なんと声を掛けるべきか悩むかよりも先に俺は心の中で思っている事を叫ぶ事をしていた。
「鈴木さんは立派に戦ったんです!
誰がなんと言おうと鈴木さんは自分に誇れる試合をしたと思います!」
鈴木さんは少し驚いたような表情をしたが、少しは気持ちが落ち着いたのか、柔らかい笑みを浮かべる。
正直に叫んだのは良かったかも知れない。
「ありがとうございます、多田野さん」
「本当の事ですから胸を張って下さい!」
「そうですね。誰がなんと言おうと今回の試合は自分でもベストが尽くせました。
多田野さんの言う通り、胸を張れる試合だったでしょう」
鈴木さんはそう自分に言い聞かせると俺に頭を下げた。
「気付かせて頂いて、ありがとうございます。
自分も多田野さんからは色々と教わる事が多いみたいですね」
「えっ!そんな!俺は大した事なんてしてませんよ!」
「いえ。多田野さんはいつも、こんな自分を信じてくれています。だから、自分は自暴自棄にならずに済んでいるんですから」
そう言われて俺は頭を描いて、そっぽを向く。
鈴木さんは本当にいい人だな。
こんな俺の言葉を受け止めてくれるのだから。
「鈴木さん、人が良すぎますよ」
「そんな事はありませんよ。自分も人間です。
マスコミに囲まれた時、痛くもない腹を探られて流石に不快でしたし、なによりもボクサーとしての誇りを汚されて憤っていましたから。
会長の時もそうですが、やはり、信じてくれる人がいるだけ、心が救われます」
「鈴木さんを信じるのは当然ですよ。俺、前にも言いましたよ。
例え、俺だけになっても、鈴木さんのファンであり続けるって・・・」
なんだか段々、告白っぽくなって来た。流石にこれ以上は恥ずかしい。
俺はこんなにもこの人に憧れを抱いているのだなとつくづく思う。
そんな俺に鈴木さんは笑うと深々と頭を下げた。
「本当にありがとうございます、多田野さん。
今の自分があるのも多田野さんと出会えたからこそです」
「ちょっーー頭を上げてください。
俺だって、あの日に助けて貰ったからこそ、今がある訳ですし・・・」
俺達は互いに笑い合ってから「それでは」と改めて別れる。
俺は明るく笑う鈴木さんを見送ると少し胸の支えが取れた気がした。
そうして、俺は嬉々として家に帰る。
家に帰ると母さんに「何か良い事でもあったの?」と聞かれ、俺は事の経緯を母さんに話した。
この思いを誰かと共有したい。
そんな思いで・・・。
それから数日後、俺は坂崎選手が自殺した事を新聞で知るとなる。
見付かった遺書には信頼していたオーナーに裏切られた事、鈴木さんへの敬意と謝罪などが記されていた。
あの試合の後も坂崎選手のオーナーは坂田さんの脅されたからだの、これも八百長の一環だのと言い放って謝罪の一つもしなかった。
そんなオーナーに坂崎選手は自分を騙す事が出来ず、自殺という方法を取ってしまったのだ。
そこでようやく、坂崎選手のオーナーがあの試合の八百長発言が偽りだった事を認める。
八百長だと言い張った理由は流行り病後の注目の一戦と云う事で後々に悪影響が出るーー自身のジムに不利益が生じると思ったからなんだとか。
結局、坂崎選手のオーナーは自分の選手を信じられず、最悪の結末となってしまったのだろう。
坂崎選手のオーナーには色々と思う事はあったが、坂崎選手自体が悪い訳ではない。
この結末は本当に胸が痛くなる。
これが人を信じられるかどうかの違いなのだろう。
自殺した坂崎選手の葬儀は家族葬で行われるらしく、死に追い詰めたオーナーに裁判を起こすそうであるらしい。
なんとも後味の悪い結果となったが、身の潔白が証明された鈴木さんは良くも悪くも今回の一件で有名となったのだった。
そして、その結果が報告されるようになってから鈴木さんは笑う事をしなくなってしまう。
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