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第3章【勝負の世界】
第22話【施された勝利】
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気が付いて目を開けると暗かった。
上体を起こそうとするとズキンとした痛みが後頭部から首筋にかけて走る。
俺がその痛みに首筋を押さえると同時にパサリとタオルが落ちて暗かった視界に光が差す。
「気が付きましたか。まだ起きない方がいいですよ?」
そう言われて顔を向けると鈴木さんの顔が間近にあった。
ここはーー控え室かな?
「鈴木さん、俺は一体、どうなったんですか?」
「ゴングと同時に突っ込んだ三国選手の一撃がクリーンヒットして倒れたんですよ」
「・・・そっか。俺、負けたんですね?」
実感はないが、ポツリと呟くと悔しさが増す。
期待になにも答えられなかった。
あれだけ練習した成果を活かせなかった。
あまりにも無様な負け方をして涙が出そうになる。
「多田野さん。悔しい気持ちは解ります。
けれど、一つ勘違いしているところがありますよ」
「え?」
俺はその言葉にうつ向き掛けた顔を上げる。
「この勝負は多田野さんの勝ちです」
「え?でも、俺は一発で倒れたんじゃ・・・」
「まあ、プロの世界でなら多田野さんの負けでしょう。
ですが、今回はアマチュアの試合です。
多田野さんは10ポイント維持のままKOしました。
対して、三国選手は姿勢が前傾で反動をつけた渾身の右ストレートーーそれも床に叩きつけて押し倒す形のKOです。
姿勢や攻めてを競うアマチュアのボクシングでは彼のボクシングはマイナス5点は確実です。
更に今回のルールの中に流血したら即試合終了と云うルールですからポイント維持のまま、多田野さんが勝った形になります」
一気にまくし立てられ、一瞬、呆けたが、どうやら、まだ俺は終わってないらしい。
まだ実感はないが、そういう事なのだろう。
「それと三国選手自体が棄権したので」
「え?一体、なぜですか?」
「本人曰く、多田野さんが全力を出す暇もなかった事が原因らしいですよ」
ああ。そう言えば、そんな約束をしていたな?
まさか、そんな事の為に自らの勝利を手放してしまったのか?
そんな事を考えていると会長が控え室に戻って来る。
「会長。どうなったんですか?」
「三国秦という選手は相当に我が強いらしい。向こうの会長さんも困っていたが、今回は最終的に正樹君の不戦勝で決着が着いたよ」
「え?俺、勝ったんですか?」
俺の問いに会長さんは頷く。
いや、待て待て。なんだ、この勝ち方は?
嬉しくもないし、実感もなにもない。ただ、混乱するだけしか出来ない。
悔しいにしても、モヤモヤしてしまう。
言葉にする事も出来ない。
俺は負けたんだと言われた方がまだ説得力がある。なのにこれだ。
俺はどうすべきなんだろうか?
「あの、会長さん。俺は本当に勝ったんですか?
たったワンパンでKOしてしまった俺が?」
「今更、結果は変わらんさ。腑に落ちないだろうが、君の勝ちだ」
そう言われて、俺は最初に抱いた感情は怒りだった。
三国さんが俺を馬鹿にしているようにも思えたし、情けで勝利を手放した風にも考えられる。
いや、実際、そうなのだろう。
「会長」
俺は静かに会長さんに声を掛けると会長さんは「なにかね?」と尋ねてくる。
俺の言いたい事など分かっているだろうにとも思ってしまい、会長さんに八つ当たりしそうになる程、俺は相当、三国泰という人物が許せないようだ。
だからこそ、俺は敢えて宣言した。
「俺は三国さんを許せません。いつか、リベンジします。
それが例え、プロの道だろうと三国泰と決着を着けます」
俺の言葉に会長さんは静かに頷き、鈴木さんが複雑そうな表情をする。
「気持ちは解るが、今はまずは目の前の試合に集中したまえ。次の試合は一週間後だよ」
「はい!」
俺は返事をすると拳を強く握り締めた。
三国泰!必ず、リベンジしてやる!
上体を起こそうとするとズキンとした痛みが後頭部から首筋にかけて走る。
俺がその痛みに首筋を押さえると同時にパサリとタオルが落ちて暗かった視界に光が差す。
「気が付きましたか。まだ起きない方がいいですよ?」
そう言われて顔を向けると鈴木さんの顔が間近にあった。
ここはーー控え室かな?
「鈴木さん、俺は一体、どうなったんですか?」
「ゴングと同時に突っ込んだ三国選手の一撃がクリーンヒットして倒れたんですよ」
「・・・そっか。俺、負けたんですね?」
実感はないが、ポツリと呟くと悔しさが増す。
期待になにも答えられなかった。
あれだけ練習した成果を活かせなかった。
あまりにも無様な負け方をして涙が出そうになる。
「多田野さん。悔しい気持ちは解ります。
けれど、一つ勘違いしているところがありますよ」
「え?」
俺はその言葉にうつ向き掛けた顔を上げる。
「この勝負は多田野さんの勝ちです」
「え?でも、俺は一発で倒れたんじゃ・・・」
「まあ、プロの世界でなら多田野さんの負けでしょう。
ですが、今回はアマチュアの試合です。
多田野さんは10ポイント維持のままKOしました。
対して、三国選手は姿勢が前傾で反動をつけた渾身の右ストレートーーそれも床に叩きつけて押し倒す形のKOです。
姿勢や攻めてを競うアマチュアのボクシングでは彼のボクシングはマイナス5点は確実です。
更に今回のルールの中に流血したら即試合終了と云うルールですからポイント維持のまま、多田野さんが勝った形になります」
一気にまくし立てられ、一瞬、呆けたが、どうやら、まだ俺は終わってないらしい。
まだ実感はないが、そういう事なのだろう。
「それと三国選手自体が棄権したので」
「え?一体、なぜですか?」
「本人曰く、多田野さんが全力を出す暇もなかった事が原因らしいですよ」
ああ。そう言えば、そんな約束をしていたな?
まさか、そんな事の為に自らの勝利を手放してしまったのか?
そんな事を考えていると会長が控え室に戻って来る。
「会長。どうなったんですか?」
「三国秦という選手は相当に我が強いらしい。向こうの会長さんも困っていたが、今回は最終的に正樹君の不戦勝で決着が着いたよ」
「え?俺、勝ったんですか?」
俺の問いに会長さんは頷く。
いや、待て待て。なんだ、この勝ち方は?
嬉しくもないし、実感もなにもない。ただ、混乱するだけしか出来ない。
悔しいにしても、モヤモヤしてしまう。
言葉にする事も出来ない。
俺は負けたんだと言われた方がまだ説得力がある。なのにこれだ。
俺はどうすべきなんだろうか?
「あの、会長さん。俺は本当に勝ったんですか?
たったワンパンでKOしてしまった俺が?」
「今更、結果は変わらんさ。腑に落ちないだろうが、君の勝ちだ」
そう言われて、俺は最初に抱いた感情は怒りだった。
三国さんが俺を馬鹿にしているようにも思えたし、情けで勝利を手放した風にも考えられる。
いや、実際、そうなのだろう。
「会長」
俺は静かに会長さんに声を掛けると会長さんは「なにかね?」と尋ねてくる。
俺の言いたい事など分かっているだろうにとも思ってしまい、会長さんに八つ当たりしそうになる程、俺は相当、三国泰という人物が許せないようだ。
だからこそ、俺は敢えて宣言した。
「俺は三国さんを許せません。いつか、リベンジします。
それが例え、プロの道だろうと三国泰と決着を着けます」
俺の言葉に会長さんは静かに頷き、鈴木さんが複雑そうな表情をする。
「気持ちは解るが、今はまずは目の前の試合に集中したまえ。次の試合は一週間後だよ」
「はい!」
俺は返事をすると拳を強く握り締めた。
三国泰!必ず、リベンジしてやる!
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