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第4章【プロへの道】
第30話【青春謳歌】
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資料に目を通し、坂田さんの模擬テストを受けて大分経つ。
「えっと、ロー・ブローは相手のトランクスよりも下を攻撃する事で・・・」
「勉強は捗ってますか、多田野さん?」
練習の合間の休憩中も資料を眺めて考え込んでいるとロードワークから帰ってきた鈴木さんが声を描けてくる。
「あ、鈴木さん」
俺は資料から目を離して鈴木さんの顔を見上げて見詰める。
最近、鈴木さんとは時間帯が合わず、なかなか、喋る機会がなかった。
まあ、俺は午前中にパートの仕事、鈴木さんは深夜のコンビニの店員なので必然的にジムに通う時間帯も異なって来る。
時間帯がお互いに被るのはシフト上の休日か、試合が近くて仕事を減らしているかのどちらかだろう。
今回はシフトの休日上の休みで鈴木さんが早くジムに来た為に久々に顔を合わせたに過ぎない。
「坂田さんの授業は如何ですか?」
鈴木さんは俺の腰かけるベンチの横に座ると俺の持つ資料を横目に見詰める。
「結構、覚える事があって大変ですが、大体の事は覚えられたと思います」
「そうですか。まあ、筆記試験は事務所から、やり直しを受ける事がありますから、そんなに気負う必要もありませんよ」
「そうなんですか」
「ーーとは云え、基礎的な問題ばかりですし、ルールなどの内容などを覚えるには必須です。覚えておいて、損はないでしょう」
鈴木さんの苦笑しながら、そう言うとベンチに深く座り直す。
そう言えば、そろそろ鈴木さんの試合が組まれる頃合いだろう。
これから鈴木さんもまた忙しくなる筈だ。
最近、時間帯も合わなかったし、また鈴木さんと雑談出来るのはいつになるか解らないから今の内に色々と話しておくか・・・。
それに久し振りに鈴木さんが笑った顔を見た気がするし、今日は何かいい事でもあったに違いないだろうし。
「鈴木さん。今日は上機嫌ですね?
何かいい事でもあったんですか?」
「あ。顔に出てしまっていましたか?」
鈴木さんは照れ笑いをすると俺にある事を打ち明ける。
「実は幼馴染みが今度、結婚する事になりましてね。
次の試合で勝ったら、その場で祝いの一言を言う約束をしたんですよ」
「そうなんですか?因みに幼馴染みって男ですか?それとも女ですか?」
「女性です。彼女には幸せな家庭を築いて貰いたいですね」
そう言って鈴木さんは微笑みながら、どこか遠くを眺めていた。
その表情は少し寂しげにも感じる。
「もしかして、その幼馴染みの事、好きだったんですか?」
俺はそう言って、しまったと思った。
流石に考えもなしに直球に聞いてしまった。
鈴木さんは笑って許してくれるが、今のは流石に不躾過ぎたな。
「すみません。答えにくい質問をしてしまって・・・」
「構いませんよ。ただ、そうですね?
好きだったかどうかで言えば、好きだったんでしょう」
やっぱり、そうか。流石に悪い事を聞いてしまった。
そんな俺に構わず、鈴木さんは話を続けてくれた。
「ただ、ボクシングと平行して彼女を両立させる事は出来ませんし、ボクシングと彼女のどちらかを取るかと言われれば、ボクシングを取ります。
自分はボクシングに情熱を捧げて来ましたからね。
まあ、27にもなって青春とか、何を言っているのかと笑われそうですが・・・」
「そんな事ありませんよ。そんな事言ったら、俺だって今、青春を謳歌している訳ですし」
「青春か。いい事じゃないか?」
俺と鈴木さんが話をしていると坂田さんが後ろから声を掛けて来た。
「あ、坂田さん」
「幾つになっても夢を追い続ける限り、人は皆、青春を謳歌しているんだ。
それが色恋沙汰だろうがなんだろうが、俺達のように情熱を注いでいて、それがいい思い出になるのなら、それは青春を謳歌しているのと同じだろう?」
「・・・まあ、そうかも知れませんね?」
「そうだとも。君達はまだ若いんだから、まだまだ、これから青春を謳歌出来るんだよ。いや、青春真っ盛りかな」
相変わらず、坂田さんの言葉にはある種の説得力があるな。
でも、青春の謳歌しているか・・・。
改めて言われると確かに今、ボクシングを続ける事で俺は青春しているのかも知れない。
そう思うとなんだか、楽しくなって来る。
「まあ、2人とも、まだ若いんだ。女性とのいい出会いもこれからだろうさ」
「そう言えば、聞きたい事があるんですが、坂田さんはどう言った経緯でお嫁さんをゲットしたんですか?」
俺が尋ねると坂田さんは困ったような顔をする。
「ああっと、俺の事は良いじゃないか?」
「そんな事を言わずに教えて下さいよ?」
「・・・う~む。そこまで言われたら、仕方ないな」
口ではそう言いつつ、坂田さんは楽しげに今の奥さんーー会長さんの娘さんについて話してくれた。
その内容は例のデスゲーム擬きのVRがきっかけらしい。
最初はその訓練の為に会社でシャドーボクシングをしていたのが、はじまりなんだとか。
改めて聞くと坂田さんは本当に昔はゲーマーだったんだなと再確認させられる。
それでいて今は子持ちなのだから、人生は本当に何がきっかけでどうなるか解らないものだなと思う。
そんな雑談をしていると坂田さんの腕時計からピピピッとアラームが鳴る。
「おっと。大分、長話をしてしまったね?
時間を取らせて、すまない」
「いえ、お気になさらず」
鈴木さんはそう言って、また苦笑すると練習に戻っていった。
俺もそろそろ、ガードテクニックの練習に戻らないとな。
そう思いつつ、俺達は各々の練習に励むのだった。
「えっと、ロー・ブローは相手のトランクスよりも下を攻撃する事で・・・」
「勉強は捗ってますか、多田野さん?」
練習の合間の休憩中も資料を眺めて考え込んでいるとロードワークから帰ってきた鈴木さんが声を描けてくる。
「あ、鈴木さん」
俺は資料から目を離して鈴木さんの顔を見上げて見詰める。
最近、鈴木さんとは時間帯が合わず、なかなか、喋る機会がなかった。
まあ、俺は午前中にパートの仕事、鈴木さんは深夜のコンビニの店員なので必然的にジムに通う時間帯も異なって来る。
時間帯がお互いに被るのはシフト上の休日か、試合が近くて仕事を減らしているかのどちらかだろう。
今回はシフトの休日上の休みで鈴木さんが早くジムに来た為に久々に顔を合わせたに過ぎない。
「坂田さんの授業は如何ですか?」
鈴木さんは俺の腰かけるベンチの横に座ると俺の持つ資料を横目に見詰める。
「結構、覚える事があって大変ですが、大体の事は覚えられたと思います」
「そうですか。まあ、筆記試験は事務所から、やり直しを受ける事がありますから、そんなに気負う必要もありませんよ」
「そうなんですか」
「ーーとは云え、基礎的な問題ばかりですし、ルールなどの内容などを覚えるには必須です。覚えておいて、損はないでしょう」
鈴木さんの苦笑しながら、そう言うとベンチに深く座り直す。
そう言えば、そろそろ鈴木さんの試合が組まれる頃合いだろう。
これから鈴木さんもまた忙しくなる筈だ。
最近、時間帯も合わなかったし、また鈴木さんと雑談出来るのはいつになるか解らないから今の内に色々と話しておくか・・・。
それに久し振りに鈴木さんが笑った顔を見た気がするし、今日は何かいい事でもあったに違いないだろうし。
「鈴木さん。今日は上機嫌ですね?
何かいい事でもあったんですか?」
「あ。顔に出てしまっていましたか?」
鈴木さんは照れ笑いをすると俺にある事を打ち明ける。
「実は幼馴染みが今度、結婚する事になりましてね。
次の試合で勝ったら、その場で祝いの一言を言う約束をしたんですよ」
「そうなんですか?因みに幼馴染みって男ですか?それとも女ですか?」
「女性です。彼女には幸せな家庭を築いて貰いたいですね」
そう言って鈴木さんは微笑みながら、どこか遠くを眺めていた。
その表情は少し寂しげにも感じる。
「もしかして、その幼馴染みの事、好きだったんですか?」
俺はそう言って、しまったと思った。
流石に考えもなしに直球に聞いてしまった。
鈴木さんは笑って許してくれるが、今のは流石に不躾過ぎたな。
「すみません。答えにくい質問をしてしまって・・・」
「構いませんよ。ただ、そうですね?
好きだったかどうかで言えば、好きだったんでしょう」
やっぱり、そうか。流石に悪い事を聞いてしまった。
そんな俺に構わず、鈴木さんは話を続けてくれた。
「ただ、ボクシングと平行して彼女を両立させる事は出来ませんし、ボクシングと彼女のどちらかを取るかと言われれば、ボクシングを取ります。
自分はボクシングに情熱を捧げて来ましたからね。
まあ、27にもなって青春とか、何を言っているのかと笑われそうですが・・・」
「そんな事ありませんよ。そんな事言ったら、俺だって今、青春を謳歌している訳ですし」
「青春か。いい事じゃないか?」
俺と鈴木さんが話をしていると坂田さんが後ろから声を掛けて来た。
「あ、坂田さん」
「幾つになっても夢を追い続ける限り、人は皆、青春を謳歌しているんだ。
それが色恋沙汰だろうがなんだろうが、俺達のように情熱を注いでいて、それがいい思い出になるのなら、それは青春を謳歌しているのと同じだろう?」
「・・・まあ、そうかも知れませんね?」
「そうだとも。君達はまだ若いんだから、まだまだ、これから青春を謳歌出来るんだよ。いや、青春真っ盛りかな」
相変わらず、坂田さんの言葉にはある種の説得力があるな。
でも、青春の謳歌しているか・・・。
改めて言われると確かに今、ボクシングを続ける事で俺は青春しているのかも知れない。
そう思うとなんだか、楽しくなって来る。
「まあ、2人とも、まだ若いんだ。女性とのいい出会いもこれからだろうさ」
「そう言えば、聞きたい事があるんですが、坂田さんはどう言った経緯でお嫁さんをゲットしたんですか?」
俺が尋ねると坂田さんは困ったような顔をする。
「ああっと、俺の事は良いじゃないか?」
「そんな事を言わずに教えて下さいよ?」
「・・・う~む。そこまで言われたら、仕方ないな」
口ではそう言いつつ、坂田さんは楽しげに今の奥さんーー会長さんの娘さんについて話してくれた。
その内容は例のデスゲーム擬きのVRがきっかけらしい。
最初はその訓練の為に会社でシャドーボクシングをしていたのが、はじまりなんだとか。
改めて聞くと坂田さんは本当に昔はゲーマーだったんだなと再確認させられる。
それでいて今は子持ちなのだから、人生は本当に何がきっかけでどうなるか解らないものだなと思う。
そんな雑談をしていると坂田さんの腕時計からピピピッとアラームが鳴る。
「おっと。大分、長話をしてしまったね?
時間を取らせて、すまない」
「いえ、お気になさらず」
鈴木さんはそう言って、また苦笑すると練習に戻っていった。
俺もそろそろ、ガードテクニックの練習に戻らないとな。
そう思いつつ、俺達は各々の練習に励むのだった。
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