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あの頭の中をハテナマークでいっぱいにされた卒業パーティーを帰宅してからも大変でした。
あの場で婚約破棄を叫ばれた令嬢は勿論、相手有責の婚約破棄を逆に突きつけた。
何かとごねられた様だが状況的に当然突っぱねた様だ。
私の家でも当然婚約破棄の手続きを済ませた。
皮肉な事に破棄を済ませた後の方が頻繁に我が家へ通い、手紙を寄越し、それはそれは必死に接触を試みている様だ。1回もお会いしていませんし、お手紙は私が目にする事はありませんでしたが。
「独創的で面白い手紙だったよ」
と兄はニコニコ笑って教えて下さいました。そんな風に聞かされると私も読みたかったなと思ってしまいましたわ。
それも当然でしょうけど。王家からは、問題を起こした家は30年登城を禁止、子息の王都への立ち入りを永遠に為るべからずとのお達しだ。時期当主からは外され、それぞれの家でどの様な判断を下したまでかは知らないが、今までとは雲泥の生活を送る事になるのだから。
殿下は体調を崩されたと報じられ現在は離宮で静養中との事。王妃は己の息子の所業を恥じ、第2妃に表舞台を任せ裏方に徹するそうだ。ふふ、表向きの発表はそうなっているそうですわね。
「今回私は送られる側として存分に楽しみますわ!」
ほほほほ。と高らかに笑い、フード制覇の為せっせとお皿に料理を乗せている私に声を掛けた。
陛下があの日に仰られた通り卒業パーティーのやり直しを王宮で行う事になったのだ。
今回は自分で采配をしなくて楽だったわ。何てリーザベト様は仰ってたけれど、もう直ぐご自身のご成婚の準備も佳境を迎えそれどころでは無い筈。目が少し虚ですものね…。
「いやだ、アウレーナってば本当に食いしん坊なんだから!本当にそんなに食べられるの?」
少しツンとしたザブリーネ。彼女はリーザベト様のご成婚をお祝いしてから隣国へ嫁がれるそうだ。何でも留学していた従兄弟が、友人として引き合わされ、文通を始めたのがきっかけだそうだ。ツンとした表情で頬を染め私達に教えて下さってとても可愛らしかったわ。
「もう、お腹壊さない様にね」
くすくす笑っているイーザンナ。婚約を結ぶ前からほんのり恋心を抱いていた遠縁の分家の方と婚姻を先月取り行った。私も元婚約者を責められないわ。と言っていたけれど、胸に秘めているのと実際行動を起こすのでは全く違う物だと思うわ。
「ううーん私もちょっとだけいただこうかしら。アウレーナのおすすめはどれ?」
うーんと一緒に料理を見つめるダニエルナ。両家の進める事業の関係上どうしても婚姻しなければならない様で、彼女の2つ下になる時期当主に繰り上がった次男と婚約を結び直した様だ。仕方が無いわね…と遠い目をしていたが新たな婚約者となった次男はこれでもかと構ってくるそうだ。背伸びをしてちょっと可愛いかも何て最近は幸せそうな顔を見せてくれる。
「皆ここにいたのね。やっぱり王宮って初めて来たけど何もかもが素晴らしいのね」
1番の被害を受けたペトラ。あの後は恐慌状態に入って大変だったわ。学園内の報告は入っていた様だったが改めて私達からもあの状況に至るまでの話を説明した。勿論お咎め等一切なく、王家の方からお詫びが彼女の家に届いたそうだ。
そしてペトラの婚約者も見つかった。その相手は私の兄だ。
兄にはお相手がいなかった。穏やかで柔和な笑みをいつも浮かべた自慢の兄だが、ふっくらとした体型のせいかイマイチお見合いした女性の反応も良くなかった。お兄様も乗り気ではなかったですものね。
そんな2人が出会って婚約までに至ったのは、あの恐慌状態の時我が家で少しお世話をしたから。
ペトラが実家に戻った時もお手紙を出したりお見舞いしに行ってたそうだ。
笑った顔が可愛らしくて包み込む様な優しさに触れ、気がついたら恋をしていたと言われた。
とってもお目が高いわ、流石ペトラね!
お兄様はペトラには一生勘付かせすらしないだろうけどお腹の中はとっても真っ黒なのよ。きっと黒いモノが一杯詰まってるからお腹がポンポコリンなのかもしれませんわ。
またあんな事が起きそうになってもお兄様が気づかない内に片付けて下さるわ。安心して幸せになってね!
やり直しパーティーで沢山の友人達とお話し、目標にしていたご馳走制覇に大満足ですわ。
ふんふんと気分良く自室に入る。
身支度を済ませると机の上には手紙が置いてあった。何も聞いていないけどもしかして例の独創的なお手紙かしら!とワクワクしながらふうを開けた。
あら、違うみたい。
私では書けない思いやりのある文章ですわ。
あ、あら?んんん?
私の文章理解力がおかしくなければ、結婚を前提にお付き合いの申し込みのお手紙ではないかしら。最後に書かれたこのサイン、それにこの封蝋は…王弟殿下?
「ええ?そ、そんな。私夢でも見ているの…?」
小さい頃憧れていた陛下の少し歳の離れた王弟殿下からの手紙。
色々な気持ちが湧き上がり顔の火照りが暫く治らなかった。
あの場で婚約破棄を叫ばれた令嬢は勿論、相手有責の婚約破棄を逆に突きつけた。
何かとごねられた様だが状況的に当然突っぱねた様だ。
私の家でも当然婚約破棄の手続きを済ませた。
皮肉な事に破棄を済ませた後の方が頻繁に我が家へ通い、手紙を寄越し、それはそれは必死に接触を試みている様だ。1回もお会いしていませんし、お手紙は私が目にする事はありませんでしたが。
「独創的で面白い手紙だったよ」
と兄はニコニコ笑って教えて下さいました。そんな風に聞かされると私も読みたかったなと思ってしまいましたわ。
それも当然でしょうけど。王家からは、問題を起こした家は30年登城を禁止、子息の王都への立ち入りを永遠に為るべからずとのお達しだ。時期当主からは外され、それぞれの家でどの様な判断を下したまでかは知らないが、今までとは雲泥の生活を送る事になるのだから。
殿下は体調を崩されたと報じられ現在は離宮で静養中との事。王妃は己の息子の所業を恥じ、第2妃に表舞台を任せ裏方に徹するそうだ。ふふ、表向きの発表はそうなっているそうですわね。
「今回私は送られる側として存分に楽しみますわ!」
ほほほほ。と高らかに笑い、フード制覇の為せっせとお皿に料理を乗せている私に声を掛けた。
陛下があの日に仰られた通り卒業パーティーのやり直しを王宮で行う事になったのだ。
今回は自分で采配をしなくて楽だったわ。何てリーザベト様は仰ってたけれど、もう直ぐご自身のご成婚の準備も佳境を迎えそれどころでは無い筈。目が少し虚ですものね…。
「いやだ、アウレーナってば本当に食いしん坊なんだから!本当にそんなに食べられるの?」
少しツンとしたザブリーネ。彼女はリーザベト様のご成婚をお祝いしてから隣国へ嫁がれるそうだ。何でも留学していた従兄弟が、友人として引き合わされ、文通を始めたのがきっかけだそうだ。ツンとした表情で頬を染め私達に教えて下さってとても可愛らしかったわ。
「もう、お腹壊さない様にね」
くすくす笑っているイーザンナ。婚約を結ぶ前からほんのり恋心を抱いていた遠縁の分家の方と婚姻を先月取り行った。私も元婚約者を責められないわ。と言っていたけれど、胸に秘めているのと実際行動を起こすのでは全く違う物だと思うわ。
「ううーん私もちょっとだけいただこうかしら。アウレーナのおすすめはどれ?」
うーんと一緒に料理を見つめるダニエルナ。両家の進める事業の関係上どうしても婚姻しなければならない様で、彼女の2つ下になる時期当主に繰り上がった次男と婚約を結び直した様だ。仕方が無いわね…と遠い目をしていたが新たな婚約者となった次男はこれでもかと構ってくるそうだ。背伸びをしてちょっと可愛いかも何て最近は幸せそうな顔を見せてくれる。
「皆ここにいたのね。やっぱり王宮って初めて来たけど何もかもが素晴らしいのね」
1番の被害を受けたペトラ。あの後は恐慌状態に入って大変だったわ。学園内の報告は入っていた様だったが改めて私達からもあの状況に至るまでの話を説明した。勿論お咎め等一切なく、王家の方からお詫びが彼女の家に届いたそうだ。
そしてペトラの婚約者も見つかった。その相手は私の兄だ。
兄にはお相手がいなかった。穏やかで柔和な笑みをいつも浮かべた自慢の兄だが、ふっくらとした体型のせいかイマイチお見合いした女性の反応も良くなかった。お兄様も乗り気ではなかったですものね。
そんな2人が出会って婚約までに至ったのは、あの恐慌状態の時我が家で少しお世話をしたから。
ペトラが実家に戻った時もお手紙を出したりお見舞いしに行ってたそうだ。
笑った顔が可愛らしくて包み込む様な優しさに触れ、気がついたら恋をしていたと言われた。
とってもお目が高いわ、流石ペトラね!
お兄様はペトラには一生勘付かせすらしないだろうけどお腹の中はとっても真っ黒なのよ。きっと黒いモノが一杯詰まってるからお腹がポンポコリンなのかもしれませんわ。
またあんな事が起きそうになってもお兄様が気づかない内に片付けて下さるわ。安心して幸せになってね!
やり直しパーティーで沢山の友人達とお話し、目標にしていたご馳走制覇に大満足ですわ。
ふんふんと気分良く自室に入る。
身支度を済ませると机の上には手紙が置いてあった。何も聞いていないけどもしかして例の独創的なお手紙かしら!とワクワクしながらふうを開けた。
あら、違うみたい。
私では書けない思いやりのある文章ですわ。
あ、あら?んんん?
私の文章理解力がおかしくなければ、結婚を前提にお付き合いの申し込みのお手紙ではないかしら。最後に書かれたこのサイン、それにこの封蝋は…王弟殿下?
「ええ?そ、そんな。私夢でも見ているの…?」
小さい頃憧れていた陛下の少し歳の離れた王弟殿下からの手紙。
色々な気持ちが湧き上がり顔の火照りが暫く治らなかった。
応援ありがとうございます!
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みんなの感想(7件)
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面白かったです。
ご令嬢たちの聡明なところと食いしん坊主人公、とても好みでした。
新しいお話をお待ちしています。
感想ありがとうございます、とても嬉しかったです(*^▽^*)
またココナツ信玄さんをはじめ、目にとまった方々の暇潰しになれるようなお話が出来たらなと思っておりますᕦ(ò_óˇ)ᕤ
…しかし不思議な事に書いてると行き詰まってしまうんですよねぇ。
不思議…不思議……_:(´ཀ`」 ∠):ゴフ
楽しく読ませて頂きました。
そう言っていただけて嬉しいです、ありがとうございます!
楽しく読ませていただきました😆
ところで3話でバカどもを止めたのは誰ですか?
兵を動かして王子を含めた高位貴族を捕らえさせたのだから王族なのは解るのですが?
陛下❔王弟❔第一王子❔
感想ありがとうございます(*´ω`*)
陛下のつもりで書いてましたが、一言も発言した人物には触れていませんでしたね…。
分かりづらくて申し訳ありませんでした。・゜・(ノД`)・゜・。
ここだけは変えない程度に付け足しておきます。