AFTER DEAD「最後の帰路」

ハンドアイランド

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大柄なヒーロー

裏切り者と、不気味な男

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私たちは目的地の廃校にたどり着いた。

入口付近に、見張りが二人。
銃器は持っていないが、長い棒状の武器を持っている。

堂々と相手をしてもいいが、無線機を持っていれば中の連中にバレる。

「静かにいきましょう」


まず紅林が足元の小石を、入口付近に投げる。
カン、と乾いた音。

「、、、なんだ?」

見張りの一人が首を傾げ、音のした方へ歩き出す。

その瞬間、
私が背後から一気に距離を詰め、男の首に腕を絡める。
抵抗もさせず、一瞬で気絶させた。

それに気づき、もう一人の見張りが慌てて腰に手を伸ばす。

だが、その前にーー、
横から川路が飛び込み、腕を抑える。

「なっーー!」

大声を上げる前に、私も加勢する。
二人がかりで抑え、さっきの男同様に気絶をさせた。

私は見張りの腰元を探る。

「やはりな」

案の定、無線機を所持していた。
これは使える。

入口は無事、制圧した。

廃校に足を踏み入れようとした、その時。
紅林が、私の肩を掴んだ。

「ここからは、二手に別れましょう」

その言葉に、反射的に足を止める。

銃器を持っていて、人数は不明。
そんな相手がいる場所に、別れて侵入するのは危険すぎる。

「それは、危険じゃないでしょうか、、、」

そう返すと、紅林が答える。

「ここからは時間の勝負です。
  さっき奪った無線機で連絡を取り合い、
  仲間を見つけ次第、救出して即退出しましょう」

一理ある。
まとまっていれば、探す時間もかかる。
それでも、私は迷った。

「私たちは、大丈夫です!」

明るい笑顔で、川路が言い切る。
無理をしている感じでもない。

、、、信じるしかないか。
私は大きく息を吸い、覚悟を決める。

「無茶はしないこと」

「必ず、無事に帰ること」

真剣な顔で、紅林を見る。

「この二つだけは、絶対に守ってくださいね!!」

「わかりました。仲間を見つけたら、すぐ連絡します」

無表情のまま、紅林はそう答えた。
その隣で、川路も無言で頷く。


廃校は三階建て。
すぐに離脱できるように、紅林と川路は一階のみを探索。
私は、二階と三階を担当することになった。

廃校に入るなり、私は階段に向かう。
息を殺し、階段を上がる。

その私に、川路が振り返り笑顔を向けた。
その横には、相変わらず無表情の紅林。
私は小さく手を上げた。

ここからは、それぞれの戦いだ。


私は二階の探索を始めた。
慣れた足取りで、端から端まで確認する。

、、、いない。

拉致された仲間はおろか、人の気配がない。

「三階か、、、」

普通に考えれば、襲撃されやすい一階に固まっているとは思えない。
私は静かに階段へ向かった。


その頃ーー。

一階では、探索を続けていた二人が、教室の横の角で足を止めていた。
緊張による疲労を整えるためだ。

川路が廊下の奥を見つめ、その隣で紅林が息を整える。


そのときーー、

「何しているんだーい??」

不気味に間延びした声が、二人の背後から響いた。
一瞬、時間が止まる。

だが川路は、反射的に前に飛び出し、そのまま振り返る。
視線が、声の正体を捉えた。


視線の先には、不気味な男が立っていた。

背中は不自然なほど丸まり、猫背というより折れ曲がっているようだった。
そのせいか、腕が異様に長く、地面に届きそうな錯覚すら覚えた。

だが、より異様だったのは口だ。
ニターっと歪んだ笑みを浮かべたその口は、あまりにも大きい。
裂けている、と表現した方が近い。
まるで口裂け女のようだ。

川路は、言葉を失った。

さらに信じがたい光景に目を奪われる。

ーー紅林が、そこにいた。

不気味な男のすぐ横。
肩が触れそうな距離に、微動だにせずに立っている。

不気味な男。
それに、全く動じない紅林。

「紅林くーん」

男が、ねっとりした声で呼びかける。
ニタニタと笑いながら、首を傾げる。

「彼が、お友達の川路くんかな??」

紅林は、その男を一瞥もしなかった。
視線は前を向いたまま、無表情で答える。

「そうです」

短い返答。

川路は、まだ喋ることができない。
頭が追いつかない。

「かなりビビっちゃってるね」

紅林を見る男。

「面倒だからさ、紅林くん。
  君から説明してよ」

それを聞いた紅林は、何も言わずに動き出す。
そして川路の方へ、ゆっくりと歩み寄る。

その紅林が、不気味な男よりも川路の背筋を冷やした。
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