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大柄なヒーロー
異変
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「パパーー!!」
英花の声が、はっきりと聞こえる。
英花の部屋の方からだ。
「待ってろ!!」
周囲のやつらが一斉に、谷風に襲いかかる。
渾身の力で振り抜かれる金属バットの音が、廊下に響く。
やつらの体は、まるでカラーコーンのように吹き飛び、壁や床に叩きつけられる。
やつらの間をこじ開け、蹴散らしながら進む。
そしてようやく、英花の部屋の前までたどり着いた。
ーー扉が、開いている。
「英花!!!」
谷風は部屋に飛び込んだ。
英花は、タンスの上にいた。
小さな体で、必死にバランスを取りながら、やつらの手を避けている。
やつらが腕を伸ばし、タンスを揺らしている。
今にも、倒れてしまいそうだ。
「パパ!!」
泣きそうな顔で、英花が叫ぶ。
「英花!! 今行く!!」
私は目の前のやつらを力任せになぎ倒しながら、一直線に部屋の奥に進む。
その時だった。
まるで、この瞬間を待っていたかのように、タンスがゆっくりと傾き始めた。
「きゃーーーーー!!!」
英花の悲鳴が響く。
谷風は目を見開き、目の前のやつらを吹き飛ばし、倒れていくタンスへと駆ける。
ゆっくりと倒れていくタンス。
その先にいる、やつらの群れの中に英花が吸い込まれていく。
「だめだ、、、!! 英花!!」
谷風の叫びは届かない。
英花の姿が、やつらの中に完全に消える。
最後に見えたのは、必死に伸ばされた小さな手だった。
「英花ーーー!!」
諦めるな、、、、。
まだ間に合う。
やつらが、英花の落ちた辺りに群がる。
まるで獲物にたかるように、折り重なっている。
その光景を見た瞬間、谷風の中で何かが切れた。
怒りで我を忘れそうになる。
なんとか道をこじ開け、無理やり前に進む。
やっと、英花の周りのやつらを薙ぎ払った。
そこには英花がいたが、言葉が出なかった。
英花の体には、無数の外傷。
噛み傷、引っ掻き傷。
至るところから、血が止まらない。
「パ、パ、、、」
かすれた声。
英花の命の火は、今にも消えそうだった。
谷風は、ただ英花を抱きかかえる。
もう、助からない。
やつらと、同じになってしまう。
「ごめん、、、、」
声が震える。
「ごめんよ、、、、」
英花を強く抱きしめながら、大粒の涙が落ちた。
やつらの手が、谷風に伸びる。
抵抗する気力はもう無い。
このまま英花と一緒に、、、。
その時だった。
「バタ、バタバターーー」
英花を抱きしめていた私に、襲いかかろうとしていたやつらが、
突然、その場に崩れ落ちた。
まるで、操り人形の糸が一斉に切れたかのように。
床に倒れ、動かない。
微動だにしない。
「、、、え、、、、」
思わず、声が漏れる。
そこら中にいたやつらが、全員倒れている。
「はあ、、、、はあ、、、」
腕の中から、苦しそうな呼吸が聞こえる。
谷風は、英花の顔を覗き込む。
ここまでやつらに噛まれ、外傷を受ければ、すぐにでも“症状”が出るはずだった。
目は充血し、髪は抜け落ちる。
噛まれた部分は、どす黒く変色する。
だがーー、
英花に、変化はない。
外傷は酷く、出血は止まらないが、人間のままだ。
周囲を見渡す。
やつらが急に動かなくなったこと。
そして、なぜか英花に症状が出ていないこと。
理解できない。
が、ひとつの感情が湧き上がる。
ーー英花は、助かるかもしれない。
谷風は英花を抱きかかえ、立ち上がった。
「待ってろ、、、今、助けるからな、、、!」
廊下を全力で駆ける。
そして雄太の病室へ向かう。
ドアが、開いている。
嫌な予感が走った。
中に入ると、やつらがいた。
ドアを破って、侵入されたか、、、。
だが、全員が床に倒れ、動かない。
部屋の隅で、雄太と母親が固まっている。
何が起きたのか分からず、怯えた目でこちらを見ている。
よく見ると、雄太の母親の足に、くっきりと残る噛み傷。
雄太の腕にも噛み傷が、、、。
だが、英花と同様に症状が出ていない。
なぜだ??
だが、今はそれどころではない。
すぐに英花に視線を戻し、ベットにそっと寝かせる。
震える手で、止血を始める。
ドクドクと、止まらない英花の血。
「大丈夫だ、、、大丈夫だよ、英花、、」
それは英花に向けた言葉というより、自分自身に言い聞かせるものだった。
英花の声が、はっきりと聞こえる。
英花の部屋の方からだ。
「待ってろ!!」
周囲のやつらが一斉に、谷風に襲いかかる。
渾身の力で振り抜かれる金属バットの音が、廊下に響く。
やつらの体は、まるでカラーコーンのように吹き飛び、壁や床に叩きつけられる。
やつらの間をこじ開け、蹴散らしながら進む。
そしてようやく、英花の部屋の前までたどり着いた。
ーー扉が、開いている。
「英花!!!」
谷風は部屋に飛び込んだ。
英花は、タンスの上にいた。
小さな体で、必死にバランスを取りながら、やつらの手を避けている。
やつらが腕を伸ばし、タンスを揺らしている。
今にも、倒れてしまいそうだ。
「パパ!!」
泣きそうな顔で、英花が叫ぶ。
「英花!! 今行く!!」
私は目の前のやつらを力任せになぎ倒しながら、一直線に部屋の奥に進む。
その時だった。
まるで、この瞬間を待っていたかのように、タンスがゆっくりと傾き始めた。
「きゃーーーーー!!!」
英花の悲鳴が響く。
谷風は目を見開き、目の前のやつらを吹き飛ばし、倒れていくタンスへと駆ける。
ゆっくりと倒れていくタンス。
その先にいる、やつらの群れの中に英花が吸い込まれていく。
「だめだ、、、!! 英花!!」
谷風の叫びは届かない。
英花の姿が、やつらの中に完全に消える。
最後に見えたのは、必死に伸ばされた小さな手だった。
「英花ーーー!!」
諦めるな、、、、。
まだ間に合う。
やつらが、英花の落ちた辺りに群がる。
まるで獲物にたかるように、折り重なっている。
その光景を見た瞬間、谷風の中で何かが切れた。
怒りで我を忘れそうになる。
なんとか道をこじ開け、無理やり前に進む。
やっと、英花の周りのやつらを薙ぎ払った。
そこには英花がいたが、言葉が出なかった。
英花の体には、無数の外傷。
噛み傷、引っ掻き傷。
至るところから、血が止まらない。
「パ、パ、、、」
かすれた声。
英花の命の火は、今にも消えそうだった。
谷風は、ただ英花を抱きかかえる。
もう、助からない。
やつらと、同じになってしまう。
「ごめん、、、、」
声が震える。
「ごめんよ、、、、」
英花を強く抱きしめながら、大粒の涙が落ちた。
やつらの手が、谷風に伸びる。
抵抗する気力はもう無い。
このまま英花と一緒に、、、。
その時だった。
「バタ、バタバターーー」
英花を抱きしめていた私に、襲いかかろうとしていたやつらが、
突然、その場に崩れ落ちた。
まるで、操り人形の糸が一斉に切れたかのように。
床に倒れ、動かない。
微動だにしない。
「、、、え、、、、」
思わず、声が漏れる。
そこら中にいたやつらが、全員倒れている。
「はあ、、、、はあ、、、」
腕の中から、苦しそうな呼吸が聞こえる。
谷風は、英花の顔を覗き込む。
ここまでやつらに噛まれ、外傷を受ければ、すぐにでも“症状”が出るはずだった。
目は充血し、髪は抜け落ちる。
噛まれた部分は、どす黒く変色する。
だがーー、
英花に、変化はない。
外傷は酷く、出血は止まらないが、人間のままだ。
周囲を見渡す。
やつらが急に動かなくなったこと。
そして、なぜか英花に症状が出ていないこと。
理解できない。
が、ひとつの感情が湧き上がる。
ーー英花は、助かるかもしれない。
谷風は英花を抱きかかえ、立ち上がった。
「待ってろ、、、今、助けるからな、、、!」
廊下を全力で駆ける。
そして雄太の病室へ向かう。
ドアが、開いている。
嫌な予感が走った。
中に入ると、やつらがいた。
ドアを破って、侵入されたか、、、。
だが、全員が床に倒れ、動かない。
部屋の隅で、雄太と母親が固まっている。
何が起きたのか分からず、怯えた目でこちらを見ている。
よく見ると、雄太の母親の足に、くっきりと残る噛み傷。
雄太の腕にも噛み傷が、、、。
だが、英花と同様に症状が出ていない。
なぜだ??
だが、今はそれどころではない。
すぐに英花に視線を戻し、ベットにそっと寝かせる。
震える手で、止血を始める。
ドクドクと、止まらない英花の血。
「大丈夫だ、、、大丈夫だよ、英花、、」
それは英花に向けた言葉というより、自分自身に言い聞かせるものだった。
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