AFTER DEAD「最後の帰路」

ハンドアイランド

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大柄なヒーロー

大都市の入口

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私は部屋に戻り、すぐに準備を始めた。

すぐに動く。
そうしないと、いつまでもここから出られない気がした。

荷物をまとめる。

ふと、手が止まった。

枕の横。
英花の遺灰を包んだ、小さな布。

私はゆっくりとしゃがみ、目線を合わせた。

「パパ、行ってくるね」

そう小さく呟き、まるで頭を撫でるように、布を優しく撫でた。


連れてはいけない。

ここは、英花にとって何のゆかりもない場所だ。
だが、英花を置いていけそうな場所は、ここしかない。

ジッと布を見つめる。

「よし!」

立ち上がる。

そして、振り返らずに部屋を出た。


雄太と母親に、最後の挨拶をした。

そして、

「英花の遺灰は、ここに置いていきます」

母親の表情が変わった。

「え、、、? どうして?」

当然の反応だ。
普通なら連れて行く。

私は、視線を落とした。

連れていけない。
今の心情を言葉にしても、きっと伝わらない。
もし自分が母親の立場なら、同じように理解はできないだろう。

私は、短く答えた。

「申し訳ない。これ以上は聞かないでください」

「そ、そうですか、、、」

その表情は、痛々しかった。
英花が一人で置いていかれることを、代わりに悲しんでいるようだった。

私は、それを見ていられなかった。

「無事でいてくださいね! それじゃあ!」

無理やり声を張る。

最後を湿っぽくしたくなかった。

返事は待たない。
相手の顔も見ない。

そのまま振り返り、歩き出した。
足音だけが、やけに大きく響いていた。


目指す場所は、変わらない。
金の鯱が有名な、大都市だ。


ただ歩いた。

あちこちに倒れたやつら。
生存者とは、一度も会わなかった。

何も起きない。
ただ、自分一人でひたすら歩くだけ。

それが、何より辛かった。

これまでは英花がいた。

今は一人だけだ。

歩いていると、急に胸が締め付けられる。

気づけば、道の端にうずくまり、声も出さず涙を流した。

それを何度も繰り返した。

妻を失ったときは、英花がいた。
だから前を向けた。

でも今は、ひとりぼっちだ。

英花のいない世界で、どう乗り越えればいいのか。
いや、乗り越えられない気がしていた。


そうして、歩いているうちに目的地にたどり着いた。

大きな街の入口が、まるでこちらを見下ろしているように立っている。

「よし、まずは探索をしよう」

そう口に出さないと、飲み込まれてしまいそうだった。


この旅で、食料は底をついた。
生存者の探索もするが、食料の調達も必須だ。

しばらく、探索をする。
静かな時間だった。


その時だった。

「ーーーーるなっ!!!」

人の声。

しかも、叫び声だ。

私の体は、考えるよりも先に動いた。
そして、声のした方へ駆け出した。

そこにたどり着いた時、見えたのは、
尻もちをつきながら後退りする男と、それを取り囲む数人の男たち。

ただ事ではない。

私はそう感じた。
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