58 / 60
合わさるピースと、欠けるピース
無線の向こうの男
しおりを挟む
谷風は、真っ直ぐこちらを見ている。
俺は、その視線から目を逸らせなかった。
逃げたくなるほど、重い視線だった。
やがて、谷風はゆっくりと目を閉じた。
まるで眠るように。
そして二度と、目を開けることはなかった。
その後、誰もしばらくは動けなかった。
ただ、その場に立ち尽くしていた。
目の前には、谷風の巨体が横たわっている。
やがて、俺たちは動き出した。
林と谷風を並べる。
二人を火葬するためだ。
火葬後、二人の骨を集め、それぞれ別々に埋めた。
その間、誰も喋らなかった。
「さて、、、どうしましょうか、、、」
上泉が、沈黙を破った。
「決まっている」
小野川が迷いなく答えた。
「やつらは、自分たちの思想に合わない人間を狩っている」
「逆に、そいつらから情報を引き出す」
その目には、明確な殺気が宿っている。
谷風の死は、この冷酷な男にも響いているのだろう。
「ピーピー、、、、ピーー」
急な機械音。
全員が顔を上げた。
音の発信源を探る。
皆の視線は自然と、あの不気味な男の亡骸に向いた。
音はそこから聞こえている。
小野川が男の亡骸を調べる。
腰の辺りから、無線機のようなものが出てきた。
小野川が慣れた手つきで、それをいじる。
ザーッというノイズに変わった。
「誰だ?」
小野川は無線機に向かって問う。
数秒の沈黙の後、
「、、、2番ではないな?」
謎の男の声で、返答が返ってきた。
「2番?」
小野川は、男の亡骸を見る。
「この異様な外見の男か?」
間髪入れずに、返事が来た。
「私の友人だ。悪く言うのはやめていただきたい」
「知らんな」
小野川が、言い放つ。
「こんなゴミクズ」
「、、、彼は無事か?」
無線の向こうの男が、静かに問う。
「殺した」
小野川は、即答した。
長い沈黙が続いた。
その後、
「、、、、そうか」
それだけだった。
「貴様は誰だ?」
小野川の目が鋭くなる。
無線機を睨みつける。
「君が殺した彼の、“ボス”というやつだな」
「お前が、黒幕か、、、、!」
小野川の手に力が入る。
無線機が、ギシリと音を立てる。
「君がどこまで知っているか分からないが、、、」
男は続ける。
「そんなところだな」
「殺してやる!」
「どこにいる?!」
「殺してやると言うやつに、居場所を教えるわけがないのだが、、、」
かすかに笑う。
「だが俺も、君と同意見でね」
声が僅かに熱を帯びている。
「久々に、強い殺意を感じている」
「私も数少ない理解者を失って、冷静じゃないらしい」
「君を殺さないと、この感情は収まらない」
男の声が続く。
「そうか、同意見だ」
小野川が、短く返す。
殺意と殺意が、無線越しにぶつかる。
「私は、、、にいる」
「2番たちが乗って行った、自動車があるはずだ」
「それで来い」
「私たちの“夢の世界”のためにも」
声が、わずかに低くなる。
「私の個人的な恨みのためにも、早く君たちに会いたい」
「待ってろ。すぐ行く」
そしてーープツッ。
通信が途切れた。
小野川の手が、わずかに震えている。
ガンッ!!
無線機を地面に叩きつけた。
怒りなのか?ようやく見つけた標的への高揚なのか?
小野川の表情は、そのどちらでもあった。
俺は、その視線から目を逸らせなかった。
逃げたくなるほど、重い視線だった。
やがて、谷風はゆっくりと目を閉じた。
まるで眠るように。
そして二度と、目を開けることはなかった。
その後、誰もしばらくは動けなかった。
ただ、その場に立ち尽くしていた。
目の前には、谷風の巨体が横たわっている。
やがて、俺たちは動き出した。
林と谷風を並べる。
二人を火葬するためだ。
火葬後、二人の骨を集め、それぞれ別々に埋めた。
その間、誰も喋らなかった。
「さて、、、どうしましょうか、、、」
上泉が、沈黙を破った。
「決まっている」
小野川が迷いなく答えた。
「やつらは、自分たちの思想に合わない人間を狩っている」
「逆に、そいつらから情報を引き出す」
その目には、明確な殺気が宿っている。
谷風の死は、この冷酷な男にも響いているのだろう。
「ピーピー、、、、ピーー」
急な機械音。
全員が顔を上げた。
音の発信源を探る。
皆の視線は自然と、あの不気味な男の亡骸に向いた。
音はそこから聞こえている。
小野川が男の亡骸を調べる。
腰の辺りから、無線機のようなものが出てきた。
小野川が慣れた手つきで、それをいじる。
ザーッというノイズに変わった。
「誰だ?」
小野川は無線機に向かって問う。
数秒の沈黙の後、
「、、、2番ではないな?」
謎の男の声で、返答が返ってきた。
「2番?」
小野川は、男の亡骸を見る。
「この異様な外見の男か?」
間髪入れずに、返事が来た。
「私の友人だ。悪く言うのはやめていただきたい」
「知らんな」
小野川が、言い放つ。
「こんなゴミクズ」
「、、、彼は無事か?」
無線の向こうの男が、静かに問う。
「殺した」
小野川は、即答した。
長い沈黙が続いた。
その後、
「、、、、そうか」
それだけだった。
「貴様は誰だ?」
小野川の目が鋭くなる。
無線機を睨みつける。
「君が殺した彼の、“ボス”というやつだな」
「お前が、黒幕か、、、、!」
小野川の手に力が入る。
無線機が、ギシリと音を立てる。
「君がどこまで知っているか分からないが、、、」
男は続ける。
「そんなところだな」
「殺してやる!」
「どこにいる?!」
「殺してやると言うやつに、居場所を教えるわけがないのだが、、、」
かすかに笑う。
「だが俺も、君と同意見でね」
声が僅かに熱を帯びている。
「久々に、強い殺意を感じている」
「私も数少ない理解者を失って、冷静じゃないらしい」
「君を殺さないと、この感情は収まらない」
男の声が続く。
「そうか、同意見だ」
小野川が、短く返す。
殺意と殺意が、無線越しにぶつかる。
「私は、、、にいる」
「2番たちが乗って行った、自動車があるはずだ」
「それで来い」
「私たちの“夢の世界”のためにも」
声が、わずかに低くなる。
「私の個人的な恨みのためにも、早く君たちに会いたい」
「待ってろ。すぐ行く」
そしてーープツッ。
通信が途切れた。
小野川の手が、わずかに震えている。
ガンッ!!
無線機を地面に叩きつけた。
怒りなのか?ようやく見つけた標的への高揚なのか?
小野川の表情は、そのどちらでもあった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』
月神世一
SF
【あらすじ】
「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」
坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。
かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。
背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。
目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。
鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。
しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。
部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。
(……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?)
現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。
すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。
精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。
これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
クラス転移したからクラスの奴に復讐します
wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。
ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。
だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。
クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。
まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。
閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。
追伸、
雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。
気になった方は是非読んでみてください。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる