【モテたい、好感度鑑定の覚醒者】あれ?「ネタ魔法」ってバカにしてたよね??最強と気付いたところでもう遅い。

山形 さい

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序章II

最終試験!

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洞窟は、薄暗いが松明をつけるほどではない。
 少し不気味なコウモリの鳴き声が洞窟内に響き渡っている。

「ねぇ、ギル……」

「ん? どうしたんだシロ?」

「あの……なんで、そんなに私にくっついてるわけ? ……」

 気づけば俺は、両手でシロの腕を握っていた。急いで、その手を離す。

「ば、バカやろ! 別にぃ、暗いのが怖いなんて思ってませんよぉ? 決してな!!」

『あらあら、ギルくん? ギルくんって、暗いの怖いんだぁ~~? 案外、ギルくんって可愛いなぁ~』

(お前は、黙ってろよ。別にぃ怖いとかじゃないからな!! 本当に本当に本当にな!!)

『はいはい。怖いの怖いの飛んでけぇー!』

(ねぇ、痛いの痛いの飛んでけ! っみたいに言うのやめてもらっていい?)

 シロは、ニヤリと笑う。

「もしかして~、ギルって暗いの苦手~?」

「ぎくッ!」

『あ~あ、痛いところ疲れちゃったわね』

(おい、助けてくれ!)

『……』

(こういう時だけ、聞いてないよ。はやめてくれぇええ!)

 シロはニヤリとした顔を、近づけてきて「それでどうなの?」と言う。

 その、笑顔は悪魔そのものだった。マジかよ……。

 更に、そこに。

「ギルって、暗いの嫌いなんですか!? ちょっと意外です」

「いや、だから苦手とかじゃないから! いや、マジで……」

「あっそ! なら、先いこーモモちゃん!」

「はい!」

 2人はテクテクと俺を置いて、歩いて行く。

 なんて、悪魔だ……。うわっ、暗っ、こわっ!!

「おーい! 待ってくれ、俺をひとり……お前らだけじゃ、心配ダァー!!」


■■■


「基本的には、入試のダンジョンは5層が最下層となっているらしいから、あと2層といったところだな」

 俺たちはというか、俺はここまでの3層分ひとりでモンスターを蹴散らしてきた。といっても、スライムしかモンスターは出くわしていないが……。

 まぁ、そのおかげだろうかモモの好感度が少し上がっている。この調子ならっ!!

「そうなんだ……じゃぁ、もうすぐボス戦ね!」

「はい! そのようですね!!」

 次の瞬間、天井に張り付いていたスライムが俺たちをめがけて降ってきた。

 いち早くスライムに気づいた俺は、剣を鞘から抜いて剣先を落ちてくるスライムに当てた。

「むぅん」と、鳴いた後にスライムはドロドロに溶けて消滅した。

 一応、油断はできない。
 もしかしたら、強いモンスターが出てくるかも知れない。

「このダンジョンは、スライムしか出てこないのでしょうか? 他にもモンスターがいてもおかしくない気がしますが……」

「確かにな。モモ、シロ、油断はするなよ。いつ、不意をついてくるかわからないからさ」

 シロは、ガッテンとポーズを決めながら「わかってるから! あんたのためじゃないからね!」と言う。

 もちろん、そんなの十分承知に決まってるだろ。入試は、自分のためにするものであった人のためじゃないことぐらい。

「わ、わかりました」と、モモはモジモジしながら言う。

 もう少し、警戒しなくてもいいのだが……。
 
 その後は、ずっとずっとどんどんと最下層のための階段を降りついに、最下層に着いた。

 途中途中の引っ掛かりは全くなかったため、多分かなりスムーズに来ているはずだ。
 後は、ボスを探すだけだ。

「どこら辺に、ボスのいる部屋があるんだ?」

「やっぱり、奥じゃないの? こういうのって大体そんな感じでしょ?」

「だよなぁ……」

「多分ですが……シロさんの言う通りだと思います」

 なるほどなぁ……どこら辺が、そのボスの部屋なのだろうか? 
 さっぱりわからないが、多分この調子で進んでいれば遭遇するはずだ。

 やばい、少し不安になってきた。本当に、遭遇できるよね?

 それから、俺たちはとにかく進んだがこれまでの階とは違い、かなり広くなかなか隅に着かない。

(なぁ、鑑さん。本当に、行く方向合ってるのか?)

『今見てみるわね……えーとね、うん、合ってるわ。後少しで見えてくるはずよが』

(門?)

 すると、シロとモモが声を合わせて「ここね!」「ここですね!」と言う。

「うわっ! デカっ!」

 そこにあったのは、大きな岩でできた扉だった。
 扉にはなんか、文字が書いてあるまぁ、読めるはずもない。きっとこれを開ければ中にボスがいるのだろう。

 唾をゴクリと飲んだ後に。

「よしと、この中だな……」

「そうだね」

「そうですね」

 2人の顔は、とても真剣な表情になっていた。


 

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