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田中ライコフ

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再会

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 約束の夜は二週間前と変わらず、空気だけは爽やかだった。
 そう、空気だけ。叶真が待ち合わせ場所についたときキョウスケの姿はすでにそこにあり、それだけで爽やかな夜は台無しになった。
「遅かったな。逃げたかと思ったぞ」
 第一声から叶真を挑発するキョウスケだったが、叶真はあえてそれには返事をせず、無言でホテルの中へ入っていく。挑発に乗らない叶真をキョウスケはつまらなそうに一瞥すると、叶真の背を追うようにホテルの中へと消えていく。
 そこから部屋につくまでは互いに無言だった。初めてキョウスケと出会ったときは申しわけ程度の明かりしかない公園だったため、明るい場所で姿を見たのはこれが初めてだ。鋭い目が印象的な男だと思っていたが、蛍光灯の下で見るキョウスケは思わず二度見してしまうほど整った容姿をしている。纏う雰囲気は危険であったが、逆にそれが興味をそそられるという人間も多いかも知れない。
 まぁ、俺はまったくタイプじゃないけどな、と叶真はキョウスケから視線を逸らした。
 指定された部屋へ入ると叶真は着ていたジャケットを脱ぎ、部屋の中心に置かれているベッドへと投げ捨てる。
 古いラブホテルではあったが何度か改装もされているのか汚らしさは感じられない。一見ビジネスホテルのようにも見えた。建物が古い分安さが売りで、ハッテン場となっている公園と目と鼻の先に位置しているため、男同士の利用者も多い。叶真も何度か男を連れ込んだことがある。ナオトの時も面倒くさがらずにホテルを利用していればこんなことにはならなかったな、と叶真は今更ながら過去の自分の行動に後悔した。
「あんた、シャワーは?」
「家で済ませて来ている。お前はまだか? ケツの中洗ってやろうか」
 口を開けば馬鹿にした物言いしかしないキョウスケにうんざりしながらも、叶真は首を横に振った。
「セックスするのが分かってるんだ。俺も済ませてきてる」
「一人で中まで洗ったのか? バリタチどころかすっかりネコになってるんじゃないか」
 口の減らないキョウスケを叶真はわざと無視すると、未だに部屋の入り口付近にいるキョウスケの腕を掴み、その身体を乱暴にベッドへと投げた。叶真の行動に驚きキョウスケはすぐに起き上がろうとしたが、それはキョウスケの身体の上に覆いかぶさった叶真が阻止をする。
「……おい。なんのつもりだ。俺はケツを貸す気はないぞ」
「安心しろよ。ケツは俺が貸してやる。だけどな、主導権を握るのは俺だ」
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