player

田中ライコフ

文字の大きさ
37 / 45

優しい快楽2

しおりを挟む
「ここはすっかり俺に屈服しているのにお前は俺の何が気に入らない? 無駄な意地は張らずに俺に落ちろ」
「あっ、あ……い、やだっ……」
 快楽に呑まれそうになりながら、それでも叶真はキョウスケを受け入れることを否定した。
 強い意志を持って自分を拒否する叶真にキョウスケは苛立ちを覚える。
 キョウスケは体内から指を抜くと劣情を秘所へとあてがい、中へ潜り込ませていく。
「いっ……は、ぁ……」
 指とは比べ物にならない重圧感は、赤く腫れた秘所に容赦のない痛みをもたらせる。それでも叶真はキョウスケの進入を拒むことはしなかった。叶真の身体は、痛みは一時のもので、その向こうに底知れぬ快楽と悦楽があるのをすでに知っている。
 じりじりと時間をかけて最奥に辿りついたキョウスケはすぐに動くことはせず、叶真の秘所が劣情に馴染むのを待った。
 叶真の上に被さったキョウスケは、叶真の明るく染めた髪を優しく撫でる。その手つきは髪を掴み、乱暴した男と同じだとは思えなかった。
「んっ……」
 キョウスケから口付けを施される。今日だけで三度目だった。だがその三度のキスだけで叶真はキョウスケに染められていくような感覚を味わっていた。
 ほんのりと煙草の香りが漂うキスは頭の芯をとろけさせ、セックスを感じさせる。この扇情的なキスを叶真は嫌いになれなかった。
 口付けを交わしながらキョウスケはゆっくりと抽送を開始する。ジクジクとした熱い痛みに叶真は顔を歪めるが、それもほんの少しの間だけだった。キョウスケの優しい動きに痛みは薄れ、身体に残るのは甘く痺れるような快感だけだ。
「ん、ぁ……ん」
 今までの貪るようなセックスとはまるで違う。快楽を追い求めるだけのセックスではなく、これは相手を慈しむためのセックスだ。
「あっ、あ……はぁ……」
 じわじわと身体に走る快感に、叶真の口から甘さの含んだ嬌声がこぼれる。
 気持ちが良い。今までに経験したどのセックスよりも気持ちが良かった。
 叶真は今まで一度だってこんな相手を慈しむようなセックスをしたことがあっただろうか。好きな人は優しく抱いたつもりであったが、きっとキョウスケほどではない。そう思うとこの快楽は気持ちが良いが、どこか辛いものだった。
「んっ……んっ」
「おい、唇を噛むな。イイなら声を出せばいいだろう」
「い、や……だっ」
 甘えたような嬌声を聞くのが耐えられない。どんなに否定しようとも、これではキョウスケを受け入れているようではないかと思った。
 今にも血の滲みそうな叶真の唇を、そっと指でなぞったキョウスケは耳元で優しく囁きかける。
「声を出したくないのなら俺にしがみついていろ。そう……腕を回せ。噛んでも構わないから」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました

あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」 穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン 攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?   攻め:深海霧矢 受け:清水奏 前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。 ハピエンです。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。 自己判断で消しますので、悪しからず。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。

キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ! あらすじ 「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」 貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。 冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。 彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。 「旦那様は俺に無関心」 そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。 バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!? 「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」 怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。 えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの? 実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった! 「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」 「過保護すぎて冒険になりません!!」 Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。 すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。

【bl】砕かれた誇り

perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。 「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」 「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」 「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」 彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。 「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」 「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」 --- いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。 私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、 一部に翻訳ソフトを使用しています。 もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、 本当にありがたく思います。

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

執着

紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。

処理中です...