桃子と睦月

ぱや

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睦月視点 3

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 穏やかに過ぎていく日々の中で、僕は不安に思ってしまう。
 これが夢なんじゃないか、今トーコさんと一緒に暮らしているのは、僕が見ている夢なんじゃないか、と。
 一人になって、自分の体を見ても、トーコさんにつけられた傷はない。
 今までの人は僕をモノのように扱い、僕の体に傷をつける。それの確かな証拠はあるのに、トーコさんと一緒にいるという確かな証拠がない。
 首元のネックレスを握る。トーコさんがかってくれたもの。ぎゅっと握って心を落ち着かせる。

 トーコさんと暮らし始めて三年、食事も食べれるようになり、マンションの外にも一人で出れるようになった。
 トーコさんには最初から「外で働けるようになってほしい」と言われている。
 いつまでもそれができないと、僕はここを追い出されてしまう。トーコさんの近くにいるためには外で働けるようにならなければならない。
 あまり外に出ることはなかったので、週末にトーコさんと買い出しに行くスーパーとか、近くの公園まではいけるように足を運んだ。
 外は怖いところだと、僕を傷つける場所だといったのは誰だっただろうか。
 冬の風は確かに冷たくて、少し痛いけれど、きもちがいい。
 外が気持ちがいい場所だと気付かせてくれたのはトーコさんだ。
 トーコさんに僕はいろいろな物を貰っている。僕はなにもお返しができていない。

 年が明けてしばらくはトーコさんの仕事は忙しそうだった。
 仕事が落ち着いた翌々日新年会があるから帰りが遅いと仕事に行った。疲れと目の下のクマを化粧で隠していたので、ちょっと心配だった。

 心配は的中したというか、十二時ごろ帰ってきたと思ったら玄関に倒れていた。
 かなりお酒臭い。
 前に泥酔してた時は靴は脱いでいたし、ここまで泥酔してなかったので今日は大分調子が悪かったのかもしれない。
 そういえば、玄関に倒れるように酔っぱらうのは去年の時が初めてだった。それより前は飲み会の後でも家に帰ってきてもしっかりしてた。
 靴を脱がして部屋に運ぶ。筋肉もついてきたのでトーコさんを支えながらであれば運ぶことができる。抱っこして運ぶのはちょっと今の僕には難しい。でもいつか、持ち上げたい。

 布団の上にひとまず座らせる。
 前に酔いつぶれてたら、服を脱がしてほしい。と頼まれていたので、まずは上着だけ脱がしてハンガーにかける。
 シャツはこのままでいいんだろうか?ストッキングもこのまま?
 それともパジャマに着替えさせた方がいいのだろうか……。

「……トーコさん、パジャマに着替える?」
「ん?ん~……きがえるぅ」

 聞いたら、そうに答えが返ってきたので、電気をつけてパジャマ探し、布団の近くに用意する。

「トーコさん、脱げる?」
「ぬがして」

 さっきから目をつぶって話している。大丈夫なんだろうか?大丈夫じゃなさそうだけど。
 シャツを脱がし、上はブラジャーだ。パジャマの上をまずは着させる。
 スカートは座ったままだと脱がしずらい。

「トーコさん、横になってくれる?スカート脱ごう?」

 そういうと、コロンと横になってくれた。
 スカートを下ろして、これもハンガーにかける。
 ストッキングがうまく脱がせなくて、一緒にパンツも脱がしてしまった。
 ひとまずそのままストッキングをとって、ストッキングの中からパンツを出す。
 履かせようとトーコさんを見ると、足を左右に広げ、トーコさんの股が見える。
 茂みに割れ目。こくんと喉を鳴らす。ハッと気づき、首を左右に振って、だめだと自分を律する。
 ゆるりとトーコさんの眼が開いた。視線が合うと、へにゃりと笑った。

「むつき、して?」

 トーコさんの言葉に我慢できなかった。
 トーコさんの股に顔をうずめる。丁寧に割れ目を舐め上げ、クリトリスを口に含む。指を穴に入れてトーコさんが反応するところを見つける。

「ぁっ……あんっ、んっ………」

 トーコさんの甘い声と、僕の荒い呼吸、卑猥な水音が部屋に響く。
 とろとろと愛液が流れだした。

「んっ……むつき、いれて……あんっ………んっ……おくまで、いれて……」

 僕のちんこはすでに固くなり、立っている。
 自分のズボンを下ろすと、先走りがすでにこぼれていた。
 コンドームも見えるところにあるので、それを一つ取り装着する。
 穴に先っぽを当てて、ぐっと押し込む。

「あぁ~!」

 トーコさんは僕をすんなり受け入れてくれた。
 腰を動かし、中をかき回す。奥をつく。
 気持ちよさそうにトーコさんの声が上がる。
 人に入れるのはトーコさんが初めてだ。いや、誰かにさんざん口の中にいれられたことはあるけれど、誰かのお尻、誰かの穴に入れたことはない。
 僕は入れられてばかりだったから。
 こんな風に腰を動かして奥をついたこともない。
 セックスがこんなに気持ちがいいものだなんて僕は知らなかった。
 トーコさんに触ってもらうのも気持ちがいい。
 僕はトーコさんが好きだ。トーコさんが両手を広げたので、動くのをやめてぎゅっと抱きしめる。
 深いキスをする。お酒臭い。

「トーコさん、僕にしてほしい事ある?」
「……はたらいて、ほしい、かな……」
「……なんで?僕を追い出したいから?」

 こないだのように、トーコさんはこの時のことを覚えてないだろう。だから、聞けた。
 僕が働けるまでは面倒を見てやろうというそういう優しさなのかと思ってる。
 僕がもし働いたら、ここには居ることができない気がした。
 働けないでずっといたら、トーコさんに嫌われてしまう。けれど、働いたらここを追い出されてしまう。だから僕は一歩を踏み出せないでいた。 

「………いっしょに、りょこうに、いきたいから……」

 トーコさんの言葉に我に返る。

「わたしだけのきゅうりょうだったら、りょこうにいけない……おんせん、いっしょに、いきたいねぇ」
「一緒に?」
「いっしょに」

 涙が出そうになった。
 トーコさんは僕を追い出すために言ったんじゃなかった。
 腰を動かし、トーコさんがイッた後すぐに僕もイッた。
 イッた後はトーコさんはそのまま寝てしまった。
 話しかけても反応がない。僕はトーコさんを綺麗に拭いて何事もなかったようにパンツを履かせ、ズボンをはかせて部屋を出た。

 翌日、トーコさんは起きてくるなりお風呂に行っていた。
 もし聞かれたら正直にセックスしたと伝えるつもりだったけれど、どうやら昨日のことは覚えてないようだった。
 結構会話したのに。
 僕は意を決して、働きたいことを告げる。
 今まで自分の体を売る以外の仕事はしたことがない。僕にできるのかどうかはわからないけど、僕を飼ってた人たちに色々なことはさせられてきたので、ある程度はきっとできるはずだ。
 さらに、トーコさんに僕の体に傷を作ってほしいとお願いした。けれど、トーコさんは僕の体を傷つけることはなく、ピアスを開けてることになった。
 今は左耳に桃色のピアスをつけている。トーコさんと僕が一緒に暮らしているという、これが夢じゃないんだっていう証拠。ずっと心配だったんだ。夢なんじゃないか、って。これで少し安心する。

 仕事も、蒼さんと柚木さんの知り合いのお店で働くことになっている。
 面接をしたときに、店主の人にも少し話をしてくれていたようで、「裏で作業するだけでいいから」と言ってもらっている。
 他の人にも紹介してもらい、僕は四月から昼間の約五時間働くことになる。

 トーコさんに、家を出るときと職場についたとき、帰った時に連絡を入れてほしい。といわれた。今までやっていたことなので、言われなくてもそうにしようと思っていた。
 僕に対して過保護にし過ぎているんじゃないかって、心配しているようだ。
 でも、僕はもっとトーコさんに束縛してほしいって思ってる。言えないけど。
 過去に一回そんなようなことを言ったら、トーコさんにちょっと引かれてしまったからだ。体に傷をつけてほしいって言ったときも、かなり引いてたけど。

 これからもトーコさんと一緒にいるために僕は頑張る。
 不安で踏み出せなかったけれど、ようやく僕も一歩外へ踏み出すことができた。
 トーコさんと一緒に旅行に行きたい。旅行というのはテレビや本の中でしか知らないけれど、トーコさんと一緒なら楽しいと思う。

 外では、桜が舞っていた。



=======
ひとまずここで終わりです。
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