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第3話 尊い自己犠牲の精神
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◇◇◇
「おいひぃれふぅ~こんなにおいひぃお料理ひさしぶりでふぅ」
目に涙を浮かべながらはふはふと夢中で目の前の料理を頬ぼるアニーシャ。ロイドはその様子を満面の笑みで見つめていた。
「まだまだたくさんありますからね。存分に召し上がってください」
「はい!うう。すきっ腹に染みわたりますぅ」
余程腹が減っていたのだろう。アニーシャは出された料理をどれもおいしそうに平らげている。
「おい、本当にこの嬢ちゃんが伝説の大聖女様なのか?」
隣に座ったギルドマスターのトムがこそこそと耳打ちしてくる。確かにいきなり大聖女が現れたと言っても信じられないだろう。ましてこのような小娘だ。実際ギルドカードでステータスを確認するまで、ロイドは微塵も信じていなかった。
「間違いなく大聖女、アニーシャ・ダダン様です」
きっぱりと言い切ったロイドに、トムはそわそわしだす。
「お、おい、だとしたら大事じゃねえか。すぐに城に報告に行かないと。いや、待てよ。大聖女様だから報告先は教会になるのか?」
トムの言葉をロイドは鼻で笑った。
「何言ってるんですか。どこにも報告なんてしませんよ」
「は、はぁ!?おまっ、大聖女様なんだろ!?」
「ええ。大聖女様ですが?」
「報告しなきゃまずいだろ!」
「なぜ?大聖女様は自らこの冒険者ギルドにいらしたのです。そして、ここで働きたいとおっしゃった。確固とした大聖女様のご意思です。その尊い自己犠牲の精神を踏みにじるような真似、俺には到底できません」
「お前!大聖女様をギルドの戦力としてこき使う気だな!」
「いけませんか?」
しれっと言い放ったロイドにトムは頭を抱える。確かに冒険者ギルドは年中人手不足。しかも今はモンスターパレードが多発する最盛期。ひとたびモンスターパレードが起これば、どれほどの被害が出るかわからない。
だが、せっかく三百年ぶりに目覚めた大聖女様を自分たちの都合でいいように利用するなど、ギルマスとしての矜持が邪魔をする。
「おいひぃれふぅ~こんなにおいひぃお料理ひさしぶりでふぅ」
目に涙を浮かべながらはふはふと夢中で目の前の料理を頬ぼるアニーシャ。ロイドはその様子を満面の笑みで見つめていた。
「まだまだたくさんありますからね。存分に召し上がってください」
「はい!うう。すきっ腹に染みわたりますぅ」
余程腹が減っていたのだろう。アニーシャは出された料理をどれもおいしそうに平らげている。
「おい、本当にこの嬢ちゃんが伝説の大聖女様なのか?」
隣に座ったギルドマスターのトムがこそこそと耳打ちしてくる。確かにいきなり大聖女が現れたと言っても信じられないだろう。ましてこのような小娘だ。実際ギルドカードでステータスを確認するまで、ロイドは微塵も信じていなかった。
「間違いなく大聖女、アニーシャ・ダダン様です」
きっぱりと言い切ったロイドに、トムはそわそわしだす。
「お、おい、だとしたら大事じゃねえか。すぐに城に報告に行かないと。いや、待てよ。大聖女様だから報告先は教会になるのか?」
トムの言葉をロイドは鼻で笑った。
「何言ってるんですか。どこにも報告なんてしませんよ」
「は、はぁ!?おまっ、大聖女様なんだろ!?」
「ええ。大聖女様ですが?」
「報告しなきゃまずいだろ!」
「なぜ?大聖女様は自らこの冒険者ギルドにいらしたのです。そして、ここで働きたいとおっしゃった。確固とした大聖女様のご意思です。その尊い自己犠牲の精神を踏みにじるような真似、俺には到底できません」
「お前!大聖女様をギルドの戦力としてこき使う気だな!」
「いけませんか?」
しれっと言い放ったロイドにトムは頭を抱える。確かに冒険者ギルドは年中人手不足。しかも今はモンスターパレードが多発する最盛期。ひとたびモンスターパレードが起これば、どれほどの被害が出るかわからない。
だが、せっかく三百年ぶりに目覚めた大聖女様を自分たちの都合でいいように利用するなど、ギルマスとしての矜持が邪魔をする。
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