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番外編 ウエディングドレスは華やかに
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親子感動の再会から1ヶ月。アレクサンドル王子とサリーナ姫の結婚は急ピッチで進められた。
「いや、ゲイン、さすがに急ぎすぎじゃないか?まずは婚約期間を設けて1年後くらいでも俺は別に……」
「何を言ってるんですかっ!サリーナ様の気が変わらないうちにとっとと周りを固めておかないとっ!やっぱり王妃は嫌だって言われるかもしれませんよっ!」
「それは、そうかもしれないが……サリーナにもう少し考える時間を与えてやりたいんだ」
アレクサンドルはサリーナが突然王妃になると言った気持ちを理解していた。奴隷であったことを引け目に感じていた母上の背中を押し、2人にとって自分が負担にならないようにしたのだろう。
そもそも、嫌われる覚えはあっても、好かれる理由がみつからない。サリーナは好きだと言ってくれたが、正直自信をもてずにいた。
ここは一度関係をリセットし、あらためて誠意を見せたいと思っていたのだ。いずれ、サリーナが本当に心から自分を愛してくれるまで、結婚を急ぐ気持ちはなかった。
◇◇◇
「サリーナ?入るぞ?」
後宮に呼ばれていくと、サリーナが嬉しそうに振り返った。
「アル様!見て!似合いますか?」
サリーナはメイド服姿でくるくると回ってみせる。
(こっ!これはっ……!!!)
今までメイドたちの服装など気にも止めたことがなかったが、サリーナのあまりの愛らしさに倒れそうになる。
「す、すごく、似合ってる」
「えへっ!嬉しいです!アル様、今ウエディングドレスも選んでたんだけど、アル様の意見を聞きたくて。どれがいいと思いますか?」
首を傾げながら悩んでいるサリーナをアレクサンドルは優しい目で見守る。
「どれもきっとよく似合う。欲しかったら全部着ればいい。なんなら何回やってもいい」
「もうっ!アル様ったらっ!」
2人のバカップルぶりを、そばで控えていたメイド達は生暖かい目で見守っていた。
「はっ!違うんだ!サリーナ、結婚式のことなんだが、無理に1ヶ月後じゃなくても、もっと後でもいいんだぞ?」
アレクサンドルが慌てて言うと、サリーナはとたんに悲しそうな目をした。
「アル様?やっぱり私が王妃じゃ……」
「違う!違うんだ!サリーナに王妃になってほしい!でも、早過ぎないか?サリーナとは実際あって間もないし……」
「アル様は私のことがお嫌いですか?」
「俺は心からサリーナを愛している!でも、サリーナは俺のこと……その、そんなに好きじゃないんじゃないか?もちろん!好かれるようにこれから全力で頑張るつもりだっ!だが、こんなに早く結婚して後悔しないか?」
「アル様のこと、大好きですけど?」
「え?え?いや、だって……本当に?」
「はいっ!強くてかっこいいのに、エレン先生やリアナに弱いところとか、可愛くて大好きです!」
「それは、喜んでいいのかな……」
「でも、これからもっともっと好きになると思います!だから、一番近くでアル様を見ていたいんです」
「サリーナ!」
アレクサンドルはサリーナを強く抱きしめた。
「まぁ、アレクサンドル様のいいとこは単純バカなところですよね」
「そうね。コツさえ掴めば扱いやすいと思うわ。バカな子ほど可愛いって言うしね?」
後ろでリアナとエレンが失礼なことを言っているがもはや聞こえないことに決めた。
◇◇◇
1ヶ月後、アレクサンドルとサリーナは大々的に式を上げた。結局サリーナの為に用意されたウエディングドレスは30着にものぼり、そのすべてを買い上げたアレクサンドルの溺愛ぶりに国民はみな生暖かい視線を送っていた。サリーナが日替わりでドレスを着れるようにと結婚式は約1ヶ月も続いた。
結婚式には各王国から次々と王族がかけつけたが、一番の招待客としてキル王国の国王夫妻が招待された。
「お父様!お母様!来てくれて嬉しいです!」
サリーナはアレクサンドルに肩を抱かれ、華やかに微笑んだ。
「サリーナ、綺麗だ……」
「とっても素敵よ……」
「お二人も幸せそうで安心しました」
「ああ、みな、アリーシャを喜んで受け入れてくれたよ」
「サリーナのことも、きちんと話したの。サリーナは私達2人のれっきとした娘だって!皆、喜んでくれたわ」
「お母様……」
「私達の愛する娘、幸せにおなり」
「はい!私、お二人に負けないくらい幸せになります。」
嬉しそうに微笑むサリーナを2人は優しくだきしめた。
キル王国夫妻の報告を受け、サリーナがキル王国の姫であることが発表されたが、国民からは暖かく受け入れられた。むしろ悪名高いダルメールの姫というより、妖精国と言われる美男美女の産地として名高いキル王国の姫であったことに、皆大いに納得した。
◇◇◇
「アル様のバカッ!だいっきらい!」
「さ、サリーナ……」
「どうして昨日私のところに来てくれなかったんですかっ!ずっと待ってたのに!」
「いや、それは、その、さすがにまだ……」
「アル様の意気地なしっ!」
「ぐっ、う、わかった、今日は絶対にいくから……」
「絶対に絶対ですよっ?」
「わかった、約束だっ!」
こうしてアレクサンドルとサリーナの添い寝するだけの夜がはじまった。
「アル様、お休みなさい」
「ああ、お休み、サリーナ……」
アレクサンドルは今日も愛しい王妃の可愛い寝顔を見つめながら、眠れない夜が続くのだった。
◇◇◇
「あ、サリーナ様に夜のこととかお話してなかったわ?」
「いや、初日に一晩中って、サリーナ様が仰ってましたよ?」
「本当に?」
「うーん?まぁ、面白いからしばらくほっときましょうか」
「そうね。あとは若い2人に任せましょう」
おしまい
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