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第1章 はじまりの準備
6 ティアラの魔法
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アデルはティアラを抱き締めると、大きな手で優しく頭を撫でた。
獣人の子供たちは、突然大声で泣き出したティアラをみてオロオロとしながらも、ひとり、またひとりとティアラのそばに集まってくる。
「お姉ちゃん、泣かないで」と一生懸命背中をさすってくれる子。
「大丈夫だよ、僕たちいまとても優しくして貰ってるよ」
安心させるように手を取り笑いかけてくれる子。
―――この子たちの力になりたい―――
それは心の底から溢れる願い。
転生してから初めての、魂が震えるほどの、強い想い。
その想いに答えるように、小さな体に秘めた大きな器に、魔力が少しずつ満ちていくのを感じていた。
―――いまならきっと、使えるはず―――
(心の傷は魔法では癒せないけれど。少しでもつらい思い出が消えるように……)
触れた指先から、握った手のひらから、キラキラと輝いて溢れ出す虹色の魔力。
「わぁ~!凄い!何これ?空気がキラキラして輝いてるみたい。キレイ……」
子供たちが歓声をあげる。
部屋いっぱいに満ちていくティアラの魔力にアデル達は言葉を失った。
「これは……もしかして、ティアラ様の回復魔法なのか?」
「まさかこの部屋にいるもの全員に?ありえるのか?こんなに広範囲の回復魔法、聞いたことがないが」
部屋にいるものみんなが、体中を駆け巡る優しい魔力の渦を、驚きとともに感じていた。
「え。みてほら、僕の傷が消えたよ!」
「私も!全然痛くない!」
「なんだか体がポカポカする……」
「うん、あったかい……」
小さな子供たちはウトウトと目をこすりだした。
(良かった……回復魔法、ちゃんと使えたぁー……)
呆然とティアラを見つめるアデル達に気がつかないまま、ほっとしたと同時にティアラは気を失ってしまうのだった。
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