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第3章 おてんば姫の冒険録
29 王の決断
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♢♢♢
「そ、そんなっ……」
涙目でうるうるさせている獣人達をみて、アデイラは決断する。
「よしっ!じゃあ皆私についてらっしゃい!今度は皆でアリシア王国に行くのよっ!」
アデイラの決断に一瞬息を呑んだティアラだったが、
「……はぁ。まあ、ほっとけねえよな」
とのアデルの言葉に喜びを爆発させた。
「ほ、本当に?皆をアリシア王国に連れて帰ってもいいの?」
森が再生するには、まだ長い年月が必要だ。国が戦争でアリステアに奪われたとなれば、この先も平穏な生活を送ることは難しいだろう。
ならば、戦争難民として受け入れ、アリシア国民として暮らす方が獣人達にとって幸せなはずだ。だが、
「お、おら達この森を出るだか」
「べ、別の国に行くってったって、一体どうやって……」
「外国なんて行ったことねぇだ……」
口々に不安を口にする獣人達。
その様子を見て、アデイラは大きく胸を叩いた。
「全て私に任せなさいっ!今までこの森を守ってきてくれた貴方たちに報いるわ。そして……やがてこの森が全て甦ったとき、また、帰りたいものは帰ってくるといいわ。私たちは誇り高き森の民。いつだって森は、私たちの故郷なんだから」
アデイラの言葉に聞き入る獣人達。
「王よ。我らの王よ」
「あなたに!あなたに従います!王よ!」
「おら達を連れてってけれー」
アデイラを褒め称えながら口々に叫ぶ獣人達を見て、アデイラはニッカリと笑ってみせる。その堂々たる風貌。まさに、誇り高き森の王の姿がそこにあった。
♢♢♢
こうして獣人達は、アデイラと一緒にアリシア王国に向かうことになった。森を抜け、海岸に到着したティアラ達一行。
「ところで……姉さんはどうやってこの国に来たんだ?飛竜……じゃないよなぁ」
たっぷりの餌と水を与えられてご機嫌の飛竜たちだが、ティアラたちが乗ってきたものしかいない。
「もちろん船できたわよ?」
「その船はどこにあるんだ?」
「これよっ!」
アデイラがエイっ!とマジックバッグから取り出したのは、立派な商船だった。
「こ、これはもしや……」
「そう。今回誘拐に来た奴隷商人から押収した船よ。中身の商人たちはこの国の地下牢獄に叩き返してやったけど、水や食料もたっぷり積んであるわ!」
「はは……こりゃいいな」
「でしょう?」
勝ち誇った顔をするアデイラに笑いの止まらないアデル。
「よし。じゃあコイツらのことは頼んだっ!カミールには、ティアラから連絡を入れて貰うが、反対はしないだろう。俺たちはまだ旅の途中だが、本当に姉さんだけで大丈夫か?」
「私を誰だと思ってるの?この国にだって一人で来たのよ。それに、今は心強い仲間たちもいるしね」
「おら頑張るだぁ!」
「海賊にも海のモンスターにも負けねぇだぁ!」
口々に勇ましく叫ぶ子ども達をティアラは一人ずつ優しく撫でて行く。
「アデイラお姉ちゃんをよろしくね。アリシア王国で待っててね」
「それじゃあ私たちは行くわ!後は頼んだわよ!助けが必要な同胞を見付けたら全員アリシア王国に送ってちょうだい!」
「へいへい。気を付けろよ」
「あんたもね。ティアラ!みんな!しっかり頑張んなさいっ!」
遠ざかっていく船を見つめながら、アデイラと獣人たちに大きく手を振るティアラ。
「アデイラお姉ちゃん!ありがとうー!トム!みんな!今度はアリシア王国で逢おうね!」
こうしてアデイラと獣人達は、嵐のように去っていったのだった。
「そ、そんなっ……」
涙目でうるうるさせている獣人達をみて、アデイラは決断する。
「よしっ!じゃあ皆私についてらっしゃい!今度は皆でアリシア王国に行くのよっ!」
アデイラの決断に一瞬息を呑んだティアラだったが、
「……はぁ。まあ、ほっとけねえよな」
とのアデルの言葉に喜びを爆発させた。
「ほ、本当に?皆をアリシア王国に連れて帰ってもいいの?」
森が再生するには、まだ長い年月が必要だ。国が戦争でアリステアに奪われたとなれば、この先も平穏な生活を送ることは難しいだろう。
ならば、戦争難民として受け入れ、アリシア国民として暮らす方が獣人達にとって幸せなはずだ。だが、
「お、おら達この森を出るだか」
「べ、別の国に行くってったって、一体どうやって……」
「外国なんて行ったことねぇだ……」
口々に不安を口にする獣人達。
その様子を見て、アデイラは大きく胸を叩いた。
「全て私に任せなさいっ!今までこの森を守ってきてくれた貴方たちに報いるわ。そして……やがてこの森が全て甦ったとき、また、帰りたいものは帰ってくるといいわ。私たちは誇り高き森の民。いつだって森は、私たちの故郷なんだから」
アデイラの言葉に聞き入る獣人達。
「王よ。我らの王よ」
「あなたに!あなたに従います!王よ!」
「おら達を連れてってけれー」
アデイラを褒め称えながら口々に叫ぶ獣人達を見て、アデイラはニッカリと笑ってみせる。その堂々たる風貌。まさに、誇り高き森の王の姿がそこにあった。
♢♢♢
こうして獣人達は、アデイラと一緒にアリシア王国に向かうことになった。森を抜け、海岸に到着したティアラ達一行。
「ところで……姉さんはどうやってこの国に来たんだ?飛竜……じゃないよなぁ」
たっぷりの餌と水を与えられてご機嫌の飛竜たちだが、ティアラたちが乗ってきたものしかいない。
「もちろん船できたわよ?」
「その船はどこにあるんだ?」
「これよっ!」
アデイラがエイっ!とマジックバッグから取り出したのは、立派な商船だった。
「こ、これはもしや……」
「そう。今回誘拐に来た奴隷商人から押収した船よ。中身の商人たちはこの国の地下牢獄に叩き返してやったけど、水や食料もたっぷり積んであるわ!」
「はは……こりゃいいな」
「でしょう?」
勝ち誇った顔をするアデイラに笑いの止まらないアデル。
「よし。じゃあコイツらのことは頼んだっ!カミールには、ティアラから連絡を入れて貰うが、反対はしないだろう。俺たちはまだ旅の途中だが、本当に姉さんだけで大丈夫か?」
「私を誰だと思ってるの?この国にだって一人で来たのよ。それに、今は心強い仲間たちもいるしね」
「おら頑張るだぁ!」
「海賊にも海のモンスターにも負けねぇだぁ!」
口々に勇ましく叫ぶ子ども達をティアラは一人ずつ優しく撫でて行く。
「アデイラお姉ちゃんをよろしくね。アリシア王国で待っててね」
「それじゃあ私たちは行くわ!後は頼んだわよ!助けが必要な同胞を見付けたら全員アリシア王国に送ってちょうだい!」
「へいへい。気を付けろよ」
「あんたもね。ティアラ!みんな!しっかり頑張んなさいっ!」
遠ざかっていく船を見つめながら、アデイラと獣人たちに大きく手を振るティアラ。
「アデイラお姉ちゃん!ありがとうー!トム!みんな!今度はアリシア王国で逢おうね!」
こうしてアデイラと獣人達は、嵐のように去っていったのだった。
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