虹色の流れ星

藤沢なお

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白猫のねがいごと

☆4

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シロミは今日のために、
三週間もかけて準備をした。

星のカケラをつくるため、
素材になる天然石を探しだし、
削ってみがいてととのえて、
ピカピカのかがやきにする。

黄色にオレンジ、赤色と緑、青と水色。
六個のカケラをつくるのに、二週間。

そして虹色のカケラをつくるのに、
残りの一週間を費やした。

虹色の流れ星のカケラを見つけると
ひとつだけ願いがかなうという。

初めて流星群を見た去年の今頃は、
夢中になってカケラを探し回った。

だけど虹色どころか、
ほかの色のカケラさえ
見つけることができなかった。

がっかりして部屋に戻ったシロミは、
くちびるをとがらせると、
どうしたら星のカケラを
見つけることができるのか、
と母親にたずねた。

すると母は、うふふと笑い、
ヒミツのないしょ話をしてくれた。

まだ子どもだったときにね。
ひとつもカケラを
見つけられないでいることが
あんまりにも悔しかったから、
虹色の流れ星のカケラを
自分でつくってしまったの。

シロミは目をまあるく見開いた。

それでどうしたの?

母はシロミの頭を優しくなでると、
いたずらっ子みたいな顔つきで
続きを話した。

毎年、森にこっそりカケラを置いて、
拾った子どものお願い事を
叶えてあげたのよ。

たくさんの絵本を読んでみたい。
お菓子をいっぱい食べてみたい。
ほうきに乗り空を飛んでみたい。

シロミの母親は魔法使いだ。

虹色のカケラを見つけた子どもの願いを
魔法の力で叶えてあげたという。

母はくちびるに指を一本立てると、
ないしょのお話よと言って、
シロミにほほえんだ。

話を聞いたシロミは胸が踊った。

シロミだって魔法使い……の見習いだ。

もしかしたら自分も同じようなことが
出来るかもしれない。
次の流星群のときには
試しにやってみようと心に誓った。

虹色のカケラを彩る七色は
赤、オレンジ、黄色、緑、
青、水色、紫色。

そのうち六色は、六個のカケラを
つくるときに出た破片を使った。

残りの紫色は、シロミが持っている、
アメジストのブローチを
少しだけ削って使うことにした。

ここから先の工程は、
集中力と想像力を駆使して
ゆっくり丁寧に時間をかけて行う。

透明なガラスの小瓶をテーブルに置き、
シロミは魔法の力を発動させた。

瓶が高温に熱せられ、
ぐにゃりと溶けるイメージを浮かべる。

その中に七つのカケラを閉じ込めて、
虹に見えるように形を伸ばす。

ここまでは上出来。

だけどこのあとは何度やっても、
うまくいかなかった。

シロミとしては、
つるんとしたまあるい形に整えたいのに
どうにもうまくいかない。

何度念じてもガラスはいびつな形で、
動きを止めてしまう。

金平糖のようにツンツン角があって、
でこぼこしているのだ。

うんうんうなりながら、
五日ほど苦戦していると、
その日、春雷とともに夕立がきた。

部屋の窓に当たる雨粒を
目にした瞬間、シロミは、

これだ!

とひらめいた。

集中力を高めてガラスを宙に
浮かびあがらせると、魔法を注ぎ込み、
心に描く形になるよう強く念じた。

そうして出来上がったのが、
虹が閉じ込められたように見える、
雨のしずくの形をしたガラス細工。
アクセサリーのチャームのようだ。

シロミの虹色の流れ星のカケラが
ようやく仕上がった。

あとはこれを見つけた、
子どもの願いをかなえるだけ。

シロミはまるで、
神様にでもなったかのように、
自分に酔いしれた。
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