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ハシビロコウのねがいごと
*7
しおりを挟むコウタは息を吸い込むと
ふーっとロウソクの火を吹き消した。
「お誕生日おめでとう!!」
お母さんもお父さんも両翼を合わせて
パチパチと拍手しながら笑っている。
そうだった今日はぼくの誕生日。
ぼくは今日で七才になったんだ。
「このケーキはね、
お父さんが作ったのよ」
「えっ、お父さんが?」
ケーキには上にも側面にも
真っ白な生クリームが
きれいに塗られている。
お父さんは料理が大の苦手だ。
これまでキッチンに立つ姿なんて
見たこともないのに。
「いやいや、ほとんどお母さんが
作ったようなものさ。
ずっとそばにいて作り方を
教えてくれたんだ」
お父さんは照れたように
頭をなでながら言う。
「いいえ。私は見ていただけ。
このケーキはお父さんから
コウタくんへのプレゼントよ。
ほら、見て。びっくりするわよ」
お母さんはそう言うと、
ケーキを半分に切り分けた。
すると……。
「うわぁーきれーい!」
ケーキの切り口を見たコウタは
目を輝かせた。
スポンジケーキの生地と生地の間には
きれいな色のジャムやゼリーが
はさまれている。
一、二、三、四、五、六、七。
全部で七種類。それも七つの虹の色!
丁寧に一枚一枚、生地にジャムを塗り、
ゼリーを重ねて作ったのだろう。
几帳面なお父さんらしいや。
コウタの笑顔を見ると
お父さんはうれしそうに
ケーキの説明を始めた。
「苺にオレンジ、レモン、
キウイフルーツのジャム、
水色ソーダにブルーハワイのゼリー、
そして最後にブルーベリージャムを
はさんだんだよ」
それからケーキを皿に
取り分けてくれたお母さんに、
「ぼくからも、プレゼントがあるんだ」
コウタはドリームキャッチャーを手渡した。
「まあ素敵!」
コウタからの思いがけない贈り物に、
お母さんは驚きと喜びの声をあげた。
そこでコウタは今日一日の出来事を伝える。
虹色の流れ星のカケラを
探しに森へ行ったこと。
小鳥のパティーに話したことがきっかけで、
いろんな鳥たちから
たくさんの羽をもらったこと。
トラさんに教わって、
このドリームキャッチャーを作ったこと。
「ありがとね、コウタくん」
そう言って、
お母さんはぼくを抱き寄せると、
優しく頭をなでてくれた。
なんだかくすぐったいや。
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