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しおりを挟む「はぁ…っ、はっ、……んっ…」
「はぁ…、……あ、婚姻届書いてない」
御蔭さんはふと思い出したように言ってから、俺の中からずるり、と少し柔らかくなった肉棒を引き抜く。
彼はそのまま身を乗り出して手を伸ばすと、布団の縁まで自身の机を乱雑に手繰り寄せた。移動の際にぼろぼろと物が落ちていっていたが、御蔭さんが気にした様子はない。
俺は布団の上で放心したままそれを眺めていたが、「ほらこっち来て」と腕を引かれて、されるがまま這いずる。といっても、生まれたての子鹿のように足ががくがくして進めなかったため、ほぼ御蔭さんに引きずられていたようなものだが。
そして俺は、胡坐をかいた御蔭さんの上に座らされていた。
まるで椅子扱いだ。御当主様なのにいいんだろうか……。
居心地を悪くしていると、細い筆を持たされる。
机上には、婚姻届。
……記名しろと、そういうことらしい。
しばしその場で固まっていると、背後の御蔭さんから腰を上げるように言われ、その通りにした。
ほぐれた穴に当てられたのは、既に復活してる様子の熱の塊だ。
「ぁ、の、」
「ん、座って?」
ひくひくと収縮する入口に、でっぷりした亀頭の先端がちゅぷ…、と顔を覗かせる。
このまま腰を落とせば、確実にこの怒張を飲み込む羽目になるのだが……それが御蔭さんの指示だった。
震えながら振り返り、目を合わせる。その有無を言わせないような笑顔に否定を返せるわけもなく、俺は覚悟を決めて目を瞑った。
「……ッ、ん゙……っ、ふぅゔ…っ」
ぬ゛、ぶぶぶ……
腰に添えられた御蔭さんの手の誘導もあり、俺はひどくゆっくりと怒張を飲み込んでいく。
最後、御蔭さんの足の付け根に尻がぶつかり、ぐちゅん…っ、と先程中に注がれた精液がさらに奥へと追いやられた音がした。
あ、ふかい……っ。さっきは届いてなかったとこまで入ってる……!
ぐにぃっ、と最奥の行き止まりをへこませるような亀頭の圧に、俺は少しでも自重を逃がそうと上半身を机に伏せ、火花の散る据わった目でふーっ、ふーっと息を荒げる。
隙間なくハマりこんだ肉棒の、血管の膨らみも分かってしまうほどの密着度に、電流が走るような痺れが腰から背筋を何度も何度も往復していた。
これ、だめだ……、抜きたい……っ。で、でも、腰が抜けて…っ、足も、びくびく、痙攣……っ、ちから、はいらない……。
御蔭さんは快感で震える俺の上半身を持ち上げ、自身の胴にもたれさせる。そのまま彼の腕の中に閉じ込められるよう抱きしめられて、はぁっ、はぁっ、と二人だけの狭い空間でしばし互いの快楽を共有し合った。
いつの間にか俺は筆を離していたようで、御蔭さんは再びそれを持たせてくる。
「書いて」
端的にそれだけを言われて、快楽で朦朧とした思考の中でもやるべきことがはっきりわかった。
俺は震える手で何とか紙の上に筆先を這わせる。ヘロヘロのミミズみたいな、かろうじて文字とわかる程度のそれだったが、字は字である。
遅々と形作られるそれに、御蔭さんは手持ち無沙汰にでもなったのか、手で俺の身体を撫でてきた。
太ももを指先で優しくなぞられるのを皮切りに、腹も、首も、じっくり指の腹でくすぐるように、爪先で引っ掻くように、手の平で温めるように、色々な触り方で翻弄してくる。
腹の奥で燻った疼きを掻き立てるようなそれに、つい動きを意識してしまって手が止まると、それを咎めるみたいに耳を甘く齧られた。
俺は咄嗟に「ごめんなさい…っ」と謝って、身体を這いまわる手と背後からの口付けに耐えながら、再び必死に筆を動かす。
俺は指示されたから婚姻届けに記名をしているだけだし、邪魔してきているのも御蔭さんで、謝る必要はないはずなのに、自分が名前を書くのが遅いのが悪いんだと罪悪感を抱かされるのは何故なんだろう……。
するとその時、御蔭さんの指が偶然胸の尖りに引っかかった。
びくんっ!と跳ねた身体は誤魔化しようがない。
そこは神経が集中しているかのように敏感になっていて、確かな俺の性感帯だった。そして、御蔭さんがそんな楽しいおもちゃを見逃すはずもない。
瞬く間に両手はそこに集まり、そして、俺の乳首を弄りだした。
最初は複数の指で、胸全体を大きく撫でるようにしながら優しくひっかける。
ぷく…、と硬く膨らみ出したら、二本指で摘み上げて、じっくりくにくにと擦り合わせるようにこねた。
たまらずビクついた背中が距離を取ろうと丸まるが、当然逃がしてなどくれない。
しばらくそうしてすり潰されて、充血して赤みを増し、さらに敏感に育ったそこを、次は爪の先で小刻みにカリカリ引っ掻いて四方に弾く。
「んっ…、あぁ…っ!」
思わず声が出て、下腹を疼かせる刺激にきゅう…っ、と中が怒張に媚びるように締め付けると、御蔭さんが気持ちよさそうに息を詰める音がした。
その吐息に、元々ぼうっとしていた頭がより熱っぽく溶けて、俺は御蔭さんの腕の中でびくびくと快感に踊らされるだけの存在になる。
もうとっくに手は動いていなかった。
その時、ぎゅ、と乳首に爪が立てられる。
皮膚が傷つくほどの威力はないが、それなりの痛みを感じる、きっとこちらを咎めたのだろうその刺激。
しかし今の俺には、それは大きな快楽となってゾクゾク全身を突き抜けた。
ガクンッと大きく身体が揺れて、足が机にぶつかる。
筆を掴んでいた手にも必要以上の力が入って、それが紙に無造作な線を引いた。
「あ…っ、」
快感の余韻と同時、粗相をしてしまった事実も自覚して、胸が不安でざわつく。
俺の肩越しに、御蔭さんがその用紙を覗きこんだ。
「ん?間違えた?」
「ぁ、は、はい」
叱責を恐れる気持ちは勿論あった。しかしそれと同時、「これで記名できなくなったってことは、結婚もなし!?やった!」というこの場をやり過ごせた安堵も確かに胸をよぎっていた。
俺は快楽に浸った身体のまま、御蔭さんの回答を待って、
「予備いっぱいあるから、何枚でも書き損じていいよ」
「──、」
え?
予想とは違う返しに、一瞬理解が及ばなかった。
しかしその直後、机の端に積まれていたらしい、俺の名前以外が記入済みの婚姻届をバサッと目の前に出されて、ようやくその言葉の意味を悟る。
ああ……だめだこれ。書き終わるまで、終わらないんだ。
心情が顔に出てしまっていたのか、俺と視線を合わせた御蔭さんは、スッとその目を冷たく細めて、
「何その嫌そうな顔」
「ゃ、ちが……っ、──あ゛っ!?」
ずんっっ!
思いきり腰を突き上げられた。
腹を突き破りそうな勢いで、一気に敏感なしこりを抉られ、油断しきっていたそこはたまらない刺激をもたらす。
脳を殴られたような強烈な快感に、ぎくんっ!と喉が激しく仰け反った。
「今更書きませんとかないから。ほらっ、早く書いて…っ」
「あっ!?あんっ!あ゛ぁッ!……っ、かっ、かけっな、いぃい゙~~…ッ」
じゅぽっ、じゅぽっ、じゅぽっ!ずちゅずちゅずちゅずちゅっ!
それは不出来な使用人を叱るための、容赦のない躾ピストンだった。
ごちゅごちゅと乱暴に抜き差しされるだけのそれでも、俺は簡単にイッてしまう。
ガタガタッ、と机に足がぶつかるのも構わず、吐精の瞬間、激しい痙攣で足を震わせた。
びく…っ、びくん…っ、と絶頂に引き攣る身体はすぐさま掻き抱かれて、休む間もなく突き上げは続けられる。
もうだめ、限界、と頭を振り乱して涙声で懇願しても、御蔭さんには届かなかった。
逞しい怒張に縋り付く肉壁を振り払うように強引に腰を穿たれて、ぐちゅっぐちゅっ、と前に注がれた精液を掻き回すように肉棒が暴れる。
俺は御蔭さんに好き勝手に揺さぶられる間、ずっと絶頂を重ね掛けされていて、過ぎた快感に人間の言葉を発せず唸ることしか出来なかった。
ぐう…っ、とより一層奥に腰を打ちつけられて、みっちりハマり込んだそこで御蔭さんの欲望が弾ける。
ぎゅう、と腕の拘束が強まる中で、どびゅーーっ!びゅ!びゅるる…っ!とまたも大量の精液が注がれる刺激に、俺はまた絶頂で足をガクつかせていた。
しばらくはぁっ、はぁっ、と二人で呼吸を整える。そしてそれが落ち着いた頃、俺の身体の拘束を解いた御蔭さんは、くたりと力なく背をもたれる俺の手をとった。
「仕方ないなぁ優吾くんは」
激しい責めに耐えきれず落としてしまっていた筆をまた握らされて、さらにその上から御蔭さんの手で握り込まれる。
そして、力の入っていない俺の手を御蔭さんが操作するようにして、用紙に筆を滑らせた。
「ぁっ、はぁっ、…っ、はぁ、」
中にはまだ肉棒を埋められたまま。
連続の絶頂は落ち着いたものの、気持ちがいいのは変わらない。
俺は、ずっぷりとハマり込んだ男根を無意識にぎゅ、ぎゅち…、と締め付けて、いやらしく射精を促す動きをしてしまっていた。
互いの顔がすぐ近くにあって、興奮に乱れた息遣いは筒抜けだ。
握り込まれた手は熱く汗ばんで、筆が滑ってまた用紙を無駄にしてしまわないか心配だった。
自分のものとは違う見慣れない字が重なった手元から生み出されていくのを、俺はとろけた目で追う。
御蔭さん、字上手いな……。
俺が書いたミミズとは大違いの、明瞭で美しい文字がそこにはあった。
浅葱優吾
その最後の漢字が形作られようとしているところで、ふと、わずかに残っていた頭の冷静な部分が働く。
本当にいいのか?
これが書き終われば、俺は御蔭さんと結婚することになるんだぞ。
本当にこんな勢い任せでしちゃっていいものなのか?結婚って。
そもそも、御蔭さんが俺を好きっていうのも、なんかこう、吊り橋効果みたいな、その感情自体が勘違いだったって線も充分ありえると思うし…!
土壇場になってからいくつも溢れ出してくる不安に、俺は後ろを振り向く。
「ん?」
甘い顔で微笑む御蔭さんが、ゆるく首を傾げた。
──もし、俺が、本当は御蔭さんの事、好きじゃないって言ったら……?
言おうと思っていたその言葉は、喉から外には出てこなかった。
言えない。
やっぱり俺は、折角生きたいと思い直してくれた御蔭さんの表情を、もう二度と曇らせたくなかった。
俺は御蔭さんの胸元の服を控えめに引いて、近づいた唇に口付けをする。
一瞬目を丸くした御蔭さんは、そのあと嬉しそうに破顔した。
その笑顔を、愛おしいと思った。
それがたとえ同情や憐憫でも、不健全なそれかもしれなくても、確かに俺は御蔭さんの、俺だけに向けられる喜びの表情が好きだった。
俺は再び前を向くと、止まっていた手を自分で動かし、最後の線を引く。
それを見ていた御蔭さんは、俺が名前を書き終わった瞬間、我慢出来ないというふうに筆を投げ、唇を重ねた。
一旦顔を離して、もう一度深い口付けをされながら、そのまま布団へと押し倒される。
御蔭さんの肉棒が、もう俺の中で大きく張り詰めて、その雄々しい存在を主張してきていたのは分かっていた。
深く絡んで繋がった手が布団に貼り付けられて、俺たちは互いしか見えない距離でばちゅ、ばちゅっ、と夢中になって性器をぶつけ合う。
まるで、今まで触れられなかった互いの形を確かめ、その存在を身体に刻み込むかのような。そんな、生の喜びを実感する行為だった。
後日。
御蔭さんの部屋を掃除している途中、保管されたままの婚姻届を見つけた俺は、「あれ……もしかして御蔭さん、婚姻届は役所に提出しないと効力を発しないことを知らない……?」と一抹の希望に安堵したものの、そのことを御蔭さんに黙っていたことがバレて、盛大なお仕置きされるのは時間の問題であった……。
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初めまして
読みやすくてシチュとかも超好みです
超絶応援してます!
初めまして!読んでくださってありがとうございます…!そのお言葉が力です!🥰🥰