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2章 冒険者としての生活
収納成功
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楽しい理科の実験が終わって片付けをする。
あ、アルコールランプとゴムのチューブた栓がアイテムボックスに収納出来ないわ……。
「んー、水の中にゴミ以外にも何か溶けているのはわかったけど、いきなりアイテムボックスに川の水を入れる時は湯気を取ってるわけないじゃないよね?」
アリーセが疑問を口にした。
分からないところが分からない、という状態から脱して、自分で何が分からないのかを理解出来たようだ。
「いい質問だ、そうだな、篩いは分かるか?」
「ふるい? 籾殻と小麦粉を分けるやつでしょ?」
あってる?と首を回して聞いてくる。
そこはかしげるとこじゃないのか?
「あってるぞ、それの籾殻を不純物、小麦粉を水って考えてみてくれ」
ろ過についても説明をする。
アイテムボックスに水だけを収納するのに必要なのは、目には見えないが川の水にはいろんな物が含まれていると理解が出来ていて、水のみをより分けて指定することだ。
そうすれば余計なものを含まずに、アイテムボックスに水だけを収納出来るはずだ。
大切なのは目の前にあるものと指定せず、水だけという状態を理解して指定することである。
「えーと、溶けていても篩いで分けられるの?」
「溶けて見えなくても無くなったわけじゃないのはさっきの実験でわかったろ? 水はその溶けているものよりも細かい粒の集まりだから……」
「凄く目の細かい篩いがあれば良いって事ね?」
「その通り! まあ、目の細かい篩いに水を通して濾すイメージだな」
難しい話を簡単にして説明をするというのは案外難しい。
アリーセには分かってもらえるだろうか?
「やってみるわ!」
アリーセが、また川の方に向かってあーでもないこーでもないと始めた。
一発成功とはいかないようだ。
「あー!今少しだけど水が入った!」
アリーセはアイテムボックスに川の水を収納することに、とうとう成功したようだ。
「おめでとうアリーセ、よく頑張ったな」
アリーセは何度か練習を重ねて、俺のようにガボガボと収納することは出来ないようだが、最終的に水道の蛇口程度の速度で収納できるようになった。
すごく嬉しそうな顔で延々と水を収納している。
「イオリ、ありが……」
「余談だが、空気も取り込めるぞ」
「え?」
水が収納できてそんなに嬉しいならと、空気も収納可能なことを教えると、川の方を向いていたアリーセの首がギギギと音を立てそうな雰囲気でこちらを向く、160度くらいか。
「べ、別に空気は要らないから、せ、説明は要らないわ」
「そうか? 溺れたり、洞窟の中で変なガスが発生してるとことか、井戸の底とか冒険者なら必要な気がするんだが……」
「そこは、ほら、あれよ、えーと。 そうっ! 役割分担ってやつよ。 私のアイテムボックスはそんなにいっぱいものが入らないから!」
「そうか、まぁ確かにそうだな。 容量がないなら仕方がないか……水ほど使用頻度が高いわけでも無いし」
チートツールでアリーセのアイテムボックスの上限を増やすという手もあるが、それでなにか死にそうな弊害が出ると困るしな……。
「そ、それじゃあ、ちょっと疲れたし私は先に帰るわ!」
「ん? そうか、俺はもうちょっとここでいろいろやってくよ」
「わかったわ、夕飯までには帰ってくるのよ?」
「わかったよかーちゃん」
「だれがかーちゃんよ!?」
アリーセはプンプンと怒って帰っていってしまった。
あ、疲れてるならポーションでも渡しておけばよかったかな?
さて、横道にそれてしまったが、ここへは魔導銃の試射に来たのだ。
撃たないで帰るという選択肢はない。
「まずは、普通の弾丸っぽいやつから撃ってみるか。 あ使い方聞いてくるの忘れてたな……ま、先込め式の銃とそう変わらないか」
先込め式の銃、所謂火縄銃の方ではあるが使い方なら何度かネットで見ている。
黒色火薬を銃口から入れ棒で突き固め、球状の鉛の弾をまた棒で突っ込んでいく手順だった筈だ。
銃口から1回分ずつに紙で包まれた火薬代わりのクズ魔石を入れる、銃口に並行して刺さっている付属の棒でクズ魔石を突き固め、続いて金属の弾を装填する。
後方についている突起がおそらく撃鉄にあたるものだろう、まっすぐに後ろに引くようになっていたので、ぐっと引くと数センチ引いた所でカチリと止まった。
「ほかに動く所ないし、多分これで撃てるよな?」
10mくらいの所に飲んだ後のポーションの瓶など、ガラクタを的として幾つか置いた。
照準器などは無いようなので勘で狙うしか無いが、慎重に両手で構えて狙いをつける。
引き金を引くと半秒ほどのタイムラグのあと、破裂音とともに銃口から火が吹き出した。
狙った的から1m以上離れた地面に土煙が上がる。
「うわ、こりゃあたらないわ」
多少ずれるとかそういったレベルではなく、銃身が向いていないところに着弾している。
もしかしたら銃身自体が曲がっている可能性もあるな。
「何回か撃ってみよう」
クズ魔石と弾丸をチートツールで増やして、パかすか撃ちまくってみたが、10m程度の距離で数十センチから1mくらいはあっちこっちに着弾がズレるようだ。
撃っていて楽しかったが、確かにこれ程までに精度が悪いと、まともには使えそうにない。
「じゃあ、本命っぽい方を試してみるか」
魔石の弾を確認して見ると、ビー玉のように加工がされていて、こちらにはクズ魔石がセットになっていないようだ。
少し考えたが、クズ魔石が火薬代わりになっているなら魔石そのものでも爆発なり何なりの反応をするようになっているはずなので、魔石だけを装填して撃ってみる事にした。
「まずは赤い魔石弾、おそらく火属性」
魔導銃を、もし大きな反動があっても大丈夫なようにしっかりと両手で握り、先程一度も撃ち抜かれることの無かった的に向け引き金を引いた。
ゴゥという音と共に、さほどのタイムラグも無しにソフトボールくらいの火の球が発射された。
こちらは期待がもてるかと思っていた時代が俺にもありました。
目で追えるほどに蛇行しながら飛んでいった火の球は徐々に減速していき、到達する前に完全に停止して燃え尽きてしまった。
「空気抵抗の影響をモロに受けてたな……」
魔導銃は今のところ、推定有効射程は2mといったところだな。
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明日は更新をお休みして 誤字脱字の修正行います。
あ、アルコールランプとゴムのチューブた栓がアイテムボックスに収納出来ないわ……。
「んー、水の中にゴミ以外にも何か溶けているのはわかったけど、いきなりアイテムボックスに川の水を入れる時は湯気を取ってるわけないじゃないよね?」
アリーセが疑問を口にした。
分からないところが分からない、という状態から脱して、自分で何が分からないのかを理解出来たようだ。
「いい質問だ、そうだな、篩いは分かるか?」
「ふるい? 籾殻と小麦粉を分けるやつでしょ?」
あってる?と首を回して聞いてくる。
そこはかしげるとこじゃないのか?
「あってるぞ、それの籾殻を不純物、小麦粉を水って考えてみてくれ」
ろ過についても説明をする。
アイテムボックスに水だけを収納するのに必要なのは、目には見えないが川の水にはいろんな物が含まれていると理解が出来ていて、水のみをより分けて指定することだ。
そうすれば余計なものを含まずに、アイテムボックスに水だけを収納出来るはずだ。
大切なのは目の前にあるものと指定せず、水だけという状態を理解して指定することである。
「えーと、溶けていても篩いで分けられるの?」
「溶けて見えなくても無くなったわけじゃないのはさっきの実験でわかったろ? 水はその溶けているものよりも細かい粒の集まりだから……」
「凄く目の細かい篩いがあれば良いって事ね?」
「その通り! まあ、目の細かい篩いに水を通して濾すイメージだな」
難しい話を簡単にして説明をするというのは案外難しい。
アリーセには分かってもらえるだろうか?
「やってみるわ!」
アリーセが、また川の方に向かってあーでもないこーでもないと始めた。
一発成功とはいかないようだ。
「あー!今少しだけど水が入った!」
アリーセはアイテムボックスに川の水を収納することに、とうとう成功したようだ。
「おめでとうアリーセ、よく頑張ったな」
アリーセは何度か練習を重ねて、俺のようにガボガボと収納することは出来ないようだが、最終的に水道の蛇口程度の速度で収納できるようになった。
すごく嬉しそうな顔で延々と水を収納している。
「イオリ、ありが……」
「余談だが、空気も取り込めるぞ」
「え?」
水が収納できてそんなに嬉しいならと、空気も収納可能なことを教えると、川の方を向いていたアリーセの首がギギギと音を立てそうな雰囲気でこちらを向く、160度くらいか。
「べ、別に空気は要らないから、せ、説明は要らないわ」
「そうか? 溺れたり、洞窟の中で変なガスが発生してるとことか、井戸の底とか冒険者なら必要な気がするんだが……」
「そこは、ほら、あれよ、えーと。 そうっ! 役割分担ってやつよ。 私のアイテムボックスはそんなにいっぱいものが入らないから!」
「そうか、まぁ確かにそうだな。 容量がないなら仕方がないか……水ほど使用頻度が高いわけでも無いし」
チートツールでアリーセのアイテムボックスの上限を増やすという手もあるが、それでなにか死にそうな弊害が出ると困るしな……。
「そ、それじゃあ、ちょっと疲れたし私は先に帰るわ!」
「ん? そうか、俺はもうちょっとここでいろいろやってくよ」
「わかったわ、夕飯までには帰ってくるのよ?」
「わかったよかーちゃん」
「だれがかーちゃんよ!?」
アリーセはプンプンと怒って帰っていってしまった。
あ、疲れてるならポーションでも渡しておけばよかったかな?
さて、横道にそれてしまったが、ここへは魔導銃の試射に来たのだ。
撃たないで帰るという選択肢はない。
「まずは、普通の弾丸っぽいやつから撃ってみるか。 あ使い方聞いてくるの忘れてたな……ま、先込め式の銃とそう変わらないか」
先込め式の銃、所謂火縄銃の方ではあるが使い方なら何度かネットで見ている。
黒色火薬を銃口から入れ棒で突き固め、球状の鉛の弾をまた棒で突っ込んでいく手順だった筈だ。
銃口から1回分ずつに紙で包まれた火薬代わりのクズ魔石を入れる、銃口に並行して刺さっている付属の棒でクズ魔石を突き固め、続いて金属の弾を装填する。
後方についている突起がおそらく撃鉄にあたるものだろう、まっすぐに後ろに引くようになっていたので、ぐっと引くと数センチ引いた所でカチリと止まった。
「ほかに動く所ないし、多分これで撃てるよな?」
10mくらいの所に飲んだ後のポーションの瓶など、ガラクタを的として幾つか置いた。
照準器などは無いようなので勘で狙うしか無いが、慎重に両手で構えて狙いをつける。
引き金を引くと半秒ほどのタイムラグのあと、破裂音とともに銃口から火が吹き出した。
狙った的から1m以上離れた地面に土煙が上がる。
「うわ、こりゃあたらないわ」
多少ずれるとかそういったレベルではなく、銃身が向いていないところに着弾している。
もしかしたら銃身自体が曲がっている可能性もあるな。
「何回か撃ってみよう」
クズ魔石と弾丸をチートツールで増やして、パかすか撃ちまくってみたが、10m程度の距離で数十センチから1mくらいはあっちこっちに着弾がズレるようだ。
撃っていて楽しかったが、確かにこれ程までに精度が悪いと、まともには使えそうにない。
「じゃあ、本命っぽい方を試してみるか」
魔石の弾を確認して見ると、ビー玉のように加工がされていて、こちらにはクズ魔石がセットになっていないようだ。
少し考えたが、クズ魔石が火薬代わりになっているなら魔石そのものでも爆発なり何なりの反応をするようになっているはずなので、魔石だけを装填して撃ってみる事にした。
「まずは赤い魔石弾、おそらく火属性」
魔導銃を、もし大きな反動があっても大丈夫なようにしっかりと両手で握り、先程一度も撃ち抜かれることの無かった的に向け引き金を引いた。
ゴゥという音と共に、さほどのタイムラグも無しにソフトボールくらいの火の球が発射された。
こちらは期待がもてるかと思っていた時代が俺にもありました。
目で追えるほどに蛇行しながら飛んでいった火の球は徐々に減速していき、到達する前に完全に停止して燃え尽きてしまった。
「空気抵抗の影響をモロに受けてたな……」
魔導銃は今のところ、推定有効射程は2mといったところだな。
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