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ランチバッグを腕にかけ、早く戻りたい一心で足を前へ前へと繰り出す。走り慣れていない足はすぐに悲鳴を上げ、ちょっとした小石につまづき、足がもつれて転びそうだ。少し走っただけなのに、すでに肺からはひゅうひゅうと苦しそうな音が聞こえてくる。
(そもそも、テオン様はどうして私を……? あぁ、きっと私はピクルスのような存在なんだわ。豪華なローストビーフサンドやお洒落なパンケーキに飽きて、隅にあるピクルスでお口直しをするような……)
息が上がり、酸欠になりかけたところで走るのをやめ、ゼエゼエ言いながらその場で立ち尽くす。運動不足がたたり、クロエの膝はすでにガクガクしている。
胸に手をあて何度も深呼吸をし、ようやく荒い息が落ち着いてきた時だった。
「はぁ、はぁ、……ひゃあっ!」
急に肩を掴まれ振り向くと、そこにはテオンの姿。
「急に走り出すから驚いた」
「へっ? こ、こちらの方が、お、驚きですが……」
まだ息が上がっているクロエに対し、テオンはいつものごとくクールな顔。体力の違いというやつなんだろうが、それにしたってテオンだって文官のはず。
全力疾走に追いつかれたことはさておき、ブルネットの女性はいいのかと尋ねたかったが、クロエが介入してもいいことにはならない。
困惑を隠せないまま、テオンに尋ねる。
「テオン様、ど、どうされたんですか……?」
「いや、言いそびれたと思って追いかけたんだけど。クロエ、足が遅いね」
「えっ……は、はい……」
ジト目で見上げるクロエのハーフアップの髪を一束とり、テオンがするっと指を通す。
「おさげやめたんだな、と思って。かわいいよ、今日の髪型。清楚な雰囲気だ。それを言おうと思って追いかけた。じゃあ、ランチ楽しんで」
うっすら口角を上げると、テオンはじゃあ、と踵を返す。
(え……それだけを言うために?)
ついさっきまで自分を卑下していたのに、胸の奥にじわっと何かが広がる。颯爽と立ち去っていくテオンを引き止めたい。クロエは思わず早口で告げていた。
「あ、あのっ! テオン様に食べていただこうと思ってサンドイッチを作ってきたので良かったら食べてください!」
すっと振り返ったテオンは表情を変えないまま、近づいてきた。
◇ ◇ ◇
「あ、あの……」
「早く。昼の休憩、終わっちゃうよ?」
テオンに連れてこられたのは、いつぞやの取り壊しが決まっている執務棟のテラス。今日もひと気がないどころか、この執務棟自体に人の出入りが少ない。少しずつ部署の引っ越しも進んでいるようだ。
二人きりの秘密の休憩場所では、テオンがクロエを困惑させていた。
「で、では……はい、あ~ん」
「んっ……うん……、おいしいよ。さあ、クロエも食べないと、はい、口を開けて」
おずおずと開けた口にテオンが小さくちぎったパンを押し込む。
いつもより素早く咀嚼し、ごくんと飲み込むクロエ。
「……、いつも食べているパンなのに、きょ、今日はもっとおいしい気がします」
「ふっ。クロエって本当にかわいいよね」
(……言葉通りではないような気がする)
はい、とまたパンをクロエの口に押し込むテオン。もっもっと口を動かす姿をなぜか嬉しそうに見つめている。
「そろそろお腹も満たされたね。おいしかったよ、ごちそうさま」
「あ、デザートにブドウも持ってきましたけど、食べますか?」
「そうだね、まだ時間あるし。じゃあここに座って?」
「え? えっと、こ、こういうことですか?」
ベンチに座るテオンの足を跨ぎ、向かい合わせで腰を下ろす。至近距離で見る造形美が眩しく、クロエはドクンドクンと鳴り響く心臓の鼓動を抑えようと冷静を装った。
だが、テオンは慣れた手つきで女官の制服をぷちぷちと脱がしていき、クロエは慌てる。
「えっ? テ、テオン様、ま、まさか、こんなところで……」
「大丈夫、大丈夫」
テオンはブラウスをはだけさせるとシュミーズをぐいっと押し下げ、乳房をむき出しにした。
屋外で胸をさらけ出すなんて、テオンと知り合うまでは考えられなかった行為。外気が胸に触れ、羞恥心とほんのわすかな期待にクロエの体に熱が灯っていく。
「薄いピンク色のブドウが二つ実っているね。もう少し色づいた方がおいしそうだ」
「なっ! は、恥ずかしいです……」
「さすがに外だから静かにね」
そういうとテオンはちゅっと色づいた蕾を口に含んだ。
「~~~~~っ! ん……、んんっ!」
口の中でレロレロと舌を動かされ、尖りの先端が押しつぶされ捏ねられる。反対の先端はテオンが指先にくにくにと弄び、徐々に赤く色づいていく。
声が漏れないように必死で口を覆うクロエを見上げ、テオンは人差し指と中指を口の中に入れた。
「指、舐めて」
「ふわぁ、んっ、あふっ、うぅん、んあっ」
舌を指でつままれ、口腔内を撫で回されると背中をゾクゾクとしたものが駆け上がる。唇の端から唾液が垂れ、クロエの胸元へポタポタと落ちるがテオンはやめようとしない。
そのうち、ちゅぱっと頂から口を離すとクロエの口を塞いだ。
「はぅっ、はぁっ、んっ、んふっ」
貪るようなキスの間、テオンの両手が硬く色づいた先端を弄ぶ。唾液でてらてらと光る花の蕾はコリコリに尖り、クロエは気持ち良すぎてテオンのシャツを掴みながら身を捩る。
「テオッ……はぁ、んっ、んふ、……はぁ、ふぁっ、んっんっ」
時間を忘れていたクロエだったが、そのうちテオンの指が乳首から離れ、器用にブラウスのボタンを留め始めた。銀糸がつながる唇をすっと離すと、テオンはクロエの唇を指で拭う。
「クロエ、とろんとしてすごい顔だよ? そろそろやめないと午後の仕事に差し支えるからこの辺でね。ランチ、ごちそうさま」
「は、はい……」
(体に熱がこもっているみたい……テオン様に振り回されてるのに嬉しいなんて、私どうかしてるわ)
(約束の日まで残り四十九日)
(そもそも、テオン様はどうして私を……? あぁ、きっと私はピクルスのような存在なんだわ。豪華なローストビーフサンドやお洒落なパンケーキに飽きて、隅にあるピクルスでお口直しをするような……)
息が上がり、酸欠になりかけたところで走るのをやめ、ゼエゼエ言いながらその場で立ち尽くす。運動不足がたたり、クロエの膝はすでにガクガクしている。
胸に手をあて何度も深呼吸をし、ようやく荒い息が落ち着いてきた時だった。
「はぁ、はぁ、……ひゃあっ!」
急に肩を掴まれ振り向くと、そこにはテオンの姿。
「急に走り出すから驚いた」
「へっ? こ、こちらの方が、お、驚きですが……」
まだ息が上がっているクロエに対し、テオンはいつものごとくクールな顔。体力の違いというやつなんだろうが、それにしたってテオンだって文官のはず。
全力疾走に追いつかれたことはさておき、ブルネットの女性はいいのかと尋ねたかったが、クロエが介入してもいいことにはならない。
困惑を隠せないまま、テオンに尋ねる。
「テオン様、ど、どうされたんですか……?」
「いや、言いそびれたと思って追いかけたんだけど。クロエ、足が遅いね」
「えっ……は、はい……」
ジト目で見上げるクロエのハーフアップの髪を一束とり、テオンがするっと指を通す。
「おさげやめたんだな、と思って。かわいいよ、今日の髪型。清楚な雰囲気だ。それを言おうと思って追いかけた。じゃあ、ランチ楽しんで」
うっすら口角を上げると、テオンはじゃあ、と踵を返す。
(え……それだけを言うために?)
ついさっきまで自分を卑下していたのに、胸の奥にじわっと何かが広がる。颯爽と立ち去っていくテオンを引き止めたい。クロエは思わず早口で告げていた。
「あ、あのっ! テオン様に食べていただこうと思ってサンドイッチを作ってきたので良かったら食べてください!」
すっと振り返ったテオンは表情を変えないまま、近づいてきた。
◇ ◇ ◇
「あ、あの……」
「早く。昼の休憩、終わっちゃうよ?」
テオンに連れてこられたのは、いつぞやの取り壊しが決まっている執務棟のテラス。今日もひと気がないどころか、この執務棟自体に人の出入りが少ない。少しずつ部署の引っ越しも進んでいるようだ。
二人きりの秘密の休憩場所では、テオンがクロエを困惑させていた。
「で、では……はい、あ~ん」
「んっ……うん……、おいしいよ。さあ、クロエも食べないと、はい、口を開けて」
おずおずと開けた口にテオンが小さくちぎったパンを押し込む。
いつもより素早く咀嚼し、ごくんと飲み込むクロエ。
「……、いつも食べているパンなのに、きょ、今日はもっとおいしい気がします」
「ふっ。クロエって本当にかわいいよね」
(……言葉通りではないような気がする)
はい、とまたパンをクロエの口に押し込むテオン。もっもっと口を動かす姿をなぜか嬉しそうに見つめている。
「そろそろお腹も満たされたね。おいしかったよ、ごちそうさま」
「あ、デザートにブドウも持ってきましたけど、食べますか?」
「そうだね、まだ時間あるし。じゃあここに座って?」
「え? えっと、こ、こういうことですか?」
ベンチに座るテオンの足を跨ぎ、向かい合わせで腰を下ろす。至近距離で見る造形美が眩しく、クロエはドクンドクンと鳴り響く心臓の鼓動を抑えようと冷静を装った。
だが、テオンは慣れた手つきで女官の制服をぷちぷちと脱がしていき、クロエは慌てる。
「えっ? テ、テオン様、ま、まさか、こんなところで……」
「大丈夫、大丈夫」
テオンはブラウスをはだけさせるとシュミーズをぐいっと押し下げ、乳房をむき出しにした。
屋外で胸をさらけ出すなんて、テオンと知り合うまでは考えられなかった行為。外気が胸に触れ、羞恥心とほんのわすかな期待にクロエの体に熱が灯っていく。
「薄いピンク色のブドウが二つ実っているね。もう少し色づいた方がおいしそうだ」
「なっ! は、恥ずかしいです……」
「さすがに外だから静かにね」
そういうとテオンはちゅっと色づいた蕾を口に含んだ。
「~~~~~っ! ん……、んんっ!」
口の中でレロレロと舌を動かされ、尖りの先端が押しつぶされ捏ねられる。反対の先端はテオンが指先にくにくにと弄び、徐々に赤く色づいていく。
声が漏れないように必死で口を覆うクロエを見上げ、テオンは人差し指と中指を口の中に入れた。
「指、舐めて」
「ふわぁ、んっ、あふっ、うぅん、んあっ」
舌を指でつままれ、口腔内を撫で回されると背中をゾクゾクとしたものが駆け上がる。唇の端から唾液が垂れ、クロエの胸元へポタポタと落ちるがテオンはやめようとしない。
そのうち、ちゅぱっと頂から口を離すとクロエの口を塞いだ。
「はぅっ、はぁっ、んっ、んふっ」
貪るようなキスの間、テオンの両手が硬く色づいた先端を弄ぶ。唾液でてらてらと光る花の蕾はコリコリに尖り、クロエは気持ち良すぎてテオンのシャツを掴みながら身を捩る。
「テオッ……はぁ、んっ、んふ、……はぁ、ふぁっ、んっんっ」
時間を忘れていたクロエだったが、そのうちテオンの指が乳首から離れ、器用にブラウスのボタンを留め始めた。銀糸がつながる唇をすっと離すと、テオンはクロエの唇を指で拭う。
「クロエ、とろんとしてすごい顔だよ? そろそろやめないと午後の仕事に差し支えるからこの辺でね。ランチ、ごちそうさま」
「は、はい……」
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