【完結】貶められた緑の聖女の妹~姉はクズ王子に捨てられたので王族はお断りです~

魯恒凛

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頭の中の警鐘

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 畑の薬草は収穫しても通常よりも生育が早く、枯渇しない泉のような成長を遂げている。
 1か月も経つと薬草の様子にも慣れてしまい、シスターのおかげもあって周囲の様子も変わらない。

 カルナはシスターに何かお礼ができないかと考え、薬草や花を乾燥させてポプリを作ることにした。


 気苦労の多いシスターを癒してくれるように心がほっとする優しい花の香りを選ぶ。柔らかな香りはとても喜んでもらえた。

 穏やかな気持ちで過ごして欲しい姉の枕元にもポプリを置いた。姉が過ごす部屋は窓から日の光が差し込み、寒くなってきたこの季節でもぽかぽかと温かい。

 ベッドサイドの椅子に腰かけ、今日もいつものように姉に話しかける。

「お姉さま、お母様秘伝の軟膏がとても好評なんですよ。聞くところによると、テラフォーラ帝国では毎年冬になるとひどい風邪が流行るみたい。熱冷ましと頭痛薬、それから胃腸薬も用意した方がよいですよね。備えておけば苦しむ人も減るし。それから、寒くなってきたのに薬草は相変わらず成長し続けているんです」

 ありがたいですよね、とカルナは毛糸で編み物をする。

「赤ちゃん、あなたが出てくる頃はまだ寒そうだから靴下を編んでおくわ。あなたの叔母さんはあまり器用じゃないけど、心を込めるから許してね」

 ◇◇◇

 医療班の仕事が休みのある日。姉の側で編み物をしているとシスターがやってきた。

「カルナ、あなたにお客様が見えているわよ」

 1階まで降りていくと、シビルとレオが話しているのが見えた。側には知らない男性がもう一人いる。

「レオ様、シビル先生、こんにちは。今日はどうされたんですか?」

「やあ、カルナ。今日はどうしても君に会いたいという人がいて連れて来たんだ。こちらはライ。第一騎士団の所属で、勉強のために第二騎士団に同行している騎士なんだ」

「カルナ嬢、はじめまして。ライです。お会いできて光栄です」

 艶やかな漆黒の髪に高貴な紫色の瞳。左右対称の同性まで魅了しそうな整った顔立ちと綺麗な所作に、一目で高位貴族だと直感した。

 ――関わるなと頭の中で警報が鳴り響く。

「……はじめまして、カルナです。どのようなご用件でしょうか?」

 警戒心むき出しのカルナに、レオもシビルも驚いた。馬車の襲撃があった時でさえ落ち着いていたし、カルナから怒りを感じたことはない。

 それがどうだ。初対面のライに対する態度が厳し過ぎる。

「……えっと、今日は軟膏の納品を増やしてもらえないか相談に来たんだ。彼は普段第一騎士団で会う機会もないし、せっかくだから製作者のカルナ嬢にも挨拶してみたいという話になって連れて来たんだけど……」

「……そうでしたか、副団長。ですが、軟膏の納品はシビル先生を通していただければ。他に御用がなければ失礼してもよろしいでしょうか」

「あ、ああ。……すまない、休みの日に悪かったな」

 また明日な、とレオは項垂れ、シビルとライを連れて帰って行った。
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