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高魔力を持つ胎児
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テラフォーラ帝国へ来て9か月が近づき、いよいよエリスの子供がいつ生まれてもおかしくなくなった。暖かな頃にやってきたが、季節は巡り冬を迎えている。
カルナは騎士団での仕事をしばらく休み、姉と共に過ごすことにした。別れが近づいていることが頭ではわかっていても実感が湧いてこない。これからもずっと一緒にいたい気持ちと、大変な思いをした姉を俗世から解き放ってあげたい複雑な想いが混ざり合う。
お産は産婆の経験があるシスターが来てくれる予定だが、シビルも万が一に備えて来てくれるそうだ。ヤギのミルクの手配や赤ちゃんのベッドも用意した。準備万端だ。
穏やかな日々を過ごしていたある日、とうとうエリスが産気づいた。
夜半から苦しそうな表情をし出したエリスに気づき、シスターを呼んで様子を見てもらった。万全の準備を整え見守っていたが、夜も更けた頃から始まった陣痛は朝を迎え、昼を過ぎてもなかなか生まれてこない。
寝たきりで体力が落ちているエリスの身体も心配だ。シスターが魔力を流して確認してくれたが、状態が良くないらしい。
シスターは額に汗をかきながら、深刻な顔でカルナに告げる。
「胎児がエリスへ流していた魔力を引き上げたことでバランスが取れなくなったんだわ……。
胎児の魔力が高すぎてこれじゃあ出てくるまで母体が持たない。エリスの身体に魔力を流しているけど、私の魔力では足りないわ。高魔力を持つシビル先生か副団長を呼んで来てちょうだい!」
「は、はい!」
カルナは部屋を飛び出すと第二騎士団が常駐する練武場へ向かって駆け出した。
息が上がるのも構わず、転んで膝から血が流れても立ち上がり、練武場をひたすら目指す。走れば15分ほどで着くはずなのに永遠の道のりに思えてくる。睡眠不足の体が重く、気を抜くと意識が飛びそうになる。
敷地内に入ると建物へ向かって一目散に駆け込み、団長室をノックした。セオドア団長の侍従であるティモシーがドアを開けてくれたが、押しのけるように中へ入る。
大きな楕円形のテーブルを囲み、団長と副団長であるレオ、シビル医師、ティモシーが打ち合わせを行っている最中だった。
「……医療班の助手の子か?」
膝から血を流し、息も絶え絶えだが、面会を取り付けるための時間も挨拶をしている気持ちの余裕もない。
団長が口を開きかけたのも構わず、カルナはその場で膝をつき、泣きながら頭を下げた。
「お願いします、お願いします! 助けてください、この通りです! 魔力を、高い魔力をっ」
「「カルナっ!」」
シビルとレオが駆け寄りカルナを立たせようとする。
「何があった?」
「ひぐっ、胎児が、魔力が高すぎて……お姉さまが耐えられなくて、ひっく、、高魔力を持った人が必要で、」
「――カルナ、立ちなさい」
団長の低いけど穏やかな声が耳に残る。走り疲れてガクガク震える足を叱咤し、レオの手を借りながらその場に立ち上がる。赤髪に金瞳の美丈夫がにやりと笑った。
「よくわからんが高魔力が必要なんだな? 水臭いぞ、俺も行く。ティモシー、馬を用意しろ。全員で行くぞ」
カルナはセオドアの馬へ乗せられ、4名の高魔力持ちを連れ修道院へと向かった。
カルナは騎士団での仕事をしばらく休み、姉と共に過ごすことにした。別れが近づいていることが頭ではわかっていても実感が湧いてこない。これからもずっと一緒にいたい気持ちと、大変な思いをした姉を俗世から解き放ってあげたい複雑な想いが混ざり合う。
お産は産婆の経験があるシスターが来てくれる予定だが、シビルも万が一に備えて来てくれるそうだ。ヤギのミルクの手配や赤ちゃんのベッドも用意した。準備万端だ。
穏やかな日々を過ごしていたある日、とうとうエリスが産気づいた。
夜半から苦しそうな表情をし出したエリスに気づき、シスターを呼んで様子を見てもらった。万全の準備を整え見守っていたが、夜も更けた頃から始まった陣痛は朝を迎え、昼を過ぎてもなかなか生まれてこない。
寝たきりで体力が落ちているエリスの身体も心配だ。シスターが魔力を流して確認してくれたが、状態が良くないらしい。
シスターは額に汗をかきながら、深刻な顔でカルナに告げる。
「胎児がエリスへ流していた魔力を引き上げたことでバランスが取れなくなったんだわ……。
胎児の魔力が高すぎてこれじゃあ出てくるまで母体が持たない。エリスの身体に魔力を流しているけど、私の魔力では足りないわ。高魔力を持つシビル先生か副団長を呼んで来てちょうだい!」
「は、はい!」
カルナは部屋を飛び出すと第二騎士団が常駐する練武場へ向かって駆け出した。
息が上がるのも構わず、転んで膝から血が流れても立ち上がり、練武場をひたすら目指す。走れば15分ほどで着くはずなのに永遠の道のりに思えてくる。睡眠不足の体が重く、気を抜くと意識が飛びそうになる。
敷地内に入ると建物へ向かって一目散に駆け込み、団長室をノックした。セオドア団長の侍従であるティモシーがドアを開けてくれたが、押しのけるように中へ入る。
大きな楕円形のテーブルを囲み、団長と副団長であるレオ、シビル医師、ティモシーが打ち合わせを行っている最中だった。
「……医療班の助手の子か?」
膝から血を流し、息も絶え絶えだが、面会を取り付けるための時間も挨拶をしている気持ちの余裕もない。
団長が口を開きかけたのも構わず、カルナはその場で膝をつき、泣きながら頭を下げた。
「お願いします、お願いします! 助けてください、この通りです! 魔力を、高い魔力をっ」
「「カルナっ!」」
シビルとレオが駆け寄りカルナを立たせようとする。
「何があった?」
「ひぐっ、胎児が、魔力が高すぎて……お姉さまが耐えられなくて、ひっく、、高魔力を持った人が必要で、」
「――カルナ、立ちなさい」
団長の低いけど穏やかな声が耳に残る。走り疲れてガクガク震える足を叱咤し、レオの手を借りながらその場に立ち上がる。赤髪に金瞳の美丈夫がにやりと笑った。
「よくわからんが高魔力が必要なんだな? 水臭いぞ、俺も行く。ティモシー、馬を用意しろ。全員で行くぞ」
カルナはセオドアの馬へ乗せられ、4名の高魔力持ちを連れ修道院へと向かった。
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