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15.お世話係初日!
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二日酔いから数日後。
ドラゴンのお世話係をする初日の出勤日がやってきた! デキる男、アロルド団長は着替えの場所やら変装グッズやら何から何まで準備してくれ、私は新人見習い騎士クララとして今日からドラちゃんのお世話をする。
目につきやすい灰銀色の髪は目立たない茶色のボブウィッグに隠し、大きな眼鏡をかければ、はい完成。
田舎から出てきたばかりの初々しい見習い騎士の誕生だ。
「お~、似合うじゃないか」
アロルド団長が目を細めて賞賛する姿に気をよくし、私は言われてもいないのにその場で一回転した。
「うふふ」
「少しサイズが合っていないところが絶妙に野暮ったくていいな」
「……褒めてませんよね?」
「ははっ。野郎どもが多いからな。色気を振りまくよりよほどいいさ。まあ、ご法度とは言わないが、欲求不満でも団員は止めとけよ?」
な……、セ、セクハラ発言ですよ!
「一体何の話ですか! まるで私が欲求不満なような……」
と言いかけたところで、いやらしい夢を見てしまったことを思い出す。
うっ、おっしゃるとおり、欲求不満でした。あれ? もしかして飲みながら、アロルド団長とエッチなトークでもしたの?
ほとんど記憶にないあの日のことを聞きたい気持ちと聞きたくない気持ちがせめぎ合い、……結果、「なかったことにしよう」という結論にたどり着く。
だって、今や上司と部下だもん。恥をかいてもその場限りではなく、また会わなくてはならない相手だ。掘り返すなんで野暮なことはやめておくのが無難でしょう?
それにしても、まさか私が第一魔獣騎士団の制服を着る日が来るなんて……!
もちろん、剣なんて握ったこともない私は武器の携帯をさせてもらえない。ドラゴンのお世話をするにあたり、とりあえずこれでも着とけと支給されただけだ。
でも、なんだか強くなった気がしてくるから不思議だわ。
黒い騎士服は階級によってボタンの色やバッヂなんかの装飾が異なるけど、一番の大きな違いは騎士団によって違うマントの色。第一魔獣騎士団は赤、第二魔獣騎士団は青、第三魔獣騎士団は緑色のマントだ。
ということで、一応赤いマントも渡された。わーい!
にまにましながら獣舎に行くと、ドラゴンのお世話をしている団員たちがいた。基本的に自分のドラゴンのお世話は自分でするそうだ。
ドラゴン達が私に向かって「ギャギャッ――」と口にするけど、何を言いたいのかさっぱり。だけど、騎士たちは自分のパートナーのドラゴンの言葉なら理解できるのだそう。へぇ、すごいな。何て言っているのかしら。
「クララちゃんのこと、獣舎中のドラゴンが歓迎しているよ~」
「どちらかというとドラゴンは人間を見下しがちなんだけど、不思議だな」
え、そうなの? 確かに、ドラゴンは知能が高いって言うし、きっと人間は愚かだな~なんて思っているんでしょうね。だけど、嫌われるより歓迎される方が断然いいし、うれしいな。
「ギャァ」
「あ、ドラちゃん! 元気だった?」
柴犬サイズのドラちゃんは前回会った時と大して大きさが変わってない。専用の獣舎は大人用と同じサイズ。まだ小さいのにママとはお部屋が別々なのね。
「ギャ」
「水浴びしよっか?」
「ギャギャ」
「それじゃあ、お散歩行く?」
「ギャ」
私とドラちゃんのやりとりを、ドラゴン騎士団の面々がぽかんと見つめている。
ドラゴンのお世話係をする初日の出勤日がやってきた! デキる男、アロルド団長は着替えの場所やら変装グッズやら何から何まで準備してくれ、私は新人見習い騎士クララとして今日からドラちゃんのお世話をする。
目につきやすい灰銀色の髪は目立たない茶色のボブウィッグに隠し、大きな眼鏡をかければ、はい完成。
田舎から出てきたばかりの初々しい見習い騎士の誕生だ。
「お~、似合うじゃないか」
アロルド団長が目を細めて賞賛する姿に気をよくし、私は言われてもいないのにその場で一回転した。
「うふふ」
「少しサイズが合っていないところが絶妙に野暮ったくていいな」
「……褒めてませんよね?」
「ははっ。野郎どもが多いからな。色気を振りまくよりよほどいいさ。まあ、ご法度とは言わないが、欲求不満でも団員は止めとけよ?」
な……、セ、セクハラ発言ですよ!
「一体何の話ですか! まるで私が欲求不満なような……」
と言いかけたところで、いやらしい夢を見てしまったことを思い出す。
うっ、おっしゃるとおり、欲求不満でした。あれ? もしかして飲みながら、アロルド団長とエッチなトークでもしたの?
ほとんど記憶にないあの日のことを聞きたい気持ちと聞きたくない気持ちがせめぎ合い、……結果、「なかったことにしよう」という結論にたどり着く。
だって、今や上司と部下だもん。恥をかいてもその場限りではなく、また会わなくてはならない相手だ。掘り返すなんで野暮なことはやめておくのが無難でしょう?
それにしても、まさか私が第一魔獣騎士団の制服を着る日が来るなんて……!
もちろん、剣なんて握ったこともない私は武器の携帯をさせてもらえない。ドラゴンのお世話をするにあたり、とりあえずこれでも着とけと支給されただけだ。
でも、なんだか強くなった気がしてくるから不思議だわ。
黒い騎士服は階級によってボタンの色やバッヂなんかの装飾が異なるけど、一番の大きな違いは騎士団によって違うマントの色。第一魔獣騎士団は赤、第二魔獣騎士団は青、第三魔獣騎士団は緑色のマントだ。
ということで、一応赤いマントも渡された。わーい!
にまにましながら獣舎に行くと、ドラゴンのお世話をしている団員たちがいた。基本的に自分のドラゴンのお世話は自分でするそうだ。
ドラゴン達が私に向かって「ギャギャッ――」と口にするけど、何を言いたいのかさっぱり。だけど、騎士たちは自分のパートナーのドラゴンの言葉なら理解できるのだそう。へぇ、すごいな。何て言っているのかしら。
「クララちゃんのこと、獣舎中のドラゴンが歓迎しているよ~」
「どちらかというとドラゴンは人間を見下しがちなんだけど、不思議だな」
え、そうなの? 確かに、ドラゴンは知能が高いって言うし、きっと人間は愚かだな~なんて思っているんでしょうね。だけど、嫌われるより歓迎される方が断然いいし、うれしいな。
「ギャァ」
「あ、ドラちゃん! 元気だった?」
柴犬サイズのドラちゃんは前回会った時と大して大きさが変わってない。専用の獣舎は大人用と同じサイズ。まだ小さいのにママとはお部屋が別々なのね。
「ギャ」
「水浴びしよっか?」
「ギャギャ」
「それじゃあ、お散歩行く?」
「ギャ」
私とドラちゃんのやりとりを、ドラゴン騎士団の面々がぽかんと見つめている。
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