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14.今じゃない(ルートヴィヒSide)
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いやいやいや。落ち着け、俺。酔ったクラリスに手を出すなんて、やってはいけないことの上位に入るひとつだ。今は介抱だけを考えろ。
簡易的なものなのか、コルセットの構造はひと目でおおよその見当がつき、思いのほか呆気なく外すことができた。……ランジェリー姿のクラリスがエロ過ぎる。ずくんと下半身が疼くが仕方がなくないか? この姿をどれほど見たかったことか。
「ん~。これもぬぐぅ」
「あ、待て、クラリ……っ!」
しっとりと汗を吸ったランジェリーが気持ち悪かったのか、自分で脱ぎ始めてしまったクラリスから目を逸らせるはずがない。
目の前で、真っ白な双丘がぷるんと揺れた。
「くっ……」
鼻血が出そうだ。慌てて視界を外し鼻を押さえたが、頭にカッと血が上った気がする。幸いにも出血はしなかった。
残像しか見ていないのにも関わらず、手のひらから溢れそうな柔肉が脳裏に焼き付いた。……いや、み、見てない。俺は見ていない。
ありったけの理性をかき集め、顔を背けながらうんうんと寝言を言うクラリスに近づく。ブランケットを掛け、脱ぎ散らかしたものを集めたら、部屋から出て行こうと固く心に誓った。早く自室に戻らないと暴発してしまいかねない。
顔を背けながらブランケットを掛けた俺に、すうっと瞳を開けたクラリスが信じられない言葉を口にした。
「んっ、……キスして」
……都合のいい空耳?
「……いや。酔っているから今はやめておこう」
俺たちのファーストキスだ。もっとロマンチックなシチュエーションするべきだろう。
そう考えを巡らせたのにも関わらず、クラリスは薄く眼を開け天使のような笑顔でほほ笑む。彼女の白くしっとりとした両腕が俺の首に巻きつき、顔を引き寄せられた。
柔らかな唇が紙一重まで迫り、このまま流されてしまおうと一瞬頭をよぎる。もしこのまま唇を重ねても、クラリスは覚えていないだろう。
――ダメだ、ルートヴィヒ。おまえはいつから酔った女性に手を出すような男に成り下がったんだ。
……俺の理性が全力で止めにかかる。その通りだ。酒に酔った人間の言うことの信ぴょう性のなさ。だけど、クラリスの言葉はうのみにしたい。うのみにしたいが……。
――何を躊躇している? 念願のクラリスの唇だぞ? 彼女がねだっているんだ。ここでしなければお前は男じゃない!
と、悪魔の俺が囁く。確かに。いとしい妻のかわいいお願いだ。ここは彼女の希望通り、熱いキスをプレゼントするべきではないだろうか。
……いや、やっぱりダメだ。誘われたとはいえ、クラリスは酔っている。初めてはお互いにもっとこう、……くそっ。今じゃないことは確かだ。
彼女のおでこにかかる前髪を片手で止め、そっとキスを落とした。親が子どもにするようなキス。今の彼女に必要なのはこっちの親愛のキスだろう。
唇へのキスを期待していた彼女は寂しそうな顔をした。
「……もう、寝るんだ」
頭を撫でると「はぁい」と小さく返事をし、うとうとと微睡み出したクラリス。くっ、かわいいな。
いつまでもその寝顔を眺めていたかったが、近いうちに一緒に朝を迎えられるように頑張ろうと拳を握る。
うん、今日はここまでだ。これ以上一緒にいたら、……理性が崩壊する。
驚かせないように、脱いだ服を片付けたら出て行こう。
「おやすみ、クラリス」
俺はそっと部屋を後にした。
簡易的なものなのか、コルセットの構造はひと目でおおよその見当がつき、思いのほか呆気なく外すことができた。……ランジェリー姿のクラリスがエロ過ぎる。ずくんと下半身が疼くが仕方がなくないか? この姿をどれほど見たかったことか。
「ん~。これもぬぐぅ」
「あ、待て、クラリ……っ!」
しっとりと汗を吸ったランジェリーが気持ち悪かったのか、自分で脱ぎ始めてしまったクラリスから目を逸らせるはずがない。
目の前で、真っ白な双丘がぷるんと揺れた。
「くっ……」
鼻血が出そうだ。慌てて視界を外し鼻を押さえたが、頭にカッと血が上った気がする。幸いにも出血はしなかった。
残像しか見ていないのにも関わらず、手のひらから溢れそうな柔肉が脳裏に焼き付いた。……いや、み、見てない。俺は見ていない。
ありったけの理性をかき集め、顔を背けながらうんうんと寝言を言うクラリスに近づく。ブランケットを掛け、脱ぎ散らかしたものを集めたら、部屋から出て行こうと固く心に誓った。早く自室に戻らないと暴発してしまいかねない。
顔を背けながらブランケットを掛けた俺に、すうっと瞳を開けたクラリスが信じられない言葉を口にした。
「んっ、……キスして」
……都合のいい空耳?
「……いや。酔っているから今はやめておこう」
俺たちのファーストキスだ。もっとロマンチックなシチュエーションするべきだろう。
そう考えを巡らせたのにも関わらず、クラリスは薄く眼を開け天使のような笑顔でほほ笑む。彼女の白くしっとりとした両腕が俺の首に巻きつき、顔を引き寄せられた。
柔らかな唇が紙一重まで迫り、このまま流されてしまおうと一瞬頭をよぎる。もしこのまま唇を重ねても、クラリスは覚えていないだろう。
――ダメだ、ルートヴィヒ。おまえはいつから酔った女性に手を出すような男に成り下がったんだ。
……俺の理性が全力で止めにかかる。その通りだ。酒に酔った人間の言うことの信ぴょう性のなさ。だけど、クラリスの言葉はうのみにしたい。うのみにしたいが……。
――何を躊躇している? 念願のクラリスの唇だぞ? 彼女がねだっているんだ。ここでしなければお前は男じゃない!
と、悪魔の俺が囁く。確かに。いとしい妻のかわいいお願いだ。ここは彼女の希望通り、熱いキスをプレゼントするべきではないだろうか。
……いや、やっぱりダメだ。誘われたとはいえ、クラリスは酔っている。初めてはお互いにもっとこう、……くそっ。今じゃないことは確かだ。
彼女のおでこにかかる前髪を片手で止め、そっとキスを落とした。親が子どもにするようなキス。今の彼女に必要なのはこっちの親愛のキスだろう。
唇へのキスを期待していた彼女は寂しそうな顔をした。
「……もう、寝るんだ」
頭を撫でると「はぁい」と小さく返事をし、うとうとと微睡み出したクラリス。くっ、かわいいな。
いつまでもその寝顔を眺めていたかったが、近いうちに一緒に朝を迎えられるように頑張ろうと拳を握る。
うん、今日はここまでだ。これ以上一緒にいたら、……理性が崩壊する。
驚かせないように、脱いだ服を片付けたら出て行こう。
「おやすみ、クラリス」
俺はそっと部屋を後にした。
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