ナツノヒカリ ~親友への片思いをこじらせるDK真島くんのひと夏の物語~

カノカヤオ

文字の大きさ
109 / 154

第109話 一人①

しおりを挟む
ふわっ。
暗っ。

え?
ここ?

え?

目覚めたら真っ暗で、一瞬頭が混乱する。

暗すぎて自分の手も見えない。
ホントに真っ暗。

ここ?
え?

落ち着けオレ。

起き上がろうとしたら、あ~カラダが痛い。
ん?床で寝てた?

あ~そっか。

たしかあっちがベランダの方。

見当をつけて床を這い、手を伸ばす。

シャッ。

カーテンが開いて外の明かりが入ってくる。
遮光カーテンだったんだ。

あふぅ~。

オレはあくびをしながら立ち上がり、天井から吊り下がっている照明のヒモを引っ張った。

部屋が明るくなる。


そうだった。
ここは城島さんの部屋だったっけ。

あふぅ~。
オレはまた一つあくびをして、床に腰を下ろす。

いま、何時だろう。
外暗いから七時ぐらい?

この部屋には時計がない。


空っぽの部屋。

もともと物がほとんどなかったけど、今はホントに何もない。
荷物は全部処分したらしい。
電気は使えるままにしてくれていたから、エアコンは使えた。
ありがたいな。
この暑さで扇風機もエアコンもなしじゃ、多分また熱中症だ。


昨日、城島さんからもらったメッセージには追伸があった。

『もし君が、どこにも行くところがないのなら、あの部屋を使っていい。
実はあのアパートは近々取り壊されることになっている。
今月いっぱいまでは借りたままにしておくから。
オレにできるのはこんな事くらいだけど。
真島くん、元気で。』


一旦リセットしようと思っていた。
今までと違うところに一人で少しの間、身を置いてみたいと。

そこにまるでオレの行動を見透かしているみたいな城島さんのメッセージ。
ここはノッてみるしかない。

で、バイトのシフトの代わりを見つけて、店に電話して、その夜、親父が帰って来た時に話をした。
一人で少し旅に出たいと。
母ちゃんは反対したけど、案外あっさり親父は許してくれた。

翌日の昼、つまり今日だ。
オレはチャリで家を出るとそのままここに来た。
多分、自宅から五キロも離れてないと思う。


着いた途端、爆睡。
まあ断捨離とかで二日くらいまともに寝てなかったからな。


はあ~。


あらためて室内を見渡す。

フローリングのワンルーム。
作り付けの小さなキッチン。
窓にはグレーの遮光カーテン。
ドアが開け放たれたままのクローゼットの中は空っぽ。

ガラ~ンって文字が空間に浮かんでそうだ。

なんの気配もしない。

オレは膝を抱えてカラダを揺らした。

なあんか、落ち着かねえ~。

考えてみればオレ、今までまるっきりの一人って、ほとんどなかったかもしれない。
いや、一人っ子だから部屋の中に一人っちゃあ一人だけど、家には母ちゃんや親父がいるわけだし。
この間みたいに年に何回か法事に行ったり旅行に行ったりで家を開けることはあったけど。
そんな時は必ず灰谷がいたし、佐藤や中田も遊びに来てたし。

逆に言えば、母ちゃんが仕事でほとんど家にいない灰谷はオレんちに来てる時以外は、ほぼ家に一人なんだよな。
こんな感じ?


ん~。


カタッ。

うお~。何何?
ちょっとした物音にもビクビクしてしまう。
きっとカラダがどっか緊張してるんだな。



グウ~。

腹が鳴った。

そう言えば朝メシ食ったきり。
腹減った~。

コンビニ……行くか。

背負ってきたリュックから財布を取り出す。
リュックの中身は最低限の着替えとタオルぐらいなもの。

今回、一つだけ自分にルールを決めた。
家に帰るまで誰とも連絡を取らない。
すなわちスマホの電源は落とす。

本当に一人に一時的になってみる……。


カギは……かけなくていいんだよな。

サイフ一つ持ってフラフラと城島さんの部屋を出た。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

その首輪は、弟の牙でしか外せない。

ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。 第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。 初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。 「今すぐ部屋から出ろ!」 独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。 翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。 「俺以外に触らせるな」 そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。 弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。 本当にこのままでもいいのか。 ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。 その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。 どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。 リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24) ※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。 三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

【創作BL】溺愛攻め短編集

めめもっち
BL
基本名無し。多くがクール受け。各章独立した世界観です。単発投稿まとめ。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

処理中です...