ナツノヒカリ ~親友への片思いをこじらせるDK真島くんのひと夏の物語~

カノカヤオ

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第115話 雨宿り~虹

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バカは……疲れる。

自分を追いこんでガンガン走っていた所を急な雨に降られ、雨宿りのために、どことも知れないコインランドリーに飛びこんだ。

汗ダクダク、カラダベトベトでおまけに雨に濡れている。

「気持ちワリぃ。あ~シャワー浴びてー」

誰もいないのをいいことにオレは一人、ブツブツとつぶやいた。
洗面台があったのでバシャバシャ顔や首、腕まで洗ってタオルで拭いた。
ちょっとスッキリ。

「だ~」

ベンチに倒れこむ。

それにしても疲れた~。
真夏のチャリ、ツレぇ~。
バカになるのツレぇ~。
つうかオレ体力ねえ~。
あ~~~。

利用者はいないようで、洗濯機はどれも止まっていた。
静かだしエアコン効いてて涼しいし。
意外と穴場かもコインランドリーって、とか思ってみたりする。

う~。

しばらく横になっていたがノドが乾いた。
店内に自販機があったんでペプシのペットボトルを買う。
ゴクゴクゴク。
喉を鳴らして飲んだ。
ウマイ!
あ~~生き返る~。

オレはしばらくぼ~っとする。
止まるとズンッと来るね。ズンッと。
疲労ってやつはさ。


コンビニを出てから、走りに走った。

途中、腹が空き過ぎて、クラクラしてきたから、目についたラーメン屋にテキトーに飛びこんだ。
ジャンボ餃子を食べた。うまかった!
オレは心の食べログに★を四つ付けて、名前と場所を脳みそにメモした。
いやほら、スマホの電源切ってるから。

でも当分、餃子は食べたくない。
思い出しても……ウプッ……。


そしてまた走って、見えてきたあの坂。

灰谷との思い出の、ブレーキかけないで走り下りた急な下り坂。
こっちからだと急な上り坂だけど。やっぱ傾斜がハンパねえ。
夏の暑さと満腹で喉元までこみ上げてくる餃子のニオイに耐えながら、エッチラオッチラ、自転車を押して上った。
駆け下りるのは一瞬だけど、上るのはかなりの重労働。
この暑さじゃね。
ダラッダラ汗をかく。

そして続くのは思わず告っちゃいそうになったあの長くて緩~い上り坂。
こっちからだと下り坂なんで一気に走り下りた。


坂を越えると商店街の入口が見えて来た。
吉牛食べてゲーセンでカツアゲされかけた商店街は思い出の中よりもなんだか寂れてこじんまりとしていて、空き店舗が増えていた。
吉牛はあったけどゲーセンは無くなって更地になっていた。
たかだか二~三年しか経ってないのに。

すべては刻々と変わって行く。
変わらないものなんてない。

あの不良高校生達もきっと卒業して、今ではカツアゲなんてしないんだろう。
オレも灰谷もあの頃とは違う……。


ペプシをチビチビと飲む。

ふう~。


雨、止んだかな?
立ち上がって入口のドアから顔を出し、空を眺める。
止んでるな。
外蒸し暑っ。
雨上がりだからだな。


あ!

えっと……あれ……虹。
虹じゃね?
ビルとビルの谷間になんか薄い色つきの半円がかかっている。


お~虹~。虹だ~。
ヤバイ。
静かにテンションが上がる。
だってめったに見れねえじゃん。

なんだか今にも消えそうだった。
うぉ~儚え~。

早く早く。消えちまう。

オレは店内に戻り、急いでリュックからスマホを取り出す。
外に出て写真を撮ろうとして真っ暗な画面を見たところで気がついた。

ああ、そっか……オレ……電源切ってるんだった……。

あきらめて店内に戻る。

オレ、今何しようとした?


灰谷に。
写真撮って灰谷に……。


灰谷灰谷、そればっかりか!

オレはベンチにドサリと腰を下ろした。
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