120 / 154
第120話 オレにできること…
しおりを挟む
「節子さ~ん。来たわよ」
「久子さ~ん。久しぶり」
「これ、ケーキ。と、ワイン」
「キャー。ありがとう」
真島家の玄関先でキャッキャしている真島の母節子と灰谷の母久子。
毎度この女子高生みたいなノリには本当について行けないと灰谷は思った。
「真島に貰ったマンガ、持って帰っていいですか」
「どうぞ~。信まだ帰ってきてないけど部屋入って勝手に持って行っちゃって。久子さん、ご飯作ったの。ちょっと早いけどワイン開けて食べましょう」
「いいわねえ」
階段を上り、真島の部屋に入り、灰谷はつぶやいた。
「しっかし、本当に空っぽだな」
モノに埋まっていた真島の部屋は見事に片付いていた。
いや、片付けたというより、断捨離前と比べればほぼ言葉通り空っぽに近かった。
この間も感じた事だが、断捨離と言うより、リセット、に近いように見えた。
リセット……。
何をリセット?
窓際に大きなダンボールが三つ積んであり、マジックで灰谷行きと書かれていた。
フタを開けて中身を確認してみる。
あいつ、自分が読みたいの全部ダンボールに詰めこみやがったな。
オレ、こんなの選んでねえわ。
ホントにマン喫代わりにするつもりだな、真島のやつ。
まあいいけど……。
「暑っ」
灰谷は窓を全開にすると、ダンボールを背にして床に座りこみ、改めてまた部屋を眺めた。
ベッド。
真島と結衣がこのベッドで、していたのを見てから、もう一週間位経つのだろうか。
快感を呼び起こそうとする真島の顔。
目が合って、一瞬ビックリして見開いた目。
そして、まるで何かを訴えるように見つめ返して来た。
自分を見つめる真島の目。
感じている顔。
もしかして真島はオレと寝たいと思ってるんだろうか。
灰谷に一つの疑問がわき起こる。
多分、そうだろう。
でなければ自分の名を呼びながらしたりしないだろう。
あいつと……オレが……。
考えた事もなかった。
ただ、あの日の明日美とのセックスはメチャクチャ良かった。
なぜだかとても興奮した。
いや、でもあれは間近でエロいのを見たからで、あいつとしたいとか出来るって事にはならない。
「ふう~。暑っつ」
灰谷はTシャツの袖を肩までたくし上げると首元をパタパタさせた。
いるのが当たり前で。
空気みたいに自然で。
だからなのか?
自分に一言もなくどこかへ行ってしまった事になんだか傷つけられたような気がするのは。
それを母ちゃんにまで指摘されるとは。
まるでこの部屋のように自分との関係までリセットしようとする意志を感じなくもない。
空気がないから息苦しい?
いや、空気がなかったら死ぬけど。
って空気じゃねえし。
じゃあなんだ?
オレにとって真島って。
幼なじみ。
友達。
親友。
ツレ。
真島がよく言う腐れ縁。
ほとんど家族?
それは間違いない。
でも多分、あいつが望んでるのはその先で。
その先。
その先か……。
未知の領域。
今のままじゃダメか?
ダメなんだろうな。
だから真島は苦しんでるんだろ。
それをオレはどう受け止める?
どうしてやったらいい?
あいつに何をしてやれる?
究極、自分は真島を抱けるだろうか、と灰谷は思った。
・・・。
精神的には……抱ける。
多分……。
でも、肉体的には……わかんねえ。
あれ?もしかして真島はオレを抱きたいの?
そこもわかんねえし。
そもそも友情とかそういう気持ちじゃダメだろ、ああいうのって。
真島もそういうのじゃねえだろ?
寝るだけならできるけど……多分。
それで終わりにするにはオレ達の間には色々大事なものがあり過ぎる。
ああ。
それで真島も悩んでるんだ。
それを悩んでるのか。
そっか。そうだよな。
ああ~。
灰谷は髪に指を突っこんでぐちゃぐちゃかき回した。
こんな事わかってもしょうがねえんだよな。
真島は救われない。
オレも、知ってしまった以上、知らなかったオレには戻れない。
知らないフリもできない。
オレに……出来る事……。
「つうか、暑っちい」
♪~
スマホが鳴った。
中田からだった。
「もしもし」
『みつかったってさ、バイク』
「ホントに?早くね?」
中田の兄に中田経由で自分の分と真島の分、二台分のバイクを探してくれるように頼んだ。
それからほぼ一日しか経っていなかった。
『いや~大変だったってよ。オマエが八月中に、できるだけ早く、しかも同じ車種で色違いとかムリ言うから』
「いやでも、もっと時間かかるかと思ってた」
『兄貴は引き受けたら全力でやる男なんだよ』
「中田の兄貴、ホントにイイ人だよな」
『ん~それがさ、ただのイイ人でもないんだなこれが。ちょっとだけマズイ事になってんだよ』
「なんだよ」
『まあ……会ったら話すわ』
中田が話をシブるのは珍しかった。
「ありがとな、中田」
『オレはなんもしてねえし。オマエ今バイト?』
「いや、これから。今、真島んちなんだわ」
『真島?あいつ帰って来てんの?』
「いや、まだ」
『連絡は?』
「ない」
『そっか。オレもちょこちょ送ってるけどLINEも既読つかねえし。電源切ってるんだな』
「だな」
灰谷は窓の外を眺めた。
青い空に入道雲。
今日も暑い。
この暑いのにチャリでどこに行ったんだか。
バイクも見つかったし、真島、早く帰ってくればいいのに。
『じゃあ明日な』
「ウイーッス」
バイクの用意はできた。
後は、真島の両親に許可をとらないと。
おもに節子だな。
節子、バイクは高校卒業までダメだって言ってたらしいからな。
ん~。
よっしゃ。
灰谷は自分の頬を叩くと、一階に下りていった。
「久子さ~ん。久しぶり」
「これ、ケーキ。と、ワイン」
「キャー。ありがとう」
真島家の玄関先でキャッキャしている真島の母節子と灰谷の母久子。
毎度この女子高生みたいなノリには本当について行けないと灰谷は思った。
「真島に貰ったマンガ、持って帰っていいですか」
「どうぞ~。信まだ帰ってきてないけど部屋入って勝手に持って行っちゃって。久子さん、ご飯作ったの。ちょっと早いけどワイン開けて食べましょう」
「いいわねえ」
階段を上り、真島の部屋に入り、灰谷はつぶやいた。
「しっかし、本当に空っぽだな」
モノに埋まっていた真島の部屋は見事に片付いていた。
いや、片付けたというより、断捨離前と比べればほぼ言葉通り空っぽに近かった。
この間も感じた事だが、断捨離と言うより、リセット、に近いように見えた。
リセット……。
何をリセット?
窓際に大きなダンボールが三つ積んであり、マジックで灰谷行きと書かれていた。
フタを開けて中身を確認してみる。
あいつ、自分が読みたいの全部ダンボールに詰めこみやがったな。
オレ、こんなの選んでねえわ。
ホントにマン喫代わりにするつもりだな、真島のやつ。
まあいいけど……。
「暑っ」
灰谷は窓を全開にすると、ダンボールを背にして床に座りこみ、改めてまた部屋を眺めた。
ベッド。
真島と結衣がこのベッドで、していたのを見てから、もう一週間位経つのだろうか。
快感を呼び起こそうとする真島の顔。
目が合って、一瞬ビックリして見開いた目。
そして、まるで何かを訴えるように見つめ返して来た。
自分を見つめる真島の目。
感じている顔。
もしかして真島はオレと寝たいと思ってるんだろうか。
灰谷に一つの疑問がわき起こる。
多分、そうだろう。
でなければ自分の名を呼びながらしたりしないだろう。
あいつと……オレが……。
考えた事もなかった。
ただ、あの日の明日美とのセックスはメチャクチャ良かった。
なぜだかとても興奮した。
いや、でもあれは間近でエロいのを見たからで、あいつとしたいとか出来るって事にはならない。
「ふう~。暑っつ」
灰谷はTシャツの袖を肩までたくし上げると首元をパタパタさせた。
いるのが当たり前で。
空気みたいに自然で。
だからなのか?
自分に一言もなくどこかへ行ってしまった事になんだか傷つけられたような気がするのは。
それを母ちゃんにまで指摘されるとは。
まるでこの部屋のように自分との関係までリセットしようとする意志を感じなくもない。
空気がないから息苦しい?
いや、空気がなかったら死ぬけど。
って空気じゃねえし。
じゃあなんだ?
オレにとって真島って。
幼なじみ。
友達。
親友。
ツレ。
真島がよく言う腐れ縁。
ほとんど家族?
それは間違いない。
でも多分、あいつが望んでるのはその先で。
その先。
その先か……。
未知の領域。
今のままじゃダメか?
ダメなんだろうな。
だから真島は苦しんでるんだろ。
それをオレはどう受け止める?
どうしてやったらいい?
あいつに何をしてやれる?
究極、自分は真島を抱けるだろうか、と灰谷は思った。
・・・。
精神的には……抱ける。
多分……。
でも、肉体的には……わかんねえ。
あれ?もしかして真島はオレを抱きたいの?
そこもわかんねえし。
そもそも友情とかそういう気持ちじゃダメだろ、ああいうのって。
真島もそういうのじゃねえだろ?
寝るだけならできるけど……多分。
それで終わりにするにはオレ達の間には色々大事なものがあり過ぎる。
ああ。
それで真島も悩んでるんだ。
それを悩んでるのか。
そっか。そうだよな。
ああ~。
灰谷は髪に指を突っこんでぐちゃぐちゃかき回した。
こんな事わかってもしょうがねえんだよな。
真島は救われない。
オレも、知ってしまった以上、知らなかったオレには戻れない。
知らないフリもできない。
オレに……出来る事……。
「つうか、暑っちい」
♪~
スマホが鳴った。
中田からだった。
「もしもし」
『みつかったってさ、バイク』
「ホントに?早くね?」
中田の兄に中田経由で自分の分と真島の分、二台分のバイクを探してくれるように頼んだ。
それからほぼ一日しか経っていなかった。
『いや~大変だったってよ。オマエが八月中に、できるだけ早く、しかも同じ車種で色違いとかムリ言うから』
「いやでも、もっと時間かかるかと思ってた」
『兄貴は引き受けたら全力でやる男なんだよ』
「中田の兄貴、ホントにイイ人だよな」
『ん~それがさ、ただのイイ人でもないんだなこれが。ちょっとだけマズイ事になってんだよ』
「なんだよ」
『まあ……会ったら話すわ』
中田が話をシブるのは珍しかった。
「ありがとな、中田」
『オレはなんもしてねえし。オマエ今バイト?』
「いや、これから。今、真島んちなんだわ」
『真島?あいつ帰って来てんの?』
「いや、まだ」
『連絡は?』
「ない」
『そっか。オレもちょこちょ送ってるけどLINEも既読つかねえし。電源切ってるんだな』
「だな」
灰谷は窓の外を眺めた。
青い空に入道雲。
今日も暑い。
この暑いのにチャリでどこに行ったんだか。
バイクも見つかったし、真島、早く帰ってくればいいのに。
『じゃあ明日な』
「ウイーッス」
バイクの用意はできた。
後は、真島の両親に許可をとらないと。
おもに節子だな。
節子、バイクは高校卒業までダメだって言ってたらしいからな。
ん~。
よっしゃ。
灰谷は自分の頬を叩くと、一階に下りていった。
0
あなたにおすすめの小説
その首輪は、弟の牙でしか外せない。
ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。
第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。
初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。
「今すぐ部屋から出ろ!」
独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。
翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。
「俺以外に触らせるな」
そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。
弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。
本当にこのままでもいいのか。
ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。
その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。
どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。
リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24)
※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。
三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる