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第146話 課題
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「真島~てめえ~ぶっ殺ーす」
佐藤に首を締められた。
「佐藤、ギブ。ギブ。ロープロープ」
「オマエ~課題丸投げしてったろ。確信犯だろー」
部屋で課題をやりながら灰谷と朝メシを食べていた所にサトナカがやって来た。
「いやいや違うって」
「違わねえ」
「なんだよダーリン。許してくれよ。これからタカユキするからさ」
「よし、しろ。メッチャしろ。タカユキしまくれ」
「まあ、とりあえず卵焼き食え」
オレは佐藤の口に卵焼きをツッコんだ。
「うぐっ。……ウマイ!真島の母ちゃん最高」
「オッス真島」
中田がオレの頭をポンと叩いた。
「おう中田」
「遅いお帰りで」
「ワリぃ」
「気にすんな」
「あ、バイクも、ありがとな」
「オレは何にも。礼なら兄貴に言って」
「ああ。でも、ありがとう。中田も、佐藤も」
オレはサトナカの顔を見て言った。
「どしたの真島。素直じゃ~ん」
「オレは元々素直だよ」
「そいじゃ真島も帰った事だし。サトナカマジハイ、気合い入れて課題やっつけっかー」
中田の掛け声に「ウーッス!!」とマジハイサトが声を揃えた。
*
座卓を囲んでみんなで夏休みの課題開始。
灰谷の言った通り、課題はあらかた終わっていて、オレはみんながやってくれたものを写せばいいだけになっていた。
本当にありがたかった。
「つうか真島、ホントに断捨離したんだな。部屋空っぽじゃん」
「おう。佐藤もやってみな。スッキリすっから」
「いやあ、オレにはムリだよ。大事なものが多すぎる」
「それな、大事だと思ってるものも、一旦捨ててしまえば、そうでもなかったりすんだよ」
オレは一旦捨てろ説を話す。
「そんなもんかあ?」
「そうだよ中田。実際、あのクローゼットの中、何があったかもう思い出せねえもん」
「おお~」
「真島は元々、いらねえもん捨てなさすぎ」
「うるさいよ灰谷」
「つうか、あれ何?灰谷行きって書いてあるやつ」
窓際に積んであったダンボールに佐藤が目を留めた。
「あれはマン喫行き」
「マン喫?」
「オレんちだよ。オレんちを自分専用のマン喫にしようとしてんだよ、こいつは」
「お、それいい。ウチももうマンガ置ききれなくて、オレのも頼むよ灰谷」
「ざけんな」
「んもう~灰谷は真島にだけ甘いよな」
「そんな事ねえよ」
「甘えよ。真島の為に課題早く終わらせたいとかさ」
「え?」
佐藤の言葉に、オレは驚いて灰谷を見た。
「んな事・・・言ってねえ」
灰谷が口をモゴモゴさせる。
「言ったじゃん。この夏、真島と色々あって全然遊べてねえから、課題終わらせて一日でもいいからガツンと遊びたいって」
灰谷、オマエそんな事……。
見つめるオレと目が合うと灰谷が慌てた様子で言った。
「違えよ。オレは、みんなでガツンと遊びたいって言ったんだよ」
「つうか佐藤、真島と色々の下りは本人の前で言っちゃダメなやつな」
中田が佐藤を諭す。
そっか、それで昨夜、課題ダッシュとか言ってたのか。
そういえば、ガッツリ遊んでねえなあ今年の夏は。
まあ、そう。
色々あったからね。
「よっしゃ!じゃあダッシュで片付けてガツンと遊ぼうぜ!」
「って、真島が一番サボってたんじゃん」
「そうだな。ワリぃ」
「つうかみんな真島真島って真島ファンクラブか。ここは」
佐藤がスネ始めた。
「大体、現社の原子力の論文、四人分書いたのオレだぞ。すんげえ大変だったんだぞ。資料読みこんで、内容全部変えて、文体も変えてだな」
「あ~そうなんだ。ホントにありがとう佐藤。文体変えたの?さすが。芸が細かい」
「それとほれ」
佐藤が新品のノートを放ってよこした。
「ん?」
「古文の教科書の予習、原文書くの時間かかるから、コピーしてノートに貼ってそこに書きこむという技を思いついたのオレだぞ。コピーもしたし」
「お~佐藤、オマエ、アイデアマンだな。いやあ頼りになるわ」
オレは佐藤を持ち上げる。
「ダーリンだけだよ。そんな風に言ってくれるのは」
「オレと佐藤の仲だろ」
「そうねダーリン。でもケツは掘らせないわよ」
「うん。我慢する」
「どういう会話だよ」
「ふわぁ~」
灰谷がツッコんで中田があくびをした。
「ほらあ、この二人はいつもこう。オレ、褒められて伸びるタイプなのに」
「褒められて調子に乗るタイプだろ」
「調子に乗って伸びるタイプなの!」
「口だけじゃなくて手も動かせ」
しばらくみんな無言でカリカリやっていたのだが……。
「なあ真島~。オマエ、どこ行って何してたんだよ~」
佐藤が話をフッて来た。
「あ~?色々?」
「色々ってなんだよ。その色々の一部を述べよ」
「んー、チャリで海行ったり」
「チャリで!」
「おう」
「こんの暑いのに?」
「うん」
「あらま、青春だねえ。中田、こういうの好きだろ」
「アオハル。いいねえ」
中田が目を細めた。
青春?青春かあ~。
青春かも。
オレは思った。
「つうかそもそもなんで一人旅とか出たわけ?しかもチャリで」
「え?いやあ~カッコよくねえ、一人旅」
ただ、一度色んな事をリセットしてみたかったなんて言うのもな。
「んー全国横断を目指す小学生のイメージ」
まあチャリって所はそうか。
「で、どうだった。行って良かったか?」
中田が言う。
行って良かったか?
「う~ん」
灰谷と目が合った。
そうだな。
「うん。行って良かったよ。忘れられない夏になった」
オレは灰谷の目を見て言った。
「良かったな」
灰谷が言った。
「うん」
オレは返事した。
佐藤に首を締められた。
「佐藤、ギブ。ギブ。ロープロープ」
「オマエ~課題丸投げしてったろ。確信犯だろー」
部屋で課題をやりながら灰谷と朝メシを食べていた所にサトナカがやって来た。
「いやいや違うって」
「違わねえ」
「なんだよダーリン。許してくれよ。これからタカユキするからさ」
「よし、しろ。メッチャしろ。タカユキしまくれ」
「まあ、とりあえず卵焼き食え」
オレは佐藤の口に卵焼きをツッコんだ。
「うぐっ。……ウマイ!真島の母ちゃん最高」
「オッス真島」
中田がオレの頭をポンと叩いた。
「おう中田」
「遅いお帰りで」
「ワリぃ」
「気にすんな」
「あ、バイクも、ありがとな」
「オレは何にも。礼なら兄貴に言って」
「ああ。でも、ありがとう。中田も、佐藤も」
オレはサトナカの顔を見て言った。
「どしたの真島。素直じゃ~ん」
「オレは元々素直だよ」
「そいじゃ真島も帰った事だし。サトナカマジハイ、気合い入れて課題やっつけっかー」
中田の掛け声に「ウーッス!!」とマジハイサトが声を揃えた。
*
座卓を囲んでみんなで夏休みの課題開始。
灰谷の言った通り、課題はあらかた終わっていて、オレはみんながやってくれたものを写せばいいだけになっていた。
本当にありがたかった。
「つうか真島、ホントに断捨離したんだな。部屋空っぽじゃん」
「おう。佐藤もやってみな。スッキリすっから」
「いやあ、オレにはムリだよ。大事なものが多すぎる」
「それな、大事だと思ってるものも、一旦捨ててしまえば、そうでもなかったりすんだよ」
オレは一旦捨てろ説を話す。
「そんなもんかあ?」
「そうだよ中田。実際、あのクローゼットの中、何があったかもう思い出せねえもん」
「おお~」
「真島は元々、いらねえもん捨てなさすぎ」
「うるさいよ灰谷」
「つうか、あれ何?灰谷行きって書いてあるやつ」
窓際に積んであったダンボールに佐藤が目を留めた。
「あれはマン喫行き」
「マン喫?」
「オレんちだよ。オレんちを自分専用のマン喫にしようとしてんだよ、こいつは」
「お、それいい。ウチももうマンガ置ききれなくて、オレのも頼むよ灰谷」
「ざけんな」
「んもう~灰谷は真島にだけ甘いよな」
「そんな事ねえよ」
「甘えよ。真島の為に課題早く終わらせたいとかさ」
「え?」
佐藤の言葉に、オレは驚いて灰谷を見た。
「んな事・・・言ってねえ」
灰谷が口をモゴモゴさせる。
「言ったじゃん。この夏、真島と色々あって全然遊べてねえから、課題終わらせて一日でもいいからガツンと遊びたいって」
灰谷、オマエそんな事……。
見つめるオレと目が合うと灰谷が慌てた様子で言った。
「違えよ。オレは、みんなでガツンと遊びたいって言ったんだよ」
「つうか佐藤、真島と色々の下りは本人の前で言っちゃダメなやつな」
中田が佐藤を諭す。
そっか、それで昨夜、課題ダッシュとか言ってたのか。
そういえば、ガッツリ遊んでねえなあ今年の夏は。
まあ、そう。
色々あったからね。
「よっしゃ!じゃあダッシュで片付けてガツンと遊ぼうぜ!」
「って、真島が一番サボってたんじゃん」
「そうだな。ワリぃ」
「つうかみんな真島真島って真島ファンクラブか。ここは」
佐藤がスネ始めた。
「大体、現社の原子力の論文、四人分書いたのオレだぞ。すんげえ大変だったんだぞ。資料読みこんで、内容全部変えて、文体も変えてだな」
「あ~そうなんだ。ホントにありがとう佐藤。文体変えたの?さすが。芸が細かい」
「それとほれ」
佐藤が新品のノートを放ってよこした。
「ん?」
「古文の教科書の予習、原文書くの時間かかるから、コピーしてノートに貼ってそこに書きこむという技を思いついたのオレだぞ。コピーもしたし」
「お~佐藤、オマエ、アイデアマンだな。いやあ頼りになるわ」
オレは佐藤を持ち上げる。
「ダーリンだけだよ。そんな風に言ってくれるのは」
「オレと佐藤の仲だろ」
「そうねダーリン。でもケツは掘らせないわよ」
「うん。我慢する」
「どういう会話だよ」
「ふわぁ~」
灰谷がツッコんで中田があくびをした。
「ほらあ、この二人はいつもこう。オレ、褒められて伸びるタイプなのに」
「褒められて調子に乗るタイプだろ」
「調子に乗って伸びるタイプなの!」
「口だけじゃなくて手も動かせ」
しばらくみんな無言でカリカリやっていたのだが……。
「なあ真島~。オマエ、どこ行って何してたんだよ~」
佐藤が話をフッて来た。
「あ~?色々?」
「色々ってなんだよ。その色々の一部を述べよ」
「んー、チャリで海行ったり」
「チャリで!」
「おう」
「こんの暑いのに?」
「うん」
「あらま、青春だねえ。中田、こういうの好きだろ」
「アオハル。いいねえ」
中田が目を細めた。
青春?青春かあ~。
青春かも。
オレは思った。
「つうかそもそもなんで一人旅とか出たわけ?しかもチャリで」
「え?いやあ~カッコよくねえ、一人旅」
ただ、一度色んな事をリセットしてみたかったなんて言うのもな。
「んー全国横断を目指す小学生のイメージ」
まあチャリって所はそうか。
「で、どうだった。行って良かったか?」
中田が言う。
行って良かったか?
「う~ん」
灰谷と目が合った。
そうだな。
「うん。行って良かったよ。忘れられない夏になった」
オレは灰谷の目を見て言った。
「良かったな」
灰谷が言った。
「うん」
オレは返事した。
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