姫君は幾度も死ぬ

雨咲まどか

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2.純白と赤色

ワイルドベリー摘み

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「……つまり、その白龍の卵がこの子だってこと?」

 大きな純白の卵を、デイジーは胸に抱き寄せた。アンゼリカは静かに首肯する。

「私も文献でしかしらないけど、その卵を見た瞬間すごく不思議な感覚がしたの。たった三年でも、私にもティリトルフで暮らすうちの一人として何かが芽生えたのかも」

 デイジーは卵の中に息づく赤ん坊の姿を想像してみた。白龍の子ども。いくら龍だといっても、こんな腕の中に収まるような大きさの子が、生まれたときから村の命運を握らせられているのか。
 長く沈黙していたサンザシがアンゼリカに向けて口を開く。

「たった三年と言いましたけど、本当にそう思っているのですか」

「……どうして?」

「貴女にとって、どうしようもなく長い三年だったはずだからです」

 サンザシの語調は淡々としていたが、デイジーはどこか冷たいものを感じた。彼の表情を窺ってみると、蜂蜜色と目が合う。その眼差しで、デイジーはようやく彼の憤りを少しだけ理解した。

 彼もまた、よそ者として差別的に扱われてきた。その事を打ち明けられたことは無かったが、城の状況くらいはデイジーだってある程度は把握しているつもりだ。
 どうしようもなく長い。サンザシにとって城で過ごした二年間は、どうしようもなく長いものだったのだろうか。

「確かに、長い三年だったけど、あっという間でもあったのは事実よ。研究に没頭していたから」

「……何故貴女は、まだこの村で研究を続けているのですか」

 デイジーはサンザシの問いかけにはっとした。そうだ、彼女を支えてくれていたというクリフも居なくなって、肩身の狭い村でどうしてまだ、研究なんて。

「あの景色を取り戻したいのよ。初めてこの村に来た日に見た、あの真っ白な光景を」

 アンゼリカはふわりと目を細めて、それに、と付け足した。

「研究も、良いところまでいっているの」

 そう言って彼女が指さした先は窓際のプランターだった。デイジーはぱちぱちと瞬きをしたのち、目を輝かせると立ち上がった。卵を抱えたままでプランターへ駆け寄り、顔を寄せる。
 いくつも並んだプランターは一つ一つ様子が違っていた。土の色や状態も様々で、布に囲まれたものや板で陰を作っているものもある。しかしどれも植物が育っている様子はない。
 デイジーは首を傾げた。

「右から二番目のをよく見てみて」

 背後からアンゼリカが声を掛ける。デイジーは言われた通りにまじまじとプランターを観察した。右端から二番目。土の隙間から僅かに、緑色が覗いている。

「あ、これって白龍草?」

 小さな芽が、今まさに土を持ち上げて顔を出そうとしていた。

「畑での研究に加えて、室内で育てる方法も探してるの。芽がでるのはもう三度目なのよ。今度こそ咲かせてみせるわ」

「……アンなら出来るよ。きっと私にも見せてね、白龍草の花」

 デイジーは芽を眺めて微笑みを浮かべた。もし本当に呪いを解くことが出来たら、ティリトルフをもう一度訪れよう。ティリトルフだけでなく、クローチア中の色んな場所を見て回るのだ。

「それで、その卵をアンゼリカさんはどうするのですか」

 和やかな雰囲気を裂くようにサンザシが言って、デイジーは抱えたままの卵を見下ろした。そうだった、彼女はこの卵を渡せと言っていたのだ。

 アンゼリカは俯いて、腰を上げるとデイジーの方へ近寄っていった。緩慢な動作で卵へ手を伸ばす。指先はすっかり荒れてささくれ立っていた。デイジーは彼女が卵を撫でるのを、思わず受け入れてしまう。

「白龍の巣に帰してあげたいの。嵐で飛ばされてきたって言っていたでしょう? 村の裏山のどこかに、巣があるんですって。どこにあるかはわからないけど、きっとこのままにしていたら白龍の加護は戻ってこないわ」

 デイジーは卵の温もりを離しがたく思ったが、巣に帰すというのは素晴らしい提案だとも感じた。しかしながら、一体どうやって白龍の巣なんてものを見つけるというのだろう。

「それ、私にも手伝わせて! 探し物なら人手は多い方がいいでしょ?」

 アンゼリカは目を丸くした。

「でも、二人は急いでいるんでしょう?」

「……大丈夫、病といっても特に危険な状態ではないの。一日くらいなら平気。私もこの子の無事を見届けたいから」

「気持ちはありがたいけど……」

「さっきの話だと、村の人達はアンに協力的じゃないんでしょ? かといって村の人にこの子を預けるのもなんだか怖いし、ちゃんと元居た場所に戻してあげるべきだと私も思う」

 複雑そうに眉尻を下げるアンゼリカをデイジーはじっと見つめた。その真っ直ぐな視線にアンゼリカがたじろぐ。

「ちょっといいですか」

 一人で話を進めてゆくデイジーの肩をサンザシが叩いた。デイジーは首を捻って彼の方を向いた。手招きをされ、アンゼリカから数歩離れた場所に二人で移動する。
 サンザシは眉根を寄せてデイジーに耳打ちした。

「本気ですか」

「え? うん」

「姫様と山なんて、想像しうる最悪の組み合わせだと思うんですけど」

「そんなばかな」
「山と海と森と街中には行かない方が良いですよ」

「私の居場所なさ過ぎじゃない?」

「自分の状況、分かってますか?」

「……サンザシはこの子のこと、大切じゃ無いって言うの? それでも父親?」

「いつから私が父親になったんですか」

 真面目な顔で答えるサンザシにデイジーは笑った。するとその態度を観て、サンザシの眉間の皺が増える。

「あの、どうかしたの?」

 ヒソヒソと相談するデイジーたちに、アンゼリカは怪訝そうに顔を顰めた。

「なんでもないの、大丈夫!」

 アンゼリカに返事をしてから、またデイジーは声を小さくする。

「……ね、駄目? 無茶はしないから」

 懇願するデイジーに、サンザシは小さく嘆息した。

「それ、私が断れないって分かってて言ってるでしょう」

「ありがとうサンザシ!」

 ぱっと花が開くように笑って、デイジーはアンゼリカに向き直った。

「サンザシも手伝いたいって! 三人で頑張ろう!」

 腕の中の卵を揺らすと、返事をするみたいに少しだけ動いた気がした。





 山へ出発するのは明朝に決まった。まだ日は落ちていなかったが、きちんと準備を整えてからにするべきだとアンゼリカが言い、デイジーの体調が不安であったサンザシはそれに賛同した。

 そしてあれよという間に、サンザシは一人買い出しに繰り出されていた。
 デイジーが服と食料が必要だと言い始め、買いに行きたいと手を挙げたのだ。卵も連れて行こうとして置いてゆけとアンゼリカに言われたり、サンザシが疲れているのだから大人しくしておけと言ったりするうちにデイジーは面倒になったのか、「じゃあサンザシ行ってきて」と丸投げしてしまった。
 結果的にはこれでよかったかもしれない。サンザシは静かな村を歩きながら内心で頷いた。デイジーを一人にはしたくないが、かといってアンゼリカは村で迫害されているから買い出しには向いていない。

 どうにか見つけた店で干し肉と小麦とミルクを買う。それから、少し値は張ったが乾燥させた果物も買っておくことにした。デイジーは考えなしに見えてちゃっかりと少額だが金銭も用意していた。一体城内でどのようにして手に入れたのかは分からないが、どうせ使用人に何か持ちかけたに違いない。城内でも城外でも、彼女の自由さは一級品だ。

「僕と同じ歳くらいの女の子が着れる服はどこかで手に入りませんか」

 品物を受け取りながら訊ねると、店主はサンザシをじろりと上から下まで見やった。老いた顔には沢山の皺が刻まれている。思えばこの村で見た男性は老人ばかりだ。サンザシは、若い男は皆出稼ぎに行ってしまったのだというアンゼリカの言葉を思い出した。

「その格好、城の使用人かい」

「……そうですが」

「昔私も城勤めだったんだ。腰をやってな、今は見ての通り廃れた店の店主さ」

「この店があって僕は助かりました」

「何か訳ありなんだろう。少し待っていてくれ」

 店主は腰の曲がった身体を重そうにしながら店の奥へ行ってしまった。しばらくして、布の包みを手に戻ってくると口元に笑みを浮かべる。

「大昔に出て行った子どもの服だ。こんな村にはきっともう戻ってこないから、使ってくれ」

「そんな大切なもの、いいのですか」

「構わん」

 サンザシは包みを受け取って頭を下げ
た。
「ご迷惑ついでに、少し伺ってもよろしいですか」

「なんだ」

 耳が遠いらしい店主は、ずいとサンザシへ顔を近づける。サンザシは言葉を選んでから、慎重に口を開いた。

「白龍を見たことはありますか」

 店主は髭に覆われた唇を歪めて腕を組んだ。

「ないな。白龍様は人に姿を見せることはほとんどない筈だ」

「山に住んでいると聞いたのですが」

「白龍様を探しているのか? 罰当たりなことはよした方がいい。それにもしかしたら、もうこの村から離れてしまっているのかもしれん」

「……加護が無くなってしまったから、ですか」

「ああ、あの学者が来てからな」

「学者、ですか?」

「白龍草を世界中で咲かせたいだのと、勝手なことをして罰が当たったんだ。お陰でご覧の通り、村の状況は悲惨なものだ」

「……なるほど。ありがとうございます」

 サンザシはもう一度大きく礼をしてから店を後にした。日暮れを迎えたティリトルフは、雑然と広がった畑が橙色に染まっていた。

 どうやら、アンゼリカの話に嘘は無かったようだ。白龍の加護。村人達はそれを信じきっている。しかし、白龍の巣探しは難航しそうだ。困ったことになったと、サンザシは盛大に息を吐いた。






 サンザシが買い出しに行っている間、デイジーはアンゼリカに研究のことを詳しく訊ねることにした。卵は厳重に毛布に包んで椅子に座らせておき、揃って庭へ出る。
 庭では何種類もの植物が育っていた。

「わ、ハーブが沢山。これはワイルドベリー? さっきは作物が育たないって言っていたけど、こんなに育っているものもあるんだね」

「ここで育てているのは、どれも強い植物ばかりよ。環境が悪くなったと言っても、これだけ栄養素のある土と日照時間があればまだまだ育てられる植物はいくらでもあるわ。植物が育つにはしっかりした根拠と理由があるの。動物だって人間だって、生きているものなら全てそう」

 もう収穫出来るわよ。アンゼリカが言って、デイジーはワイルドベリー摘みを手伝わせて貰う事になった。
 宝石のような実がふっくらと真っ赤に輝いている。指先で摘み取って手のひらにのせると、お腹が鳴ってしまう。そういえば朝に小さなパンを囓ったのみだった。

「食べてみる?」

 物欲しそうな表情になってしまっていたのか、籠を手にしたアンゼリカが笑って首を傾げた。

「いいの?」

 デイジーは嬉々としてワイルドベリーを口に運んだ。爽やかな甘い香りが鼻腔へ届く。咀嚼すると甘酸っぱさが口に広がった。

「美味しい! ジャムでしか食べたことがなかったけど、そのまま食べても美味しいんだね」

「葉の方もハーブティーにしたら美味しいのよ。気持ちを落ち着かせる効能があるの。よかったらこの後、飲んでみる?」

「ほんと? 楽しみ!」

 お城に戻ったら、庭に植えてみよう。城付きの庭師としか庭いじりについて話す機会がなかったけれど、今度は村や街の人々にも色んなアドバイスを貰うのもいい。

「デイズはお城でどんな仕事をしていたの? 植物に少し詳しいみたいだけど」

 デイジーは想定外の質問に目を泳がせた。着ているエプロンドレスを見下ろすと侍女のミーナが脳裏に浮かんだのでそのままを口にする。

「ええっと……侍女をしてたよ」

「侍女? お城の侍女って庭仕事もするの?」

 不思議そうにするアンゼリカに、デイジーは慌てて言い訳を探した。

「王女の一人が庭いじりが好きで、何かと付き合わさせられてたの」

「へえ、変わった王女様がいるのね」

「そうそう、変なの!」

 誤魔化して笑いながら、デイジーは自分はそんなに変だったのだろうかと内心で反省した。
 ワイルドベリーを摘んで、籠へ入れてゆく。せっかくだから、アンゼリカにハーブティーの入れ方を習っておこうか。お城の皆に、美味しいお茶をごちそうできるように。

「アンの故郷はどこなの?」

 デイジーが問いかけると、アンゼリカは手を止めてしばし逡巡したようだった。

「私の故郷は、ダムバリーと反対側にある小さな国よ。じきにクローチアの領土になると思うわ」

「……どんなところ?」

「ティリトルフと似てるかもしれないわ。素朴で排他的で、頑固な国だった。本当に小さな国なのに、クローチアに対抗しようとしてボロボロになってしまったの」

「そう……」

 王女であるデイジーには胸が痛む話だった。クローチアが武力で周囲の国々に恐れられているのは知っていた。しかし実際に、制圧されている国の人と接する機会は今まで一度だって無かった。

「私は学者としてクローチアに雇われることになって、後悔していないけどね。クローチアは現実的で良い国よ。しっかり未来を見据えてる。今は批判も沢山あるかもしれない。私も、全てに納得してる訳じゃないわ。でも、私は協力したいと思ったの」

「だから研究を、頑張ってるの?」

「理由の一つではあるわ」

 摘み終えたワイルドベリーを持って、二人は部屋へ戻った。振り返ると空の端が橙色に染まり始めていた。

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